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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
129/189

一件落着

 「つまりさ、二人の得意なこと好きなことを活かしていけば、この土の国がより良くなるんじゃないのかなって思ったんだ」


 まだ完全に納得しきれていない二人に、僕はさらに説明をする



 アーシィは表に立って加護者として行動することを主に、


 マッドは陰で表に立っているアーシィを加護者としてサポートすることを主にする



 そうすれば、二人加護者がいることで、一人が自由な行動をしたい時に、もう一人がしっかり加護者の仕事を引き受ければ良い



 加護者が複数ではいけないとはどこにも書かれていない



 「それに、基本的に一人、なんだよね?」


 基本的にってことは、基本的でないこと、例外があっても良いってことだよね。なら、その例外が土の国の加護者にあってもいいのでは?



 「だから、僕は二人が加護者になるのが良いと思ったんだ」

 

 僕の考え、どうかな?と皆に向かって首を傾げてみせると、ウィズさんが僕をまっすぐに見つめてきた


 そして、僕の方ににっこりと微笑むと、僕に向かって賞賛の拍手を送ってくれた


 「・・・なるほど、あなたがジェルにネックレスを託された理由が分かる気がします」


 そう言って、ウィズさんは座っていた椅子から立ち上がり、僕の方へと歩んでくる


 「ただの少年がこの国の加護者を決めるなど、考えられないことだと正思ってました。ですがハジメ、あなたの考えなら異論はありません」 

 

 二人とも納得しているようですしね、というウィズさんの言葉に僕は二人を見る



 「おう。それなら加護者になっても良いか、って思ったぜ。トンネル管轄と情報収集だろ?」


 な?と横にいるアーシィに言うマッドに、アーシィは頷き返していた


 「ええ。それなら、私は陸地で好きなことが活かせますし、文句なしですわ」


 さすが、私の同行者ですわ!と言って手を腰に当てているアーシィの鼻が少し伸びたように見えたのは、きっと気のせいじゃないと思う


 

 目の錯覚?と思って腕で目を擦っていると、歩いてきていたウィズさんが僕の目の前で止まった


 「決まりですね。ハジメ、ネックレスを頂いても?」


 「もちろん、どうぞ」


 ああ、そのために近づいてきたのかと思いながら、僕は手に持っていたネックレスを差し出されたウィズさんの手に置いた


 ネックレスを受け取った彼女が、並んでいる二人の前に進んで行く



 コツコツと、足音が響く 



 そして、ウィズさんが目の前に立った時、二人の顔が先ほどとは打って変わった加護者として、責任ある立場としての表情をしていたのが僕の印象に残った



 「アーシィ・G・ニルギリ、マッド・G・アルタ。二人を土の加護者として、ウィズ・H・アスタロックが任命いたします」



 ウィズさんが言葉を言い終ると、マッドには僕が持っていたネックレスを、アーシィには琥珀色の鉱石が腕時計のように一か所ついているブレスレットを渡していた


  

 ブレスレット?


 どうしてブレスレットと考えていると、いつの間にか僕の横にやって来たアリアがこっそり教えてくれた


 あれは加護者が持つ印鑑らしい


 鉱石のところが蓋になっていて、中に印が入っているのだということだった



 その後、二人に加護者としての業務をウィズさんが教えていくのを僕たちは後ろで待っていた











 

 「それでは、アーシィもマッドも、土の国の加護者として頑張ってください」


 以上です、というウィズさんの言葉に業務説明を受けていた二人は魂が抜けていた



 いや、まあ抜けても仕方ないと思う


 説明なんてすぐ終わるだろう


 そう思っていたんだけれど、ウィズさんの説明は思いのほか長かった



 何せ、籠長の部屋を明るく照らしていた太陽の光が途絶えた後、月の光が今度は私の番よ!とばかりに照らしていたぐらいだから


 つまり僕たちは、朝から晩をこの部屋で立っていたということになる



 説明をしているウィズさんだけが気づかなかったのだが


 

 うん?立ち続けないで、積み木の力で椅子を作ればよかったじゃないかって?


 そうだね。そのことに気づいたのは、ウィズさんの説明が終わってからだったんだ


 僕も二人同様魂を抜かそうとしていると、ギュル~という音が耳に入ってきた


 その音で現実に引き戻された僕は聞こえた方を見る



 すると、お腹の音が鳴るのを必死に抑えているアリアの姿があった


 涙目のアリアと視線があった途端、彼女はその場に膝をついた



 「お腹・・・すいた」


 もう駄目、という風に言う、普段とは違った弱々しいアリアの声に、ウィズさんがアリアのもとに駆け寄ってきた



 「まあ!私としたことが、皆さんのことを忘れておりました」


 申し訳ないですねというと、力ないアリアを立たせて僕たちに向かって提案してくれた


 「よろしければ、今晩だけでも泊まっていかれませんか?」


 皆さんには土の国のことでご迷惑をおかけしたようですし、お夕飯も・・・というウィズさんの言葉にアリアがその手をガシッと掴む



 「ぜひ!!」



 キラキラという効果音では足りない程、アリアの目は光っていた


 

 ご飯、好きなんだね


 

 そのアリアの姿に、僕は立ち疲れも忘れて苦笑していた。



    

 2日間、放置してしまい、申し訳ありませんでした。言い訳はしません。本当に申し訳ないです。


 さて、ようやく今回で土の加護者決めが終わりました。そろそろレストランのこと書きたい、と思ってます。いや、なかなかうまくまとめられず、すみません。

 アリアのご飯に対する熱意を今日はお分かり頂けると、嬉しいです。目の中に星があるような状態を想像していただくといいかもしれません。


 今日はこれで投稿を終わります。

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