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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
116/189

聳え立つ

 マッドが進んでいるのを追いながらも僕は頭の中に響くリンネの声に集中する



 「あなたがうまく私の質問に答えることができたのなら表の世界に返す、そう約束しましたよね?」



 頭に響く彼女の声に向かって、僕も語りかけるように応じる


 「でも、このトンネルの中は表の世界に属するんじゃないのかい?」



 僕の疑問に対し、少し時間を置いてからリンネは答えてくれた


 「このトンネルは表の世界と裏の世界、2つの世界の狭間にあります。だから、私も干渉できます。あなたにも本当はできるんですよ?」


 知らないだけで、というリンネの言葉に僕は考える



 表と裏の世界の狭間にあるのがこのトンネル。ということは、案外表と裏は近いところにあるんだな


 それに、リンネの話だと、僕もこの空間に居ればリンネが創造している世界、裏の世界に干渉することができるということになるのかな


 そう考えていると、


 「まあ、今回は私が表の世界に干渉しますから、その後の表の世界にできる歪みの部分はあなたがどうにかしてくださいね」


 織り籠の近くに着いたら出口を通れるようにします


 そう言ってリンネの言葉は僕の頭から途切れてしまった


 

 歪み?



 僕は不思議に思いながらも、マッドの後を追うのだった












   


 民宿を出発して2時間が経っていた



 「もう少しで織り籠に着きますわ」


 初日のときと同じように、アーシィは馬を巧みに操りながら私たちに言う



 それに負けないようになのか、タイニーも横に並んでいた



 そして、後ろから二人を眺める私、マスター、デニーさんという感じだった


 

 「土の織り籠も風の織り籠と似たようなものなの?」



 タイニーの疑問にデニーさんが反応した



 「うんや、あれとは違うんもんだな~。風の織り籠は風が通り抜けるような構造だったろう?あれは、風と人との交流を示すものでもあったんだが」


 土の織り籠の場合はな、土と人との交流を示すものなんだ



 デニーさんの説明に頷いているタイニーが前の方で見える



 やっぱり、織り籠によって造りがだいぶ違うみたい




 私はそう思いながらマスターの横を走っていた



 すると、マスターが暇を持て余して、私に質問してきた



 「水の織り籠は、海深くにあるんだろう?」



 マスターの質問に私は慌てて答える


 「・・・うん、そうだよ」



 私の歯切れの悪い答えにマスターは首を傾げていた



 「風の織り籠と違って、人との交流はしにくいよな?それって」


 マスターの言葉に私は息が止まりそうだった



 水の国の織り籠には触れなくてもいいのに



 どう対応しようかと考えていると、前の方から声が聞こえてきた


 

 「あ!あれが土の織り籠!?」


 そう言ったのを聞いて、マスターの言葉に答えずに前を見る


 大きな土の結晶が私の目の前に現れていた



 「ええ、そうですわ」


 アーシィは驚いているタイニーに話しかける



 

 あれが土の織り籠なんだ


 私は目の前に聳え立つ土の結晶を話すのも忘れて見入っていた



 

 その間民家と畑が何軒過ぎたか、自分でも分からなくなった


 

 そして、気がついた頃には皆が馬から降りていた

 

 


 とうとう辿り着いた


 土の織り籠のある街に



 私は馬を慌てて馬を降りて、皆の後を付いて行った











 水の国同様、そこにはたくさんの市民ともので溢れかえっていた


 トマトやほうれん草、穀物を売っている農家の市場や栽培で採れた綿を使ったアクセサリーや服を売っている出店、土地の知識についての本が売ってある作物専用の本屋など、他にもさまざまだった


 水の国で売られているものとはまた一味違った色、種類の野菜、果物たちが所狭しと売られていた


 その中には私の好きなものも当然売られていたわけで



 「ブルーベリー!!」


 私が荷物も何もかも放って走り出そうとしたのをマスターに止められてしまった


 

 「ハジメが戻ってきてからでもいいんじゃないか?」



 そのマスターの言葉に私は自分が恥ずかしくなった



 ハジメのこと、忘れるわけないけど


 一瞬でも、別のものに気を取られていたなんて・・・



 恥ずかしい!!



 私の顔がその事実にを顔を赤らめていると、その横でタイニーが本屋さんに突進していこうとしているのをアーシィに止められているのが見えた



 「今は土の織り籠に行って、ハジメと会うのが先ですわよ」


 後ろから銃を突き付けられたような感じで、タイニーは怯えていた



 その顔には冷汗が浮かんでいるように見えた



 

 さっきの私、これと同じような感じだったのね・・・


 そう思って、私は自分の頬を両手で叩く




 しっかりしなきゃ


 そして、ハジメに会うんだから



 気合を入れた私は、タイニーを引っ張っていくアーシィを見ながら、土の織り籠へと進んでいくのだった




 人混みを掻き分け、土の結晶に覆われた織り籠の門の前に立つ



 「いよいよですわ」


 そう言って、アーシィは門をくぐろうとする



 けれど、その私たちの前に2人組が姿を現した


 

 「アーシィ嬢。ご無事で何より」


 そう言って門をくぐって出てきたのは、マッドではない土の加護者とその付き人だった


 「クレイ様、ワグマさん」


 私から見て、このときのアーシィの表情はひどく歪んで見えたと思う。




 ぎりぎりになりました。やっと土の織り籠にアーシィたちはつきました。土の織り籠の前に現れた二人が、この後アーシィ達に何をするのか、楽しみに待っていて下さい。

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