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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
163/189

苦し紛れの案

 「僕のいた世界?まあ、いいや。で、ハジメくんはこれをどこで見たことがあるの?」


 「どこってに・・・」


 日本ですと言おうとした自分の口を咄嗟に押さえ、僕はポルカさんたちから顔を背けた



 日本って言って通じるわけないだろ!?


 いや、その前に!僕は僕のいた世界とアリアたちの目の前で言ってしまったのか!?



 僕は自分の口許を手で覆い、これ以上自分が口を滑らせないよう注意した



 「に?」


 目の前にいるポルカさんが僕の言葉の続きを催促してきたので、僕は焦っている頭を落ち着かせた


 

 とりあえず、日本以外の場所を言わないと・・・


 僕は、苦し紛れにポルカさんの質問に応えた


 「火の国に、あったんですよ」







 心のどこかで焦っている自分と冷静でいる自分がいる


 今は冷静でいる自分の心を優先させることにした


 内心は冷汗と震えが止まらないけれど、いつまでもポルカさんの前で黙っているわけにはいかないと、思ったからだった


 

 僕はその冷汗と震えを抑え込み、頭の中にある脳みそをフル活用して、苦し紛れの案をひねり出した



 僕の苦し紛れの案はこうだった



 火の国は開発に特化した国という話を、さっき食堂にいた二人と話していたことを思い出した僕は、火の国の可能性に賭けた


 開発に特化しているということは、きっと暮らしに便利なもの、車のような乗り物とかも開発しているのではないかと、僕は考えた


 他の国にはないものを知っていておかしくないということから、僕は火の国出身であるということで、自分の嘘を誤魔化そうとした



 その考えと同時に、僕は火の国出身ということにした方がいいと考えたからだった

 

 

 それは、僕と一緒に旅をしてきた今ここにいる仲間、アリアとタイニーの二人が火の国に行ったことが無かったからだ


 僕がこの世界にくる以前は、火・土・風・水の順しか行くことができず、水から風、風から土に、そして、土から火の国へ行くことがこの世界の法律で禁じられていたし、国境ともいえる海のせいで、移動すること自体が困難だった


 そもそも、この世界では逆に移動する、自分たちの行きたい方へ行くという考えがなかったみたいだった


 けれど、僕がこの世界に来たことによって、水の国から火の国へ行くと言う発想が生まれ、その発想を助けるように僕が船をソウゾウした


 そして、その僕の考えに賛成してくれた人たちが、船で逆移動することを協力してくれた



 だからこそ、僕たちは水の国から土の国まで逆移動できた


 もう少ししたら、火の国へと出発するだろう



 でも、だ


 今の時点では火の国にはたどり着いておらず、火の国の出身であるリド以外は火の国を見たことがない人しか、仲間の中にはいなかった


 特に、この場にいる水の国と風の国出身である二人ならば、僕の案は怪しまれずにうまくいくはずだ


 一応、僕はこの世界では記憶喪失という設定だから、さらにうまくいくはず



 僕の方をじっと見てくる二人に記憶のことで追及されそうになったら言おうと思う



 車を見た途端記憶が断片的に蘇ってきて、火の国の出身であったことは思い出せたけど、他のことは何も思い出せないのだ、と



 そう言ってしまえばいい


 

 僕は自分の考え出した案を正しいと暗示しながら、ポルカさんに僕がどこで車を見たのか、話していった










 「火の国に、あったんですよ」


 それ、と言って僕は日本にある車とはちょっと形の異なる車を指さしていた



 僕の火の国発言に、案の定、記憶喪失を知っているアリアとタイニーから驚きの表情が見て取れた


 後で、そこのところフォローしておかないと・・・


 後ですることリストを頭の中で整理しながら、僕はポルカさんに向かってはっきりと言った



 「僕の出身は開発が得意な人が多い、火の国ですから」


 堂々という僕を見て、ポルカさんは感嘆の声をあげていた



 「へえ!!ハジメくんは、火の国出身だったんだ!!」


 ポルカさんはそう言いながら、僕に密着し、ひょいと抱え上げた



 「なら、ちょうどいいね」


 ポルカさんは僕の身体を持ち上げながら、目を光らせていた




 なんとか危機を脱した僕は、ポルカさんの言った言葉が気になっていた



 ちょうどいい?


 それってどういうことなんだろうか



 僕が抱え上げられたところで首を傾げていると、ポルカさんがさらに高い高いをしてきたので、僕は慌てた



 「ちょっ!?やっぱり下ろしてください!!」


 僕が叫ぶと、ポルカさんは僕の顔を見ながら面白そうにしていた



 「ふふ。やっぱりかわいい、ハジメくん」



 ふふ、と笑うポルカさんは僕の白けた目線を笑顔で受け流す


 そして、彼女は僕に聞いてと言ってきた



 「今日の昼間、タイニーちゃんに教えていた間に話していて分かったんだけれど、ハジメくん達は火の国に「フネ」とやらを使って逆移動しようとしているんだって?」


 ポルカさんは僕の機嫌を損ねないように顔を覗き込んでてきたので、僕はやれやれとした様子でポルカさんの話に耳を傾けた



 「火の国に、あたしも行きたいと思ってたのよ」



 その言葉の後、彼女の瞳は怪しく赤色に光っていた。



   

 ああ、文章が気に入らずに書き直していたら、日付を又ごしてしまいました。すみません。



 次回ポルカさんがどうして火の国に行きたいのか、彼女の瞳の色が本当は何色なのかについてです。


 遅くなりすみませんでした。

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