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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
162/189

 「タイニー!!」


 聞き覚えのある女の人の声が、ぼくの頭上から聞こえてきた


 メモする手を動かし、ぼくはたくさんいるお客さんの中から頭が一つ分飛び出ている人の姿を見つけた



 「アリア姉!!」


 ぼくはアリア姉がやってくる方に目を向けていた



 「どうしてこんなところにいるの?ポルカさんのところに行ってるんじゃなかった?」


 首を傾げながらぼくの前にくるアリア姉に向かって、僕はお客さんの相手をしながら答えた


 「ポルカ姉からお店を手伝わないかって言われたんだ。でも、お客さんが多過ぎて、種が売り切れたの。その後、ポルカ姉は種を持ってくるって言ってから消えちゃったんだ!いい勉強になるんだけど、ぼくだけじゃあ注文を聞き終わらなくて・・・」


 どうしたらいい?と少し涙目のぼくの声を聞いたアリア姉は、大丈夫!と言ってくれた



 「私もお客さんの注文を聞くの手伝うよ!三人で聞いたら速いでしょ?」


 ね?というアリア姉の提案の後、ぼくはアリア姉を必死に追ってきたハジメ兄の姿を見つけた



 ぼくたちの今の会話を聞いていたのか、ハジメ兄はぼくのもとにすっ飛んできて


 「さっさと片付けようか」


 と言ってハジメ兄は優しく微笑んでくれた



 それを見た僕は、嬉しさでいっぱいになっていた



 よーし!ポルカ姉が帰ってくるまでにお客さん全員から注文を聞きだしちゃうぞ!!



 そう意気込んでから、手に持っているメモとペンをぼくは強く握りしめた









 群がる客たちの前に立ち、声を張り上げる



 「いらっしゃい!!お客さんは何をお求めかな?」


 レストランで培われた接客術と持ち前の明るさによって、アリアはお客の注文をどんどん聞いていく


 きっと、彼女の笑顔と接客技術があるだけで、お店の売り上げは右肩上がりとなるだろう


 僕も負けていられないな



 そう思った僕は、アリアに負けじとお客さんの注文を聞いていった 



 「いらっしゃいませ。今日は何をお探しですか?」



 にっこり笑顔を忘れずに


 そう心の中で繰り返しながら、僕はお客さん一人ひとりに対し、丁寧な対応を心掛けた



 その僕の横で必死にメモして頑張っているタイニーも、はきはきとお客さんの注文内容を復唱していた



 「成長の種と水長持ちの種ですね!店長が帰ってき次第お渡ししますのでお待ちください!!」


 お客は一生懸命に接客するタイニーの頭を撫でた後、素直に店の前で待ってくれていた



 そんな僕たちの耳に、遠くの方からけたたましい機械音と甲高い女性の声が聞こえてきた  



 「退いて~!!じゃないと骨折どころじゃあ済まないから!!」



 その声の主は種を取りに行ったというポルカさんだった



 良かった帰ってきたな


 注文を聞くのを二人より早く終えていた僕は、そのポルカさんの声が聞こえた方向に目を向けた


 同時に、僕は機械音を発しているであろうものがぼくの目に入った 


 そのことに僕は驚きを隠せなかった



 以前、アリアとリドから、乗り物は馬しかないと言われていた


 だからこそ、見た瞬間、日本に目だけが戻ったのかと錯覚してしまった



 けれど、そんなことがあるはずもなく


 僕は積み木で創った世界で起こった出来事なのだと分かった




 この世界にあるはずがない、そう思っていた乗り物をポルカさんは自分の店の近くに停めた


 そして、彼女は乗り物のドアを開け、大量に商品の入っているはずの袋を抱えてドアを閉めてきた



 笑顔で袋を抱えてきた彼女は


 「お待たせ!!」 

 

 と平然とした顔で僕たちに手をふっていた 


  

  





 接客を終えたアリアとタイニーの二人だけ(お客さんは無反応)は、口をパクパクとさせて驚いていた


 ポルカさんの後ろにある鉄の塊を指さして



 その二人の様子を見た彼女はポンと手の平を叩いた



 「ああ、そっか。二人はこれ見るの初めてよね?そりゃ驚くわよね!」


 そう言って彼女は商品の入った袋を店に持っていき、お客さんの前で袋を開いた



 「でも、その説明の前にお客さんの注文の品を渡してしまおう!!」


 とりあえずね?というポルカさんの言葉をかろうじて聞いた二人は、さっきの接客が嘘のように、とても静かに注文の品をお客さんに渡していた












 お客さんの注文の品を渡し終えた僕ちポルカさんは一息ついていた


 品物を渡す間も、二人はポルカさんが乗ってきたものが気に仕方がなかったようで、二人は爆発するようにポルカさんに質問をぶつけてきた



 「ぽ、ポルカさん、あれなんですか!?」


 「そうだよ!!何!?」


 震える声でポルカさんが乗ってきた物体を指すアリアとタイニーの姿を見て、彼女は笑っていた



 「ふ、震えるほど怖かった?まあ、確かに使い方を誤れば人を殺してしまうようなものなんだけど・・・」



 そういうポルカさんは僕の方も見てきた



 「そういえば、ハジメくんはそんなに驚いてなかったみたいだけど?」


 ポルカさんの疑問に、僕は見たことがあるからと答えていた



 「あんな風に人がいるところを突っ込むことは無いですが、僕のいた世界にも車はあったんですよ」


 そう言った僕の言葉に、その場にいた全員が首を傾げることになった。


     

 二日間、更新できず申し訳ありませんでした。用事がなんとか終わったので、今日は投稿します。


 鉄の塊やドアの開け閉め、機械音などで、ポルカが何に乗ってきたのか想像してもらいたかったのですが、想像できたでしょうか?


 答えはタイトル通りです。日本では普通に走っているので、創は見たことがあると答えてしまいます。これが創の首を絞めることに・・・


 続きは明日、投稿しますね。


 今日はこれで失礼します。

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