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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
137/189

一体全体

 受け取ったブルーベリーを背負っていたリュックに詰め込む


 「ねえ、アーシィ姉!!アリア姉にあげていい?」



 ブルーベリーを見ていうタイニーに、アーシィはどうぞと言っている


 「私もブルーベリーが好きと言えど、そこまでの量はいりませんから」


 一粒だけもらえれば構いませんわ



 アーシィは麻袋の中からブルーベリーを一つ摘んで食べて見せた



 「美味ですわ」


 一口放り込んだ時の顔はとろけるようだった


 

 アーシィでこの表情なのだ


 アリアが食べたら一体どうなるんだ?



 そう考えながら僕は詰め込んだリュックを背負った



 「では、そろそろポルカさんのところへ参りましょうか」


 「うん!!」


 「そうだね」


 僕たちはアーシィの案内のもと、市場の奥へと進んだ











 活気のある出店でつくられた道を僕たちは歩く


 その中でも一際声をあげて、お客を呼んでいる店があった


 その店はポルカさんのお店だった


 「いらっしゃい!!ポルカ特製、魔法の種はいかが?一つ埋め込めばあら不思議!!土がみるみるうちに元気になって、いつもの収穫量の三倍が見込めるよ」


 今からの栽培に御一ついかが~!!と軽快な調子で言う彼女の店には人だかりができていた


 「ポルカ、私には三つおくれ」


 「はい、まいどあり~」


 そう言って魔法の種を三つおばあさんに渡し、お金を受け取る


 その間にも、どんどんお客は種を買い求めにやってくる


 「ポルカちゃん、こっちには100くれよ」


 「はいはい、まいど~」


 忙しなく動くその姿は、リドが料理している時を思い出させた




 この国で働いている人たちはとんでもなく働き者だ


 日本人は働き者だと海外の人から言われているけれど、この人たちに比べたらそうでもないんじゃないかな


 今の日本人もこのぐらいの働く意欲を持ってほしいものだ



 客寄せと接客、品出しを並行して行っているポルカさんの姿を見ていると、僕たちに気づいたポルカさんが声をかけてきた


 「アーシィちゃんにハジメくん、タイニーちゃん、ちょっと待って。すぐ終わらせるから」


 ポルカさんが魔法の種を売りつけていくのを僕たちは店の端で待っていた









 「は~い!!今日は完売よ。皆ありがとね」


 ウインクをしながら言うポルカさんに、買い損ねた人たちは悔しそうだった


 「くそ~、買い損ねた・・・」


 「また、明日来てね。はい!これ、整理券」


 ポルカさん手作りの整理券を渡すと、お客さんはまた来るよと言って去っていく


 「また、明日もよろしくね。ポルカ」


 「はいは~い!!」



 去っていくお客が見えなくなるまでポルカさんは手を振り続けていた


 お客が見えなくなると、ポルカさんは端の方にいた僕たちに声をかけてきた


 「お待たせ~。いや、結構時間かかっちゃったね」


 ごめんね、というポルカさんにアーシィはいいえと答えていた


 「繁盛されているようで何よりですわ」


 「うん!こんなに品物が売れるところ、僕初めて見ちゃった!!」


 そう言って感激しているタイニーを、ポルカさんは先ほど同様抱き上げていた



 「タイニーちゃん、可愛い~!!連れて帰りたくなるわね、家に」


 ポルカさんの発言にええ!?と声をあげているタイニーは慌てているようだった



 「僕、連れて帰られるの!?」


 「そんな心配しなくても大丈夫だから」


 真に受けるなタイニー


 タイニーにツッコんでいると、視界が急に高くなったのを感じた



 また僕も抱え上げられたようだった



 「ちょ、ポルカさん!?」


 さっきも思ったんだけど、僕を抱え上げるのはやめてくれ


 「あら、慌てちゃって可愛いの!!」


 ふふと言って僕をさらに高く抱え上げる


 それを道行く人々が何事かと言うように見てくるのが痛いほど分かった

 


 「下ろしてくださいよ!!」


 僕がジタバタと暴れると、仕方ないな~と言って渋々下ろしてくれた



 「恥ずかしいじゃないですか・・・」


 消え入るように反論している僕に、ポルカさんはごめんねと言ってくれた



 でもポルカさん


 悪気は一切ないのよというのが表情から滲み出ているようだけど


 それは僕の気のせいなのかな



 僕がポルカさんの考えを見定めていると、さっきまで後ろにいたアーシィがポルカさんの前に出てきていた


 「マッドは生きておりますの?」


 当たり前のように生存確認しているアーシィにポルカさんは頷く


 「生きてるよ~。今、店の奥で休ませてるから」


 こっちに来て


 ポルカさんが店の奥に入って暖簾をくぐるように言ってきたので、僕たちは店の奥へと入って行った






 

 店の奥へと続くところを抜けると、ベッドに横たわっているマッドを見つけた



 何か悪い夢でも見ているのか、マッドは魘されているようだった


 「う~ん、う~ん」


 眉間にしわを寄せているマッドのもとにアーシィは駆け寄る


 「ちょっと、マッド」


 アーシィの掛け声に気づかずにマッドは唸り続けていた



 「アーシィやめろ・・・」


 マッドの唸りを聞いたアーシィはまたも拳を作っている



 「あなたは・・・」


 身体を震わせアーシィは顔面に力を入れていた



 「一体全体、何の夢を見てますの!?」



 彼女の拳がマッドの顔面に炸裂した音が遠くから聞こえた。


 

 

 マッドが何の夢を見ているのか、それは本人にしか分からないことなのですが、気になりますね。市場でハジメと二人になってきた時に話していたことが関係するのですが、マッドの夢はしばらく秘密にしておきますね。


 今日も投稿頑張ります!!

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