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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
156/189

市場長たる

 マッドと僕がリドの料理を堪能していると、リドがフライパン片手に僕たちに話しかけてきた


 「そういえば、タイニーはどこに行ってるんだ?」


 今朝から見かけないんだがと言われたので、僕はリドに昨日の出来事も含めてタイニーが今いるはぞうの場所を伝えた


 その説明の後で、マッドはポルカさんについて詳しく教えてくれた



 彼女は、その土地の性質と生産予定の作物、作る人の仕事ぶりを見て適した土の改良に優れた人で、土の改良に関する専門家、プロフェショナルだった


 市場長として抜擢されたのは、その技能と彼女が持っている仕事に対する責任感の強さからだったのだと、彼は語った

 


 マッドの話を聞いているうちに、僕はふと疑問に思ったことがあったので訊ねる


 「マッドはポルカさんからマッドの旦那って呼ばれているけれど、それはどうして?」


 「ああ、それはな・・・」


 そう言いながら、彼はポルカさんに出会ったときのことも話してくれた



 随分前、僕が消えた洞窟の前でポルカさんは倒れていたそうだ


 そのポルカさんを助けた後、商人になるために来たと言う彼女の話を聞き、土の織り籠にある市場の当時の責任者まで送ったのだという



 「つまり、マッドはポルカさんの命の恩人ってわけだな」


 リドが洗った食器を手に戻ってきたのを見て、僕は頷く


 マッドもリドの言葉に首を縦に振りながら話し続けた



 「みたいだな。それから会う度に旦那、マッドの旦那って言うようになったんだ」


 おかしいだろ?と言うマッドを横目に見て、僕は思った



 きっと、それはポルカさんなりのマッドに対する感謝の仕方なんだろうな


 僕がそう思ってからクスッと音をたてて笑っていると、何笑っているんだと注意されてしまった


 「いや・・・、何にもないよ」


 面白いから黙っておくよ、とは言えないので僕はできる限り静かに笑う


 僕の行動に納得していない様子のマッドは、首を傾げながらコップに注がれた水を一気に呷った




 込み上げてくる笑いを堪えながら、僕は今朝ポルカさんに連れて行かれたタイニーのことを思い出す



 タイニーはポルカさんの家でしっかりと自分が学びたいことを学べているのだろうか


 僕はタイニーのことを心配しながら、好物のクルミパンのかけらを口に放り込んでいた











 ~ ポルカの家近く ~

 

 「ポルカ姉のお家、そろそろ?」


 ぼくはポルカ姉と一緒に彼女の家に向かっていた


 「そうよ~。ほら、あそこにある家があたしの」


 見える?と聞いてくるポルカ姉に促され、彼女の目線の先を見てみると、広々とした畑の中心にその家は建っていた


 小さなレンガで造られた家は、一人で暮らすには十分な広さがあるようにぼくには見えた



 うーん、市場長なんて偉そうな肩書きを持っている人だから、てっきり豪華な家なのかなと思っていたんだけど


 外れた予想に唸りながら、ぼくはその家に足を踏み入れた




 「おじゃまします!!」


 とにかく、今日は土の改良の仕方を学ぶんだ


 やる気に満ちているぼくの頭をポルカ姉は、よしよしという感じで撫でてくれた

 

 「うん!元気があってよろしい」


 じゃあ、始めようかというポルカ姉の言葉を皮切りに、ぼくは土の改良の仕方について教えてもらうことになった




 「ハジメくんから聞いてたけど、風の国ではハーブ園で働いてたんだって?だったら、あたしの話をじっと座って聞くよりも、実際に私の畑をいじって学ぶ方がいいと思う」


 ね、タイニーちゃん?と言われたので、ぼくは力強く頷いて同意した



 人の話を「聴く」のももちろん勉強だって知っているけれど、実際に体を動かしながらの方がぼくは大好きだ



 心の中でガッツポーズをしていると、ポルカ姉に案内された外の畑を眺めてみる


 すると、元気な作物とそうでない作物があるということが分かった


 たまたまぼくの近くにあった萎れていた作物の様子を見ていると、ポルカ姉はなぜ萎れたものがあるのか、教えてくれた


 「これが萎れているのは、今のここの畑の状態がこの作物に適していないから、それは分かる?」

 

 「うん、分かる!!」


 ぼくが作物の葉の状況を見ながらポルカ姉の話に相槌を打っていると、ポルカ姉に土の具合を見るように言われたので実際に触れる


 「じゃあ、土の具合を見て、何が足りないのか判断してみて。これは基本的なことだから分かるだろうけど、土の中には触らないと分からないもの、見た目だけでは正しく判断できないものがあるのよ。よく覚えておいてね」


 僕が指先と手の平を使って土の感触を確かめていると、土に全く水分が含まれていないことが分かった


 「お水が全くないね」


 さらさらと音をたてて落ちていく土を見せながら、ぼくはポルカさんの方を向く



 「そう!これは水不足っていう状態が、作物に影響を与えているの。だから、今この作物は萎れているのよ」


 基本中の基本だけど、水やりを疎かにしてしまうような忙しい人だったり、作物をそだてることにズボラな人は、してしまいがちなのよ



 そう言って萎れた作物に触れるポルカ姉の姿は、とっても悲しそうだった。



 今回からタイニー編です。タイニーの奮闘ぶりもそうですが、それを心配するハジメの心情にも注目してほしいです。行ったり来たりで申し訳ないです。


 今日、マイページを開いてみたら、お気に入り登録が10人になってました。驚いたと同時に、嬉しいなと思いました。少なくとも10人は積み木の世界を読んでくれているのかなと分かるからです。私は幸せ者です。頑張ります。読者の方も、書いてる私自身も楽しくめる物語にしていきたいです。


 ありがとうございます。今日はこれで失礼します。

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