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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
139/189

大丈夫

 マッドを置き去りにし、僕たちは織り籠の前にたどり着く



 「マッド兄・・・」


 大丈夫かなと心配しているタイニーに、僕は心が痛んだ



 年相応に見られていないただそれだけのことなのに、大人げなかったかも

 

 反省していると、アーシィが横でため息をついていた



 「全く、マッドは・・・」


 もっと加護者としての自覚を持って・・・と言っているアーシィは眉間にしわを寄せていただけだった



 あれ?もしかしてアーシィ、僕が言ったことが嘘と気づいていないのか


 だとしたら、そのことがばれてしまった時命が脅かされるのは



 この僕・・・?


 

 とんでもないことをしでかしてしまった


 そう思った僕は自然と震えていたようだ



 「ハジメ兄?」


 タイニーにその震えを気づかれてしまった



 「大丈夫・・・」


 いや大丈夫じゃないけど、そう言っておかないとどうにかなりそうだ




 でも、マッドを置き去りにしたのはいけないことだ



 織り籠の中に入っていく二人を僕は呼び止める



 「やっぱり、マッドを迎えに行ってくるよ」



 僕の言葉にぼくも行く!と声と手をあげたのはタイニーだった



 「マッド兄が可哀想だもんね」


 行く、行く!と言って張り切っているタイニーに、アーシィは仕方ないですわねと言っている



 「私も・・・」


 そう言っているアーシィに織り籠の兵士が近づいてきた



 「アーシィ様!!」

 

 血眼状態でアーシィに話しかけてきた兵士をアーシィは一瞥する



 「何の御用です?」


 「急ぎ、食堂に向かってください!!我々では事態を収拾できません!!」 


 すがるような目で見てくる兵士にアーシィは頷いて見せる



 「分かりましたわ。詳しい内容は食堂に向かう途中で聞きますわ」


 少々お待ちをというアーシィは僕たちの方に視線を向けた



 「事態がどういうものかは分かりませんが、何やら面倒なことが起こっているみたいですわ。だから、ハジメとタイニーはマッドのところへ向かって下さいな」


 お願い致しますわ


 そう言い残した後アーシィは兵士と一緒に織り籠の中へと入っていった



 「食堂、アリア姉もマスターさんもいるけど・・・」



 大丈夫かなというタイニーを僕は励ます

 

 「きっと大丈夫さアーシィが向かってるから。僕たちはマッドを迎えに行こう」


 ね?という僕にタイニーはしっかりと頷いてくれた



 「うん!はやく迎えに行こう!!」


 僕よりも早く駆け出すタイニーを追いかける形で、マッドの所へ向かうことになった



 けれど、僕たちは先ほど二人に言われたことをすっかり忘れていた


  


 暗闇に紛れたトンネルが僕たちに危険をもたらすということを  


 







 

 


 「ハジメ兄!!確かこっちだよ」


 マッド兄が倒れている所に行く道は、というタイニーが後ろを振り返るのが見える


 そんなタイニーに僕は聞こえるように大声で分かったと伝える



 土の感触を踏みしめながらマッドのもとへと向かう僕たち以外、この道を行き来している人は誰一人としていなかった



 僕たちを見ているのは、青白く照らしている月と少し雲のある夜空、そしてひと気の感じられない建物だった



 タイニーを見失わないように僕は追いかける


 

 さっきアーシィたちと行った道はこんなにジグザグと曲がっていただろうか


 僕が不思議に思っているのもお構いなしにタイニーは突き進んでいく



 

 そんなに走ったらマッドに会う前にこけてしまうんじゃないか?


 僕がタイニーにあんまり早く走らないように注意しようとしたとき、タイニーは悲鳴をあげた



 「わあ!!」


 タイニーの身長が悲鳴と同時に縮んだように見えた



 「どうした!?」


 タイニーのもとに僕は駆け寄る


 

 雲の切れ目から見える月明かりを頼りに目を凝らすと、タイニーの足元に黒い穴があいているのが見えた



 トンネルだ


 どうしてここに!?



 そう考えていると、リンネがトンネルから出るときに言っていた言葉を思い出した



 「その後の表の世界にできる歪みの部分はあなたがどうにかしてくださいね」



 確か、そう言っていた



 歪みってこのことか!!


 そう思って唇を噛みしめていると、


 「どうしよう、ハジメ兄!?」


 少しずつ沈んでいくタイニーは泣きそうになっていた

 


 「とにかく、落ち着いて」


 僕の言葉にタイニーは落ち着こうとするが、身体が沈んでいく感覚が彼の理性を削いでいく


 「わあ、落ちちゃうよ!!」


 落ちたくないよ!というタイニーの言葉に僕は急いでポケットの中身を取り出す



 アリアを助けたときはトンネルの中からだったから簡単だったし、その後マッドがアリアに向けたものを防ぐのは土の中に埋もれていなかった



 だから、簡単だった



 でも、今度は違う


 トンネルにはまっている人を表の世界から救い出すんだ


 

 タイニーを巻き込まないようにしないと!!



 僕は積み木が布状になるようソウゾウする


  

 タイニーだけを掬い上げるんだ


 ただそれだけを思って積み木を操った


 

 積み木の布は地面をすり抜け、タイニーだけを無事に掬い上げた



 よし成功だ


 僕がほっとしていると、背後の方からドサッと何かを落とす音と声が聞こえてきた



 「ハジメくん・・・」


 

 その声の主は、気絶したマッドを抱え上げていたポルカさんだった。


 

    

 ポルカさんに積み木を操っているところを見られてしまいます。この後、ハジメはどうなるのか、想像してみてくださいね。

 

 今日はこれで失礼します。


 皆さんおやすみなさい。

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