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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
147/189

彼女の計画

 ベッドの上で僕は目覚める


 目を擦りながら上体を起こし、ここがどこなのかを確かめる


 

 たぶん土の織り籠の中だとは思うけれども、一応ここがどこなのか把握しなければ



 僕はベッドから起き上がり、窓に近づく


 そこから見える景色は琥珀色の回廊に包まれた場所、織り籠だった



 木々はもちろん、花々は太陽の光を受け、生き生きと咲いている


 その下で草も地に足を付け、根を張っていた



 僕はそんな雑草を嫌いじゃないと思う



 雑草根性という言葉を聞いたことがあるだろうか


 あれは純粋にいいと僕は思う



 彼らは口があったらきっとこう言うだろう



 踏まれたって生えてやる


 枯らされたってまた生えてやる


 生えて、生えて、生えまくってやる



 人間たちが嫌がったって生えてやるんだ



 花を咲かせたりできないかもしれないけれど、雑草でも生きているものは生きているんだ


 緑色をしている草たちが己のプライドをかけ、そのように声をあげているような気が僕はするのだ



 何も根性論を推奨するわけではないが、何が何でも生えてやるというその意思に僕は敬意を表したい


 僕が窓できれいな花に目もくれずに雑草を見つめていると、視界を後ろから覆われてしまった


 その後、僕の視界を奪った犯人の声が聞こえてきた



 「だ~れだ?」


 ふふ、と笑みをこぼしながら言う手の持ち主は、僕が良く知っている人だった



 その人の名前を僕は口ずさむ


 「・・・アリア」


 「正解!!」


 はいと言うと僕から離れていく



 どうやら僕が振り返るのを待っているようだ

 

 それならと思って僕が彼女の方を振り返って見たときだった



 どこからともなく手が伸びてきて僕を窓の外へと引っ張っていく


 僕はそのことに対応しきれずに、身体は引きずられていった



 不安定な体は後ろに倒れていくもの。それが分かった時点で僕には恐怖という言葉しかなかった



 倒れていいことなんて、そうそうない


 僕はそう思い衝撃を覚悟し目を瞑った


 


 しかし、衝撃はいつまで経っても来なかった


 僕はおそるおそる目を開け、顔にかかる影の正体を確認する



 僕が後ろを向いている間に窓から手を伸ばし、僕を窓から出したのはタイニーと僕にご執心のあの女性だった



 「おはよ、ハジメくん。今日もいい天気ね」


 抱きかかえられた状態で言われた挨拶に僕は少し呆然としてから返す


 「おはようございます、ポルカさん」


 僕はポルカさんの腕の中で縮こまりながら頭を軽く下げた



 その光景に部屋の中にいたアリアは口をあんぐりと開けている



 何よこれ!?私の計画が全部水の泡じゃない!?


 どうしてくれるのよ、という表情で窓に立っている女性を私は睨みつけていた





 

 



 ~ 早朝 ~


 私はいつものように早めに起きていた

 

 昨日はハジメを専用の部屋に送って寝かせた後、すぐ彼の部屋から退散した


 タイニーが私の行動を見張っていたと、ハジメの部屋に入る前にマスターから言われていたからだ


 つまんないな、と思ったが明日の朝、皆が寝ているすきにハジメの朝一番の寝ぼけた顔を拝むのも悪くないわね


 そう思いたった私はすぐさま就寝した




 張り切って就寝した日の翌日、朝日とともに私は起きる



 「う~ん、良く寝た!!」


 ベッドの上で背伸びをして、太陽を確認する



 うん、時間バッチリね


 私はそう思ってベッドから飛び起き、身支度を整えて自分の部屋のドアを豪快に開け放つ



 さあ、行こう



 私はドアをバンッと音を立てて閉めながら、ハジメの部屋に向かうことにした




 琥珀色の廊下を走り抜き、私はハジメの部屋の前に到達する


 さっきの自分の部屋のドアと違い、私は慎重にドアを開ける



 大きな音をたててしまったらハジメが起きるかもしれない



 絶好の寝顔チャンスを見逃さないわけにはいかなかった


 けれど、私の期待は見事に外れた



 ハジメはもうすでに起きていて、窓の方に視線を向けていた




 寝顔が!!


 少し落ち込んでいた私だったけれど、その後面白いことを閃いた



 今、ハジメは私に背を向けている


 ということは、音をたてずに入ってしまえば、後ろから目隠しができるってことになるんじゃないの?


 よし、それだ!!


 それで行こうと考えた私は静かにドアの中に入る


 

 ハジメは私が入ったことに気付いていないようだ



 今だ!!


 私はハジメの目を後ろから隠すことに成功した



 隠されたことに驚いたハジメに私は問う



 「だ~れだ?」



 その言葉を聞いたハジメが私を当てていた


 「・・・アリア」


 「正解!!」


 私はその後、ハジメが後ろに振り返って来てくれるだろうと信じていた


 だから、私は思いっ切りその後ハジメの後ろから離れた




 その時だった


 私の計画に水を差した人物がいた



 その人物はハジメを窓の方へと引っ張って行ってしまった


 私はその状況に口を開けるしかなかった










 「で、ポルカさん。朝早くから僕に何の用ですか?」


 「冷たいな~、ハジメくんは」


 ハイと言って、僕を軽々と窓の桟に腰掛けるようにさせて固定させたポルカさんは口をとがらせていた



 「いきなりこんなことをされたら誰だってこうなりますよ?」


 僕の正論に反省したのか、ポルカさんはごめんなさいと上目づかいで僕に謝っていた。



 今日はこれで終わりにしたいと思います。おやすみなさい。

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