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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
145/189

変わる景色

 突っ伏したハジメを私は揺する


 「ハジメ、ハジメ!!」


 しっかりするように揺するがハジメから返事はない

 


 私がさらに起こそうとしているとマスターが私の肩を掴んできた

 

 「そんなに揺すったら逆にハジメの体に悪いぞ」


 な?というマスターの忠告を聞き、私はハジメから手を離す



 私の様子に気づいた皆がハジメが突っ伏しているテーブルに近づいてきた

 

 「なんだ?」


 「どういうことですの?」


 マッドとアーシィが駆け寄ってきた後に、タイニーも飛ぶようにやって来た

 

 「ハジメ兄!?」


 叫んでいるタイニーの横にウィズさんがデニーさんを引っ張って連れてくる



 食堂にいた人が全員揃っていた時だった


 私はハジメがテーブルに突っ伏してしまうまでのことを簡単に説明した




 「ハジメはお酒に弱かったのですね・・・」


 その話を聞いて気の毒そうに彼を見ているるウィズさんを、デニーさんが横から話しかけてきた


 「俺が勧めてもな~、酒は未成年だから飲めないんだと。だから、飲ませようとしても飲まなかったんだ」



 デニーの話を聞いて、私はそのことに矛盾を感じていた



 確かハジメは私より一つ年上、18歳だったと思う


 ここでの成人は18と教えた


 だから未成年とは言えないんだけど・・・


 

 その矛盾に私が頭を悩ませていると、デニーさんはさらに話を続けていた



 「そんな酒を飲まないとこだわっていたいたハジメが、急に度の強い酒を飲んでしまったらな~、一溜まりもない」


 だろ?というデニーさんに周囲は頷く



 「そりゃまあ、そうなるな」


 「ええ、そうですわね」


 アーシィとマッドはデニーさんの話を納得していた


 その二人の納得の後にウィズさんが手を叩いて私たちの注意をひきつけた


 「はい。もう夜も遅いですし、終わりにしましょう。アリアさんたちは土の織り籠に泊まるところがあるから泊まって行ってくださいね」


 そんなウィズさんのお言葉に私たちは甘え、泊めてもらうことになった




 静かに寝息をたてて突っ伏していたハジメを私は抱きかかえる


 規則正しく聞こえるハジメの寝息と桜色に染まった頬で安心したように寝ている彼の寝顔を確認し、私は安堵していた



 ふふ、かわいいなあもう


 ハジメの顔を私がまじまじと見つめていると、下から突き刺さるような視線を感じた



 ハジメを抱えた私を恨めしそうな目で見るのはタイニーだった


 「ハジメ兄はぼくのだからね!!」


 今日の間だけだよ!と言うタイニーはビシッと私の方に指をさしてくる



 はは~ん、さてはタイニー


 私に嫉妬してる?



 私は面白くなってハジメを抱え上げたままタイニーを見下ろした


 「今日だけ、と言わずに明日もハジメは私のものにしよっかな」


 挑戦的な私の瞳を受け、タイニーは負けないように背伸びして私の目線に近づこうとしていた



 負けないぞ


 そういう声がタイニーから聞こえてくる気がする



 そんなタイニーに見せつけるようにハジメをもう一度抱えなおす


 「タイニー坊ちゃんは、ハジメを抱えることなんてできないもんね?」



 私の指摘にタイニーは「う」と声をあげていた


 タイニーの目が涙で濡れるのに時間はかからなかった


 

 「うう・・・」


 歯をくいしばり、タイニーは本当に悔しそうな表情をしていた


 その後マスターのところに走っていくタイニーが見えた



 勝った


 私はささやかな勝利を喜んでいた



 けれど、ハジメが起きていたらきっと彼女にツッコんでいただろう


 

 大人気ないよアリア、と












 ~ あの夢の中 ~ 



 アリアが運んできてくれた飲み物を飲んでから、どのぐらいの時間が経ったのだろうか


 僕はいつも見るあの夢の中へと来ていた


 

 この前は透き通るような水色の瞳の人が話しかけてきた


 それだけで終わっていた


 そのことを考えたら、湖の底から上がり、木にもたれかかっていたことを不思議に思った



 僕はもたれていた木の上を見上げる


 葉の隙間から見える光が僕を微かに照らす



 その光に目を背けていると、一人の女の子が木の上から落ちてきた



 悲鳴も上げずに


 すっぽりと僕の腕の中へ




 ええ!?


 僕は急な出来事に驚きを隠せないでいた



 女の子は落ちると思っていたのか、僕の腕の中で体を強張らせていた


 


 3歳ぐらいかな


 僕はそう思って落ちてきた女の子に声をかけた



 「大丈夫だよ」


 ね?という僕の言葉に女の子は身体の強張りを解いていく



 そして、そっと目を開け僕の方を見てきた



 その瞳は湖の底であった人物と同じ瞳の色をしていた


 透き通る水色の瞳



 心配そうな表情で僕を見上げてくる女の子に僕は怪我がないか確認する



 「痛いところはない?」


 僕の言葉を聞いた女の子が僕の瞳をまっすぐ捉えていた

 

 「うん!ないよ、お兄ちゃん」


 二パッという音が聞こえそうなほどの笑顔に僕も自然と笑顔にさせられていた


 

 にっこり笑顔、そしてひねくれていない純粋な瞳



 僕もそんな時代があったのかな


 僕が一人自分の小さい頃を思い出していると、女の子がいきなり僕の腕の中から飛び出していた



 「遊ぼう!!」


 ほら早くというように僕の手を引っ張ると、木から僕を離していく


 

 僕はその女の子に導かれて湖のところまで来ていた。




 創がよく見る夢の中で、女の子が出てきました。創は、いきなり湖の底から景色が変わったことに驚いているようです。

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