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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
110/189

制裁

 ~ マッドの根城 洞窟前 ~


 「では、どなたがサイたちを使ってハジメをさらったと思いますか?」


 アーシィがマッドに問いかけると、彼は悩むそぶりを見せた



 「ああ~、それならオレの力で調べた方が早いな」



 そう言って、マッドは洞窟の前まで歩き出した




 一体何をするんだろう?



 私はマッドがすることを硝子細工を持ったまま見ていた



 しばらくすると、洞窟の入り口が琥珀色に発光した


 「オレ以外の人間がここに入った時に反応するようにしてあるんだ」


 だから誰が通ったのか大体分かるのさというと、目を瞑って彼は手をかざした




 「ふんふん、なるほどな」


 手をかざすのをやめると、入口が発光するのを止めていた



 そして、マッドは私たちの方を見て言った


 「三人、この中に入ったやつがいるな。一人は土の力を全くと言っていいほど持たないやつだ」



 きっとハジメのことだ!


 私はここにハジメがいたことが分かって少しほっとしていた

 

 「それで、他の方はどなたなのかしら?」



 アーシィは他の二人のことを犯人と考えているのだろう


 マッドを追及していた


 「まあ、そんな焦んなさんな、アーシィ嬢。言われなくっても言うからさ」



 アーシィを宥めるように言うと、真剣な表情で彼は私たちに言ってきた



 「他の二人は、土の力を持っている。一人は相当強大なものを持ってんな。もう一人も負けちゃいないが・・・。でも、力の量はこの際関係ないな」


 「関係ないってどういうことなの?」



 タイニーがアーシィに止められていたのを振り切って質問した



 でも、それは私も思っていたことなんだよね


 だから、ちょうどいい質問



 「この二人の力の性質にオレは覚えがある」


 マッドはアーシィに視線を向ける



 「そして、この二人組はアーシィ嬢も会ったことのある二人組だ」


 ここまで言えば分かるだろう?というマッドの声にアーシィは口を閉じていた


 マッドの声を頭の中で反芻させているようで、地面を見ているアーシィの目はせわしなく動いていた


  

 うーん、どうやらアーシィには分かったみたいなんだけれど、私にはさっぱり



 私はデニーさんやマスターの方を見て、分かった?と口パクで聞いてみたんだけれど、二人ともさっぱりと言う様子で


 タイニーにいたっては首を右に左に振っているようだった



 

 ハジメならアーシィと同じように分かったのかな?


 今はいないハジメの身を案じるしか私にはできなかった

    



 



 「その二人組は・・・」


 アーシィが重い口を開く



 「さっき皆さんも会った人物たちでしょう」



 アーシィは顔を上げ、マッドの瞳をまっすぐ捉えて言い放った



 「クレイ様とワグマさん、でしょう?」



 アーシィは中ってほしくないと思っていたのだろう


 けれど、アーシィの思いと違い、マッドは事実を告げるだけだった



 「そうさ。あの二人しかいないと思う」


 マッドの言葉に私たちは驚くしかなかった


 

 嘘だ・・・


 あんな優しそうな人たちがハジメを!?



 

 私は信じられない気持ちでいっぱいになっていた


 

 私以外の人も同じようだったみたいで


 その場の空気は凍りついたようだった


 

 その静寂を打ち破ったのも彼だった



 「アーシィ嬢たちが驚くのも無理ないよな」


 二人は共闘していたみたいだしという、マッドの言葉にアーシィは弾かれたように彼を見ていた


 「なぜそれを知って!?」


 アーシィはマッドに鋭い視線を送っていた



 悪びれた様子もなくマッドはアーシィに発言した


 「オレ、二人の行動を尾行してたんさ」




 へ?


 その場にいた全員の目が点になったのが見える


 ただ一人、その目が点になった人たちの視線を受けている人物だけを除いて



 「二人がどんな加護者になるのか、気になったからさ」


 尾行してたのは悪かったと思うけど、というマッドの言葉だけがその場に響いていた





 「どんな加護者になるのか、ですって・・・?」


 絞り出すように言ったアーシィの手は拳が作られていた



 あ~、これは相当アーシィ怒ってるよ


 もう知らないんだから



 私はこれから起こることを想像して、身震いしていた




 「それでも!!」


 アーシィは作った拳を後ろに引き、体制を整えていた


 「尾行なんて、そんな背徳な行為、私が許すと思いますの!?」



 その瞬間、アーシィはマッドに対して拳をくりだしていた




 アーシィはたぶん、道徳に背くことが好きじゃないんだわ


 私は殴られる運命にあるマッドに安らかな眠りを祈るしかなかった



 

 

 けれど実際は違って、マッドはアーシィの拳を片手で包んでいた



 「おおう、アーシィ嬢ってそんなに喧嘩っ早かったんだな」



 余裕そうに言うマッドに片手をとめられ、アーシィは悔しそうだった


 


 あっ、もう一つの手が


 私が気付いた時にはもう一つの片手で、再び拳を作りマッドの頬を思いっ切り殴っているアーシィがいた



 ほらね・・・



 「あっ痛!!アーシィ嬢、頬が痛いから」


 少したたらを踏んだマッドはアーシィに対して批難の声をあげていた



 「当然ですわ!」


 まだまだ、お仕置きが足りないみたいですわね、というとマッドに向かって遠慮なく制裁を加えていく


 

 アーシィ・・・


 

 私たちはそんな彼女を見守るしかなかった。




 アーシィはマッドのことがとことん気に入りません。今回の話では最終的に制裁を加えてしまっています。仲良くなってくれるようにしていきたいですね。

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