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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
133/189

お手並み拝見

 タイニーと僕、マッド、アーシィの4人でランプに照らされた市場に入っていく



 「いらっしゃい!見て行かなきゃ損だよ!!」


 「こっちも見てってよ。ほら、新商品!これ買わなきゃ後悔するよ」


 ここもここも!という声と、市場にひしめく客のざわめき、食べ物や香料の匂い、そして、愉快な音楽が聞こえてくる


 水の国の市場に負けず劣らずといった賑やかさだった


 

 「わあ!夜の市場って、なんだかいいね!!」


 ルンルン気分で市場に売っている品物を手に取ってみているタイニーは嬉しそうだった



 

 そういえば、水の国には夜の市場はなかったな


 僕がそう考えていると、アーシィがそうですわ!というように腰に手をあてていた


 「土の国では3大都市でのみ、夜間の出店を許可しておりますの。賑やかなのは当たり前のことなのですわ」


 お分かりになって?という言葉に僕はそうなんだと答えた


 

 水の国でも風の国でも3大都市があった


 都市名は言ったところしか詳しく分からないけれど


 ここは何という都市なんだろう



 

 僕はふと疑問に思い、マッドに尋ねることにした



 「ここは何という3大都市なの?」


 僕の質問に、マッドは目を丸くしていた



 「アーシィ嬢、ハジメには土の国の3大都市を教えていなかったのか?」


 「ええ、教える前に目の前から消えてしまっていたので」


 アリアさんたちは知っているのですけど・・・というアーシィの言葉に、僕がトンネルの中で彷徨っている時のことを言っているのだと分かった


 もしかしたら、リンネの世界にいた時かもしれないけど



 リンネの世界を思い出していると、マッドとアーシィは土の国の3大都市について教えてくれた


 「いいか。土の国の3大都市は、織り籠のあるこの都市がディア。ここと隣り合わせにあるのが2大都市だな」


「野菜や果物を作ること、動物を飼育することに特化した都市をファルミン。土壌を耕すこと、建物を作ることに特化した都市がプルーブですわ」


 どちらも良い都市ですわよというアーシィに、タイニーはへえ、そうなんだと相槌を打っていた



 タイニー、商品を見ながらの相槌は話している相手に失礼だと・・・


 というより、商品の方にしか視線がいってないけれど、大丈夫なのか?



 僕がそんな様子のタイニーにオロオロしていると、案の定アーシィがタイニーの頭の上に手の平を乗せてきた



 「タイニー、話を聞くのか、商品の見るのか、どちらかになさいな?」


 さあ、というアーシィの手の平に、タイニーの動きが止まる



 「ふえっ!?」


 助けて・・・という表情をしているタイニーの声に、僕はアーシィの魔の手から救いたかった


 けれど、彼女の視線が言うのだ


 手出し無用ですわ、と




 僕とマッドはその場から退散して、市場の方を見て回ることにした







 二人と別れてから数分後、マッドは僕に話しかけてきた 


 「アーシィ嬢のこと、ハジメはどう思うんだ?」  


 「どうって?」


 僕の返しに、マッドはうっと唸っていた

 

 「その、だな・・・」


 マッドが言うのを躊躇っていると、市場の奥の方から怒鳴り声が聞こえてきた


 女性と男性の声が交互に聞こえてきたのを聞いて、僕はマッドの服の裾を引っ張って、気をひく


 

 「あれ、まずいんじゃないの?」


 マッドは僕の言葉を聞いて市場の奥の方に目を向けた



 「揉め事か?」


 行こうと言って走り出したマッドの後を、僕は必死に追いかけた







 「ちょっと、どういうこと!?お金を返してって言っているのに!!」


 「いいや!後、9千リル、お客さんが買うのには足りないね」


 だから、もう買わないんだけど!と声をあげる女性のもとに僕たちは辿り着いた



 「お二人さん、どうしました?」


 何か揉め事でも?というマッドの言葉に女性はそうなのよ!と言ってマッドの腕にすがりついてきた


 「私が、ここの本を買おうと思って張り付けてあった値札の金額を出したら、後9千リル足りないって言うのよ!?」


 値札は1千リルなのに・・・という女性の言い分を聞いて、僕たちは値札に視線を走らせる


 そこには確かに1千リルと書いてあった


 「それは俺の書き間違えなんだ!この本を買うには後9千リル足りないんだ!」


 「そんなお金持ってないから、もう買わないって言っているのに!この店主がさきに払ったお金を返してくれないのよ!?」


 だから私、お金を取り返したくてという女性の言葉に、マッドは落ち着いてと優しく声をかける



 「冗談じゃない!!その女がこの本を買うと言ってお金を出してきたんだ!」


 だから、返す必要はないじゃないか!という男の言い分を聞いて、僕は頭に血が完全に昇るのを感じた




 値札を書き間違えた上に、お客さんがもう買わないと言っているのにお金を返さないだ?


 それこそ冗談じゃない!! 




 僕は心の中で怒りの炎を燃やしていた

 

 店主に文句を言ってやろうと思って店主の目の前に出ようとすると、マッドから止められた


 僕の方を見て、大丈夫だ。なんとかなると言ってきた


 それなら、マッドがこの後どう揉め事を収めるのか、お手並み拝見だ



 僕は店主に対する怒りを心の中に抑え込んだ。



       

 今日はできる限り投稿します!!土の国もそろそろ終わりに近づけていきたいですね

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