異変
~ 翌日 レストラン リドの部屋 ~
「マママ、マスター!!」
バンっと開かれたドアの方を俺は見ようとした
が、
アリアにガクガクと揺さぶられて、視界が激しく変わる
おいアリア、もう少し優しくしてくれ。でないと・・・
「マスター!!って、あら?」
そこには、白目をむいた俺の姿があったのだ
肩においていた手を放し、アリアは慌てて謝ってくる
ごめんなさい、ごめんなさいと言ってくるのはいいけどな、もう少し早く気づけ
そう思って、苦笑いするしかなかった
「で、なんだ?騒々しいぞ朝から」
アリアを落ち着かせるために、アリアの肩を叩く
「あっそうだった!話すより見た方が早いわよ、こっちに来て!」
再びバンッとドアを開けるアリアに俺は渋々ついていくことにした
~ レストラン 宿り木 店外 ~
アリアに連れられ、俺はベージュのドアを開け外に出る
「うん?別に今までとなんら変わり無いようだが?」
アリアの方を振り返って言った
「ここはね!問題は周りよ!!」
さあマスター、お店の外を一周してきて、と言うので俺は一周することにした
一周する
「どう、マスター?」
変わったところはあったでしょ?と言ってくるアリアに俺は反応できなかった
「・・・マスター?」
つんつん突いてくるアリアに俺は全力で目を開いた
「おい!俺のレストランが!?」
一体どうなってんだ!?
そう言う俺の叫びは虚しくも、渦潮が一面に広がる海の上を滑って行っただけだった
マスターの豹変ぶりにアリアは正直びっくりしていた
まさか、こんなにマスターが怒るなんて思ってもみなかったわ・・・
そう思いつつ、怒り心頭中のマスターをとりあえず落ちつけようと思い、アリアはマスターを店内に引っ張っていった
~ 創の部屋 ~
「よし、今日から僕はこのレストランで正式に働くんだな」
制服に着替えて、タイをしっかり結ぶ
そう考えると僕はやる気に満ち溢れてきた気がしていた
だからだろうか
昨日僕が寝る前にしたことをすっかり忘れてしまっていた
創は、机の上に置いていた積み木に目もくれず、ドアを開けて元気に出て行った
~ 宿り木 店内 ~
どうしよう・・・、マスターの機嫌がもとに戻らない
おろおろして、私は店内をぐるぐる回っていた
「おはようございます!」
ドアを開けて、元気そうに言うハジメを見た私は、ほっとした
「おはよう、ハジメ」
「・・・」
昨日とは打って変わった私達の態度にハジメは、首をかしげていた
「どうしたの、アリア、リド?」
私を心配するような目で見てくるハジメはここでの癒しだな、と思った
そんなハジメの質問に答えないとね
「その質問に答えるわ・・・、実は・・・」
アリアが言うには、お店の周りの構造がかなり昨日と変わっていて、それをリドに見せたら、大激怒しており、どう宥めたらいいか分からなくて、困っていたのだそう
その話を聴く間、僕が昨日レストランにしたことを話さなくてはならないな、と思
うのだった
「・・・というわけで、マスターが怒ってるの」
はあ、とため息をつくアリアに、申し訳ない気持ちがいっぱいになった
言おう、今すぐに
「あ~、そのことは僕が原因なんだ」
僕は頬をかきながら、昨日の眠る前の出来事を二人に白状した。
昨日創がしたことで、マスターはかなり怒ってます。自分の店が変な風になっているので、怒りを隠せないようです。




