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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
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裏の世界の創造者

 球状の積み木を手の平に握りしめ、僕はテーブルと椅子のところへ向かう



 土とは違う感触に僕は戸惑っていた


 水の上のような、粘土の上を走っているような


 進みたくても進めない


 そんなもどかしい気持ちにさせるこの床は、僕の今とっている行動を嘲笑うかのように邪魔していた



 でも、そんなこと今は全く関係ないんだ!



 僕は日本でしなかったような全力の走りを見せていた



 この世界で、白と黒が点在する中


 僕は唇を噛みしめる




 ここは、一体どこなんだ!!



 僕はがむしゃらに歪む床を片足で蹴りあげた


 そして、テーブルの端の方に片手を届かせた



 僕の行動を邪魔していた床は、いつの間にか静かになっていた


 先ほどの水のような感触でもなく、粘土のような感触でもない



 ただの冷たい床の感触






 僕は床が元に戻ったことに安堵し、伸ばしていた片手を元に戻して顔を上げた


 けれど、テーブルと椅子だけがあると思っていた僕に衝撃が走る



 誰もいなかった椅子のところに、一人の白髪の少女が座っていた



 「ようこそ、創」


 独り、紅茶を優雅に飲み、少女は椅子に座り僕を見下ろしていた



 

 ・・・えっ、さっきまでここに人はいなかったはずなのに




 僕が目の前に居る少女の存在に驚いていると、その少女から手招きをされた



 「どうぞ、こちらの椅子へお座りください」 


 そう言って僕が見た途端、テーブルの反対側にもう一つの椅子が浮かび上がってきた


 

 どういうことだ、これは?




 僕がいつまでたってもその場を動かないので、その少女は首を傾げていた



 そして何かに気づいたように、手を打っている少女がいた



 「ああ、そうでした。客人をもてなさないのは礼儀に反しましたね」


 どうぞ、と言って少女が指を鳴らすと、テーブルの上に紅茶とお茶菓子が出てきた




 僕は紅茶とお菓子を用意してほしかったわけではないのだが・・・



 そう考えていると、彼女の漆黒の瞳に光が宿ったのが見えた


 

 「おかけ下さい」


 少女の凛とした声に圧倒された僕は、椅子に腰をかけることとなった




 一体彼女は何を考えているのだろうか



 表情を読み取ることのできない彼女の考えが知りたくて、僕は出された紅茶に口付けながら見ていた



 そんな僕に気がついた少女は僕に話しかけてきた


 

 「そんなに警戒しないでください。私はあなたの敵でも味方でもありません」


 紅茶越しに見ている僕の方にふんわりと微笑むと、テーブルに出していたお菓子を一つ摘んで見せる



 「あなたの今からの行動、言動が私を味方にするかしないのかを決めるのです」


 少女の言った言葉に僕がついていけてないのも構わずに、少女は勝手に話を進めていく



 「表の世界の創造者、創」



 僕に言った後、薄く焼かれたクッキーを彼女は指で粉々に砕いてしまった


 パラパラと砕かれた焼き菓子はテーブルの上に無残に散る



 「私と、少しの間お話ししましょう?」



 僕は机の上にある砕かれたクッキーを見るしかなかった












 ~ 創がサイの群れに連れて行かれた洞窟前 ~



 「なあ、本当にここにハジメは連れ去られたのか?」


 「間違いありませんわ」


 

 マスターとアーシィの声が聞こえる

 

 「確か、ここはトンネルが多数あって、土の力を持っていない人間の通行を禁じていたはずですわ」


 ですが、というアーシィの言葉に私たちは耳を傾ける



 「土の加護者の一人がここを根城にしているという情報が私の耳に入っておりますわ。その加護者は・・・」



 「オレのことさね?」



 アーシィの言葉に反応するる人がいた



 私たちの後ろから聞こえてきた声の主を見る為に私は後ろを振り返る


 他の人も同様に



 吸い込まれそうな琥珀色の瞳


 アーシィと全く同じ色の瞳を彼はしていた



 アーシィの形相が変わったことを知る人はこの中には居なかった




 「この人、だれ?」


 タイニーが首を傾げていると、アーシィがタイニーの前に飛んできた



 「タイニー、此奴とは話してなりませんわよ」


 アーシィの今までにない形相に、タイニーはただただ頷くことしかできなかった


 「おいおい、そんなに嫌われちゃったんかね、オレは?」


 

 私たちの後ろに現れた人は、土の加護者の最後の一人、マッド・G・アルタだった 





 ~ 白と黒の世界 ~


 「まずは、自己紹介からしましょうか?」


 彼女の言葉に僕は頷く


 それを見た彼女が胸に手をあてて自己紹介を始めた


 「初めまして、創。私は裏の世界の創造者、リンネ・Q・リバースです」


 にこにこと手を組みながら僕の方を見てくるリンネに僕は自己紹介をしようと口を開いた


 けれど、手の平を出され、僕は話すことを中断することになる



 「自己紹介は無くて、結構ですよ」


 知っていますから、というリンネの言葉に僕は少し寒気を覚えた



 「相田 創、日本からきた異世界人であり、表の世界の創造者でもある」


 でしょう?というリンネの言葉に僕は目を見開いていた



 異世界、しかも日本から来たことを見抜かれている



 僕は目の前にいる少女の話す内容に固唾を呑んだ


 「表の世界で創はこの積み木の力を使い、改革しようとている途中」



 僕のポケットから積み木を手を使わずに取り出し、テーブルの上に浮かせて置いた。




 こんばんは。新しい登場人物が二人、出てきました。二人にはもちろん今から活躍してもらいます。

 創とアリアたちは離れてしまったままですが、しばらくはこのまま、創のパターンとアリアのパターンの二つの話で展開していきたいと思います。

 創とアリアのいちゃいちゃ?を楽しみにされている方、すみません。普段はなかなか見られないアリアの心情をお楽しみくださいね。


 それでは、次話投稿するために頑張ります!!

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