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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
120/189

マッドの尾行報告

 「じゃあ、オレから報告を」


 マッドはクレイさんとワグマさんたちに鋭い視線を投げかけていた


 

 「まず、アーシィ嬢がいなくなった時のことを言っておこうかな」



 そう言って、マッドは二人の動向について話していく

 

 二人の動向が気になって追いかけていたマッドは、教会に一人入っていくアーシィを見つける


 周囲を警戒して教会に入っていくアーシィは、後ろからついてきている二人の存在に気付かなかったようだった


 アーシィが入ったのを確認した二人が教会のドアに手をかける


 音をたてずに、そっと教会に忍び込むように入って行った二人を遠くから見ていたということだ


 その後、教会の中まで入るのはさすがにまずいだろうと考えたマッドは、外で待機していた



 「私が気を失ったのがその時ですわね」


 マッドの報告を聞いているアーシィは、その時自分がどのような状況だったのかを僕たちに向かって補足してくれた


 その補足を聞いた後もマッドは報告を続ける



 しばらくして、気を失ったアーシィを抱えた二人が、教会から海の方角に向かって歩いていくのが見えた


 慌てて追いかけていくと、二人が気を失ったアーシィを海に放り投げるのが見えた

という


 その後、二人は何事もなかったかのように教会にまた入り、その後トンネルを使って織り籠に向かった


 そして、教会で手に入れたらしい、インク入りのネックレスを籠長であるウィズに渡したということだった



 「ところで、マッドは私が海に投げられた時に、何故助けて下さらなかったのかしら?」


 場合によってはという凄みのある視線に、彼は慌てて弁解をする


 「いやあまあ、まずいとは思ったさ。だから助けようと思ったけど、二人の尾行を続けた方が多分後で役に立つと思ったから、助けなかった」


 ごめんなと潔く謝るマッドに、怒りのバロメーターが昇っていたアーシィも落ち着いたようだった


 「まあ、いいですわ。あなたがそうやって客観的に私たちのことを見ていたのであれば報告の信憑性が増しますし、何より、あなたに助けられていたらハジメたちには会えなかったでしょうから」


 水に流しますわというアーシィの言葉にマッドは胸を撫で下ろしていた


 「良かった。まだ、報告を続けるけど」


 いい?というマッドに二人以外の人たちが首を縦にふる



 二人はというと、話を若干放心状態で聞いているようだった


 

 マッドの報告に反発しないのかな


 そうじゃないとねと考えていると、タイニーが手をあげて聞いてきた


 「でも、クレイさんたちが渡したのは偽物のネックレスでしょ?」


 そう言うタイニーに、ウィズさんも応えてくれた


 「そうですね。完全なる偽物、ジェルが仕掛けていったネックレスのレプリカでした」


 そう、偽物でもネックレスを渡してしまえば一次選考は通れる


 けれど、土の国にあるネックレスは全て偽物だから、二次選考は受からない


 なぜなら、土の国にあると思われていたものをジェルさんが水の国まで持ってきていたからだ


 「一体、本物はどこにあるのでしょうか・・・。ジェルの置き土産は大変なものでしたね」


 見つかるのでしょうかというウィズさんの疑問にアリアが答えようとするが、僕はそれを止めさせた


 「どうして?」


 黙っておくの?と小声で僕に聞いてくるので、小声で答える


 「面白いからだよ」



 僕の答えに納得していないのか、彼女の頭の上に?マークが浮かんでいるように見えた



 まあ、楽しみは後に取っておこうよ



 僕が心の中で呟いていると、マッドの説明が再び始まった



 「一次選考が終わった後、本物探しが始まったんだ」



 それからというマッドの言葉に皆耳を傾ける



 尾行の対象だった二人が、一日経ってからまたトンネルを使って教会に戻った為、彼も同様にその後を追ったという


 先ほど同様に外で二人を見張っていたら、その後アーシィと僕たちが教会に近づいてくるのが見えたらしい



 「アーシィ嬢の無事が確認できてほっとしたな」


 マッドがアーシィに安心したというような視線を送っていると


 「当然ですわ。あれぐらいでどうかなるような私ではなくってよ?」


 という風に、目に怪しい光を宿し、自分の髪をいじっているのが見えた


 

 よく言うよ・・・



 僕は船に引き上げた後のアーシィの態度の変わりようを思い出していた



 「で、その後な」


 マッドは外から見ていたことを坦々と述べていく


 その後、アーシィ一行と別れたクレイとワグマの二人は、何回かトンネルを使っていたようだ


 その時に、二人を見失ってしまったらしい



 「見失ったものをもう一度追うのはなかなか難しいからな」


 そこで、尾行は一旦やめたということだった



 「で、二人の尾行を辞めた後は?」


 どうなさったの?というアーシィの疑問に、マッドは素直に答える


  

 「オレの根城、サイ達の住処である洞窟に戻っていった」


 そして、オレが洞窟の前に着いた頃に、アーシィ嬢たちが馬に乗って洞窟を睨みつけているのを見つけたんだ


 それがアーシィたちに会うまでの間だったという


 そうして、マッドの報告は終わりを告げたかのように見えた。



 今日の朝まで提出用の書類を片づけていたので、今まで書けませんでした。申し訳ないです。気長に見てください。


 今回はマッドの報告が主です。二人を尾行していたのも理由がありますが、その理由には後で触れることになりますので、保留にしておきます。

 創がアリアに黙っておくように言ったのは、創がジェルから本物のネックレスを受け取っていたということです。後で、暴露した方が反応が楽しいかもと思って、後でもってくる予定です。

 そのことも含めて、カミングアウトしたときの知らない人の反応を考えるのが今から楽しみで仕方がないです。

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