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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
151/189

精霊の踊り

 また、あの土の迷路を通っていくのか


 トンネルはそう思う僕を完全に吸い込んだ


 

 暗がりの中に土の壁が永遠と続く、またそこに行くのだと思っていた僕は目を瞑る


 土の感触を待つために



 けれど、いくら僕が待っていても、トンネルの中で体験した感触は手に来なかった




 感じるのは爽やかに吹き抜ける風と土の香り、そして近くにある海から運ばれてくる波の音だった


 僕はゆっくりと目を開く



 見えるのはトンネルの中でなく、船が見える丘の草原の上だった




 「は?」


 僕が一人草を握りしめて座っていると、アーシィが僕の頭を軽く叩いてきた



 「何をとぼけておりますの?もう着きましたわよ」


 ほら、とアーシィに言われるままに僕はその場に立ち上がる



 二人は何事も無かったように伸びをしたり、海の様子を確認したりしている


 

 「私、先に船に行ってくるね!!」


 止める間もなく、アリアは一人船まで駆けて行ってしまった



 そのおかげで、草原の上には僕とアーシィだけが取り残されることになった



 アリアはともかく、アーシィはトンネルを使ったことが何回かあるはずだから、僕の疑問にきっと答えてくれるだろう



 駆けて行ったアリアを見送っているアーシィに、僕は疑問に思っていることを伝えた



 「アーシィ、君はトンネルの中が永遠に続くかもしれないと思うような、土の迷路になっていること、知ってるよね?」


 僕の疑問にアーシィは僕に目線を合わせ、同時に目を丸くしていた



 その後、アーシィは僕の肩をガシッと掴んできた



 「それは、一体どこで知りましたの?」


 「え、どこでって・・・、マッドとトンネルの中で会う時、かな?」



 アーシィの鬼気迫る表情に僕は戸惑いながら答えた



 僕の答えに彼女は唸った後、僕に土の力とトンネルでみた景色の関係を説明してくれた



 僕が見たトンネルの景色は土の力を持った者でも滅多に見られない景色で、その景色が見えるということは土の力を持つアーシィとマッドと同等、もしくはそれ以上の力が僕にあるという証になるということだった



 僕が土の加護者が持つ力と同等、もしくはそれ以上の力を?


 あり得ないと僕が思って首を振っていると、白と黒の世界、裏の世界でリンネに言われたことを思い出した



 「・・・この空間は創と私、両方が干渉できる場所です。ですから、あなたもこの空間は土の加護者と同じように行き来できますよ」



 確か彼女はそう言っていたような


 僕はそのことを思い出すために、使わない頭をフル回転させていた



 じゃあ、僕が土の力と同等、それ以上の力を持ったのはあり得ないことではない?


 僕がそのことに目を白黒させていると、アーシィが話しかけてきた



 「基本的にそのことは伏せておくのが賢明ですわね」


 小声でも僕にしっかりと届く忠告に、僕はコクコクと首を縦に振って答えた



 「いついかなる時でも強い力は混乱を呼びますわ。その力を使えるハジメ自身も、その混乱に巻き込まれることになる」


 でも、というアーシィは僕に今までにないくらい優しく微笑んでいた


 「その力を使うのはハジメ、あなた自身ですわ。あなたの考えている使いどころを間違えなければ、それはきっとあなたにとって心強い力になりますわ」


 そのことを肝に銘じて忘れないことですわね、というアーシィの周りに琥珀色の光の粒が集まってくるのが見えた


 

 僕がその粒の流れを目で追っていると、アーシィはこれが見えますの?と聞いてきた


 僕は目で粒の動きを見ながら、彼女の質問に対して頷く



 その僕の行動を見て、アーシィはいきなり僕の手を取ってきた

 

 「な、何!?」


 僕は驚きのあまり声が裏返ってしまった


 僕の動揺にアーシィはクスリと笑っていた



 目の前でパニックに陥っている僕を見ていたアーシィは堪えきれなくなったのか、あははと片手でお腹を押さえて笑っていた


 「いえ、やはり純情ですわね・・・っ」


 あははと笑いを堪えきれないアーシィ僕は睨む



 その視線に気づいたアーシィは僕の手を握ったまま、弁解してきた



 「ハジメの態度があまりにも面白かったのでつい・・・。本当にごめんなさい。ハジメの手を握ったのはからかうためではありませんわ」


 そう言って、アーシィは周りに溢れている琥珀色の光の粒を見渡す


 「この光の粒は、土の国特有のものなのですわ。この粒が集まってきたときは大地が感謝の気持ちを欲しているときなのですわ」


 そう言うアーシィに僕の乱れた心は落ち着いていく


 「だから、できる限り感謝を示すためにも大勢で踊ってあげなければなりませんの」


 そう言って、アーシィは光の粒を愛おしむように触れる


 彼女の手に触れた光の粒達が丘の上にサークルを作った



 「手を取ったのは光の輪の中で一緒に踊るため、ですわ」


 さあ、というアーシィに引かれ僕は光の粒でできたサークルの中に足を踏み入れる


 

 「僕踊れないんだけど」


 「構いませんわよ」


 アーシィは僕の手を取ると、僕をリードしながら軽やかに草原の上で踊る



 琥珀色の光の中で軽やかに踊る彼女の姿は、大地とともに踊る精霊に見えた。



  

 アーシィの踊り、というより舞ですね。創はアーシィに引っ張られながらもなんとかステップは踏んでいます。どうすればいいのか分からないので、ほとんど放心状態ですが。


 今日も遅くなりました。申し訳ないです。今日はこれで失礼します。

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