表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
153/189

壮絶なたたかい

 僕が海を見渡していると、後ろから足音がした


 その足音の持ち主に進路を譲るように僕は甲板にある椅子に腰かける



 振り返った直後、ドポンと音をさせてエメラルドグリーンの髪が海の中に散らばるのが見えた


 飛び込んだ後、顔を上げ、水しぶきをあげながら思いっ切り彼女は息を吸う



 「気持ちー!!」


 息を吸い込んだ後に言った言葉はそれだった


 

 「アリアさん・・・」


 僕の横に歩いてきたアーシィが腕組みをしてアリアの様子を見ている


 「いくらなんでも、飛び込みはまずいですわよ?」


 「あ、いいのいいの!!」



 慣れてますからと笑顔で言うと、アリアはさらに深く潜っていった


  

 そのアリアの行動にアーシィはちょっとイラついているようだった


 だから僕は機嫌を損ねないようにアリアのことをフォローする



 「アリアは泳ぐのが好きだからね。好きにさせとくのが一番だと思うよ」


 テーブルに頬杖をつきながら言う僕に、一瞬呆れたような視線でアーシィは見た



 が、その後諦めたように僕の目の前にある椅子に座り込む



 「まあ、いいですわ」


 そう言ってアーシィは僕と同じようにしてアリアが帰ってくるのを待ったのだった









 海から吹いてくる風に寒さを感じテーブルから顔をあげると、泳いで満足したアリアが海から上がってきた


 「は~、久しぶりに泳いだ!!」


 満足、という彼女にアーシィも僕と同じように顔をあげた



 「それはよかったですわ」


 アリアの前に立ちアーシィはアリアの頬に手を持ってくる



 「でも・・・」


 アーシィの手はアリアの頬を軽くつねっていた



 「飛び込みは、危険ですわよ?」


 ね?という優しい問いかけとは裏腹に、表情は厳しいものだった



 「いひゃい!分かっら、分かっらからアーヒィ!!」

 

 アーシィの小さな叫びにアーシィは頬から手を離した



 それに観念したアリアが頬を押さえながらアーシィに宣言した


 「もう、分かったよ。アーシィの前では飛び込まない!!」


 絶対と言いながらさするアリアに、アーシィは額に怒りを浮かべていた



 「私の前以外もですわよ?」


 いいですわね、と言ってつねろうとするアーシィが近づいてくるのをアリアは少しずつ離れていく



 「・・・」


 「アリアさん?」


 アーシィが頬に再び頬に触れようとしたとき、彼女は身を引いていた


 「嫌ー!!」


 そう言って逃げ出したアリアをアーシィは追いかけていく



 僕は二人が駆けて行くのを静かに見送った









 二人が船から去ってから戸締りをし、橋を取り去っていた


 来る前の状態に戻った船を見てから、僕は丘へと戻って行った




 その道中で僕は思っていた


 そろそろ、次の国に行くべきなのではないか、と


 

 







 ゆっくりと丘にたどり着いた僕は、二人の頬に赤い痕があるのが見えた


 つねり合ったのだろうか、二人とも頬を痛そうに押さえていた



 僕が丘に来たことに気づいたアーシィはその場に立ち止まる


 頬を押さえながら彼女は震えていた



 彼女の心の声はこうだろう



 私は・・・、アリアさん相手とはいえ、子どもじみたことを!?


 その現場を見られていないとはいえ、ハジメならばきっと見抜いてしまうはず


 どうしてこんなことをしてしまったのか・・・



 それは彼女の顔に書かれている文字が示していた


  

 まあ、アリアが僕が来たことに気づいたから、彼女が全く気にする必要の無いものになっていったのだが




 アリアの言い分に耳を傾けている間、アーシィは頬についた赤い痕を消そうと必死にもみ込んでいた



 







 アリアの言い分とアーシィのもみ込み行動が落ちついたとき、僕は二人に提案した



 「あのさ、そろそろ戻った方がいいんじゃない?」


 「どうして?」


 首を傾げているアリアに、僕は丘にあるトンネルを見ながら説明した



 「帰らないと大変なことになる人が一人、土の織り籠にいるから」


 「あ!」


 なるほど、というと手を合わせたアリアは僕と一緒になってトンネルを見つめる



 「マッドね?」


 「うん」


 僕が頷いたのを見て、アリアは当たったと嬉しそうに声をあげていた


 アーシィも僕に言われて気づいたのか、深刻そうな表情をして頷いていた



 「そうですわね・・・。これ以上放置してしまったら、彼の命が危ういことになりかねませんわね」


 そろそろ帰りましょうというアーシィにブレスレットを借り、僕とアリアはぽっかりとあいた穴の中の前に立つ


 そして、僕たちは身を踊らせるようにして穴に飛び込んだ











 創たちがマッドを心配しているその頃、加護者の部屋では壮絶な戦いが繰り広げられていた


 「はい!次、この書類に目を通してサインを」


 「またっすか!?」


 「ええ、そうですよ」


 ニッコリと微笑みながら横に大量に置かれる書類を持ってきたウィズさんをオレは見上げた



 「もう、身が持ちません・・・」


 「仕方ないのです。アーシィがいない今、加護者として書類整理をできるのはあなたしか、マッドしかいないのですよ?」


 「それは分かってますって・・・」


 

 はあとため息をつくオレを見た後、ウィズさんは部屋を出て行く


 

 きっと次の書類を持ってくるに違いない


 

 オレは見ても終わらない書類の山に絶望しながらも手をのばした。



  

 アリアはアーシィに飛び込みを注意されてもきっとやめないことでしょう。泳ぐの大好きですから。無理です。


 頬が赤くなった痕は、アーシィが飛び込まないようにアリアに言い聞かせるときに、アリアも負けじとやり返したためにできてしまった痕です。アーシィは子どものようにつねりあったことに恥ずかしさを覚えています。


 最後にマッドの書類との格闘。ウィズさんが次から次へと持ってくるため、マッドはボロボロ状態。いつ倒れてもおかしくないくらいに。でも、基本的にまじめなので、仕事はこなすという彼。過労死しないか心配です。物語では誰も死なせる予定はありませんので安心してください。


 いつもより少し時間があったので、今日投稿した内容の解説みたいなものを書いてみました。読者の方が分かりやすいなと思ってくれることを願ってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ