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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
138/189

嘘を少々

 ドゴッ


 ああ、マッドの命の灯火が・・・


 そう思っていると、マッドは額を押さえて飛び起きていた 



 「っ!?」


 額を押さえたまま、その後静かにうずくまったマッドを見て僕は不憫に思う



 声をあげられない程痛いのだろう



 目に涙を貯め、腰に手をあてているアーシィを見上げることしか今のマッドにはできなかった

 


 「起きましたわね。寝ぼけていないでさっさと織り籠に戻りますわよ!!」


 アーシィの後ろ姿をみるマッドの顔はひどく歪んでいた


 

 もとはといえば、アーシィが拳で殴ったから(タイニーが止めを刺したけれども)寝ていたのに、それをさらに拳で目を覚まさせるなんて



 ひどいにも程がある



 「アーシィ姉、こわい・・・」


 タイニーがアーシィの拳に怯えているのにも気づかず、彼女は部屋を後にした



 その後、タイニーが涙を浮かべマッドのもとに走っていく

 


 「マッド兄、色々とごめんね!!」


 わーんと泣きついているタイニーをあやしている彼は、何が起きたのか分からないままタイニーの頭を撫でていた



 僕も謝っておくよ


 アーシィが近づいていることを教えなくて本当にごめん



 僕はこっそりマッドに謝っていた 



 




 

 アーシィが出て行った後を追い、三人で店の前に出る


 すると、ポルカさんが笑って僕たちを出迎えてくれた


 「元気になったねマッドの旦那。あら?でも額が赤いけど・・・」


 「気のせいですわ」


 アーシィの言葉にそうなの?と言ってくるポルカさんに向かって、僕とタイニーは盛大に首を横にふる



 違う、断じて違う


 そこにいるアーシィがまた殴ったんだ


 

 そう視線で訴えていると、アーシィが目線で僕たちを一閃する



 そのことに二人して怯えていると、横からポルカさんがアーシィを宥めてくれた


 「まあ、生きてたならいいんじゃない?」


 「そうですわね」


 ポルカさんの言葉でアーシィが元に戻ると、ポルカさんは僕たちに大丈夫よとでも言うようにな眼差しを送ってくれた


 その眼差しを受けて安心していると、ポルカさんがタイニーの肩を掴んでいた


 「そうそう、タイニーちゃん。明日は私の店にお昼頃来てね」


 ポルカさんは目を輝かせながら、タイニーに言ってきた



 「どうしてなの?」


 ポルカさんの突然の話に不思議そうにしているタイニーに、アーシィは耳打ちする



 その後、タイニーの表情が一気に明るくなったのが分かった


 「そうなんだね!!分かった。明日ポルカ姉のお店にお昼行くよ!!」



 嬉しそうなタイニーの笑顔にポルカさんもまた嬉しそうだった


 「ええ。待ってるわよ」


 私の可愛い子犬ちゃんというポルカさんの言葉にタイニーは首を傾げている



 「どうして子犬なの?」


 「いいからいいから!!」


 嬉しそうに言うポルカさんの言葉に不思議に思いつつ、タイニーは頷いていた



 「じゃあ、また明日ね!」

 

 約束よ~と言うと、ポルカさんは市場の出口へと向かって行ってしまった




 元気な人だ


 ポルカさんの走りをみて苦笑していると、さっきまで額を押さえているだけだったマッドが僕に話しかけてきた



 「そろそろ帰ろうぜ。子どもは寝る時間だぞ」


 ポンと置かれた手を僕は睨んでいた


 

 まさかとは思うけど


 マッド、僕を何歳だと思っているんだろう


 

 僕は気になったので聞いてみることにした



 「マッド。僕のこと、何歳に見える?」


 「うん?10歳だろう」


 




 ・・・今なんて?


 僕は聞き間違えたのかと思い、もう一度マッドにさっきの言葉を言うように頼んだ



 「だから、10歳だろ?」


   

 マッドの言葉をしっかりと呑み込み、僕は噛み砕いて理解する



 つまりなんだ


 今まで僕は10歳として彼に扱われていたということなのか・・・


 

 僕は自分の心がブラックに入れ変わったのを感じた



 そっかそういうことなのか


 僕が笑いを堪え切れないでいると、マッドが大丈夫かと声をかけてきた


 僕はそんな彼に飛び切りの笑顔で応えた


 

 大丈夫じゃないよ

 精神的にね


 僕は鉄壁の笑顔を張り付けてマッドを見た


 

 マッドも物わかりの悪い人ではない


 僕の隠しきれない怒りのオーラに気づいたようだった




 「アーシィ」


 僕は我関せず状態になっているアーシィに声をかける

 

 「さっき、マッド女性の胸見て鼻の下を伸ばしていたよ」


 僕の言いがかりにマッドは青ざめていた


 

 「ちょっと、待ってくれ。それ嘘だから!!」


 待ってというマッドの制止に早とちりアーシィの怒りが止められるはずもなく



 「やはり、変態でしたわね」


 アーシィの拳が容赦なく光る



 「歯、食いしばりなさいな!!」


 

 腫れていない頬にアーシィの怒りの鉄拳が放たれた


 

 マッドはその場に頽れた



 「えっ・・・、えっ!?」


 マッド兄!?というタイニーは何が起こったか分からなかったようだった


 

 僕は道端に転がったマッドに宣言する



 「前言撤回。僕もうマッドに謝らないから」


 よろしくと伝えると、二人に行こうと僕は声をかけた



 「参りましょう」


 「え、ハジメ兄!?」


 

 僕は二人の言葉を聞き流しながら歩く




 意識を失ったマッドが次に目覚めるのはいつだろう


 まあいいか、いつでも


 時には必要な嘘をつくことも大事だよね




 僕はそう思いながらその場を後にした。




  

 マッドは3回殴られました。生きているのが不思議と言うほど殴られていますが、基本的には体力有り余っている設定なので、生きてます。そろそろ登場人物紹介をまとめないといけないなと思ってます。

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