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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
157/189

壊れないように

 「ま、でも。水やりを疎かにしてしまう人や少し育てるのをサボッてしまう人、一生懸命育てていてもなかなかうまく育てられない人が育てることができるようにする、それがあたしの商売でもあるけどね」


 悲しそうな表情の顔から商売人の顔になったポルカ姉の立ち直りは早かった


 

 そうだ


 皆が皆、ぼくたちのように植物を育てるのが好きっていう訳じゃないんだ


 平気で枯らしてしまう人もいれば、とりあえず見た目の良いものだけ買って、枯れた後はすぐ捨ててしまう人だっている


 必要ないと思えば、それだけで切り捨ててしまう


 それを心無いと言えばそうなんだけど、その言葉一つで人を括ることはできないとぼくは思うよ



 だって、いつも植物を育てるような余裕、自分以外のことを考えられる余裕があることが理想だけれど、実際はそうじゃないよ?


 笑顔の裏には、他の人が知らない苦労や悩み、不安を抱えて生きている人が世の中にはたくさんいる、ってぼく知ってるから



 ハーブ園で一緒に働いている人もそうだった 


 以前、風の国の僕が働いていたハーブ園でハーブをごっそり持っていこうとした大人もきっとそうだったんだ


 他の人が知らない苦労をしているから、何かに悩んでいるから、不安からどうにかして抜け出したいから、他人のことを考えずにあんなことをしてしまったんだ



 本当は皆いい人なのに


 暗い気持ちはぼくたちが思っているよりも、重く心にのしかかってきてしまうんだ

 

 そんなに重く考えなくてもいいのにと思うけれど、その暗い気持ちにさせた原因がその人にとって重要であればあるほど、他の人に簡単に話すこともできないし、貯め込んでしまうんだよね?


 きっと、ハジメ兄なら僕の疑問にそう答えてくれるんじゃないかな



 仕方のないことなんだよね




 



 でも、ぼくはこうも思うんだ



 その暗い気持ちを貯め込んでどうするの?


 いつまでも、傷ついた心の中深く、貯め込み続けられると思ってるの?

 


 暗い気持ちを貯め込むことにも限度があるよ


 その限界は、やがて人の心の破裂と言う形できてしまうんだ



 破裂した後、病気として身体に出てきたり、人との付き合いに疲れを感じたり、すること全てを無駄と思って、無気力になったりするかもしれない


 自分自身がどうでもよくなって、人のものを盗んだり、他人の心を傷づけたり、大切な命を弄んでしまったりするかもしれない



 でも、それでいいの?


 本当の気持ちはどこにあるの?


 心の中の暗い気持ちを貯め込んで後悔したこと、一度もないの?




 ぼくは貯め込んでいる人がいたら真っ先にそう言ってしまうかも


 その人が何に悩んでいるのかも聞かずに



 無責任かな、それとも傲慢なのかな?


 そう思われてもいいや



 その人が壊れちゃうより、絶対いいと思うから


 

 ぼくはこのことを忘れないようにしようと思う

  


 ポルカ姉が土の状態について話しているのを、耳半分で聞きながらそんなことを考えていた










 ~ 土の織り籠 食堂 ~

 

 タイニーが自分の心に誓っている頃、僕はリドと火の国のことについて話していた



 「リド、火の国はどんなところなの?」


 「火の国か?」


 「うん。前、アリアに衣食住以外でこの世界に必要なものを開発すること、火に関係するものを扱うことが得意って聞いてたんだけど・・・」


 僕が以前アリアに教えてもらったそれぞれの国のことを思い出しながら言っていると、リドは眉間にしわを寄せてから僕に教えてくれた


 「火の国は、開発することと火に関係するものを扱うと聞いたかもしれないが、それは建前なんだ。俺が火の国から移動してくるときもそうだったんだけどな、今は専ら開発の方しかしていないんだ」


 リドの言葉に、のんびりとフォークを構えて食べていたマッドが勢いよく振り向いた


 「えっ!?じゃあ、火の国って今、火の力はあんまり使わないのか?」


 「ああ、火の力はその人が努力して得られるものじゃないから、あまり火の国では力を持っていることを誇りに思うやつはいないんだ」


 だから、表だって使うのはせいぜい加護者だけだな、と言って腕を組むリドはまだ何か言いかけたようだった


 「でもな・・・」


 「でも?」


 僕がリドに言うように促すと、唸りながら僕たちに話してくれた


 「ハジメが探している加護者はな、火の力を使うのを嫌がって、火の国中を逃げ回っているみたいなんだ。あ~、俺がいた時でも、その捜索期間は5年を超えてたんだ。今でもきっと見つけられていないだろうな。加護者として必要なものは織り籠に置いてるから、基本的には困らないんだが・・・」


 そう言って、リドはマッドの胸元にかかっているペンダントを指差した



 なるほど


 火の国の加護者は加護者だけれど、加護者の仕事をすることを放棄してしまったということなのか


 僕はリドの話を頭で整理してから頷いた




 「でも、そんなのが加護者でいいのか?」


 マッドが納得いかないという表情で聞いてきたので、リドはため息をついていた



 「火の国は加護者を中心としてないから、いなくても大丈夫なんだよな」



 その言葉にマッドは固まった。 


  

 昨日は眠気に負けてしまい、気づいたときには朝でした。電源の着いたパソコンの画面の時計を見て、朝一番で奇声をあげてしまいました。ごめんなさい。


 今日はタイニーの言葉で人生観について語ってみました。


 今日はこれで失礼します。

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