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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
119/189

愛しのダーリン

 「あなたなの!?」


 そう言って近づいてくる女性を前にデニーさんは逃げ場を探すように辺りを見回していた


 

 なんで逃げ出そうとしているんだ?



 そう考えていると、すでにデニーさんの前にウィズと呼ばれた女性は立っていた


 ウィズと言う女性は、デニーさんの前で握り拳を作っている



 「今まで・・・」


 そのデニーさんそっくりな顔が赤くなっていくのが見えた



 「どこに行ってたのよ!?」



 ゴンッ


 我慢できない!!というようにデニーさんの頬に拳をお見舞いした彼女は腰を当て、拳の勢いに負けてその場にひっくり返ったデニーさんを見下ろしていた



 

 ええ!?


 いきなり拳・・・



 僕は盛大にひいていた


 きっと、顔が引きつっているだろう


 口がうまく動かせなかった


 

 「デニー叔父様!?」



 拳の跡がついたデニーさんを見て凍りついていた空気が、その場に駆け寄ったアーシィによって溶かれたような気がした


 何するんですの!というアーシィの甲高い声でウィズと言う女性は目を細める



 「アーシィも、あなた今までどこに行っていたの?」


 心配したのよと言って彼女はアーシィに平手をお見舞いする


 パンッ


 乾いた音が辺りに響き、辺りはまた凍りついてしまった


 

 なんなんだよこの人・・・

 

 僕が固まっていると、マッドが慌ててその女性の前に立った



 「ちょっ、ちょっと待ったウィズさん!あんまり叩くのは」


 良くないんじゃ、というマッドの制止も聴かず、容赦なくマッドにも平手を見舞う女性は辺りを見回して言う


 「私が悪いのではありません。あなた方が悪いのです」


 お分かりですか?というウィズの言葉にマッドもお手上げだった



 この空気、どうしたらいいんだ


 そう思っていると、床にひっくり返っていたデニーさんが体を起こした


 

 「ウィズ、悪かったよ。今まで一人にさせて」


 いつの間にか、デニーさんの謝罪が始まっていた



 その謝罪にウィズと言う女性はデニーさんを睨みつけていた



 「本当に悪いと思っているの?」


 という彼女の言葉に僕は不思議に思う



 なんで、デニーさんにだけ言葉が違うんだ?


 僕が疑問に思っていると、目の前でデニーさんが彼女に向かって頭を下げていた



 「本当に悪かった。勝手なことして済まなかった。だけど、分かってくれ」



 デニーさんは謝罪してから自分の荷物の中を探る


 そうして出てきたのは一本のお酒だった



 「これを水の国で探したかったんだ。だから、今まで帰りたくても帰れなかった」


 だから、これを受け取ってくれ



 そう言って、デニーさんは彼女の前にそのお酒を差出した



 お酒を前に目を丸くした彼女は、デニーさんのお酒を受け取る


 「これ、私が飲みたいって言ったお酒・・・」


 探してくれていたのね 



 そう言ってデニーさんを見つめる彼女の目は優しいものだった



 「もう、いいわ。無事に帰ってきてくれたんだから」


 それだけで



 そう言うと、彼女はデニーさんに思いっ切り抱きつきながらこう言った


 

 「お帰りなさい。私の愛しのダーリン!!」



 と






 僕は自分の耳を疑いたくなった



 私の愛しのダーリン?


 ダーリン・・・


 ダーリンだって!?



 僕は衝撃を受けていた


 今どきダーリン?という所にもツッコみたかったけど、それどころじゃなかった


 皆も同じだったようで


 タイニーもアリアも、リドもマッドも震える二人も、そしてアーシィまでもがその言葉に衝撃を受けていた



 「デニー叔父様!?いつ、結婚なされたのですか!?」


 私、知りませんでしたわよ!?というアーシィのパニック寸前の言葉に、ウィズさんに抱き着かれたままの状態でデニーさんは答えていた


 「そうだな。アーシィに最後に会ってからすぐかな」


 というデニーさんの言葉にアーシィは信じられないというような表情をしていた



 まあ、そりゃあそうなるだろう


 結婚していないと思っていた人物が既婚者だと知れたら誰だって驚くものだ



 僕は一人心の中で納得していた



 

 土の籠長であるウィズさんは、なんとデニーさんのお嫁さんだった



 僕はその事実を呑み込めないでいる周りを見ることしかできなかった









 皆がその事実をようやく呑み込んだ所で、土の籠長であるウィズさんが改めて自己紹介してくれた


 「初めまして。私は土の織り籠の長をさせていただいております、ウィズ・H・アスタロックです」


 先ほどはお騒がせしましたというと、ウィズさんは僕たちに微笑んでくれた



 デニーさんの前ではデレていたのか、さっきとは打って変わったキリッとした態度に僕たちは驚くしかなかった



 「それで、今回はどのようなご用件でこの織り籠に来られたのでしょう?」


 ウィズさんの問いかけにアーシィは応じる



 「今回は2つの用件でお話が」


 そう言って、アーシィはウィズさんの前に出ていた



 「まずは、クレイ・G・ロゴスの今後の処遇について、でございますわ」


 にっこりと冷たい笑みを放ち、アーシィはクレイを見下す


 

 「詳しいことはマッドがお話し致しますわ」

 

 アーシィの言葉にマッドは頷く


 

 今までクレイさんたち、いやクレイたちがしてきたことがどんなものなのか


 僕はマッドがこれから語ることに耳を傾けることにした。



     

 今回のタイトルは前回の後書きの答えです。デニーはリドにも言ってなかったみたいなので、リドも驚きを隠せなかったようです。親友もビックリの事実、いかがでしたか?前回の答え探している最中に答え出されてしまったよという方、本当にごめんなさい。

 

 デニーの話の特徴として語尾に「~」と付けるというのがあるのですが、今回は謝罪の場だったので、それは外してます。というより、奥さんの前では結構しっかりした話し方をするので、しばらくは「~」がないと思います。


 デニーの特徴である「~」が使えないのは残念ですが、使えるところはとことん使うつもりです。だから、「~」使ってる!と思うところを見つけていただけると私も嬉しいです。

 今日はこの話で終わりです。明日も頑張ります。寒くなってきているので、皆さん体を温めて、早めに休んでくださいね。では、今日はこれで失礼します。

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