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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
103/189

意志あるもの

 日本でいうトンネルとは、

 

  山腹や地下などを掘った通路等で、鉄道や自動車道、人道や水路用に造られたもの


 と僕は思っている


 しかし、目の前にあるこの世界のトンネルは日本にあるトンネルと違っていた


 僕がアーシィのいう目の前のトンネルを比べていると、アーシィの顔が僕の方に近づけてきた



 「あら、ハジメは私の話を信じていないようですわね」


 それならと言ってアーシィが地面にあいた穴の方へと足を進めていく


 

 一歩進むごとにアーシィの靴音が教会の中を響く



 僕は進んでいるアーシィが何をするのか想像できていなかった




 だからだろう


 次の瞬間、目の前で起こったことを疑ってしまった



 アーシィは穴の前に立つと、間髪を容れずに穴の中へと入った


 それも足からすっぽりと



 アーシィは僕たちが見ていた中で底の見えない穴の中へと消えてしまったのだ



 「アーシィ姉!?」


 タイニーの叫び声を皮切りに、アリアも驚いた声を出す



 「ちょっ、アーシィはどこに行ったのよ?」


 驚きを隠せないアーシィとアリアの声に、リドとデニーの二人が当たり前のことをいう 



 「トンネルの中、だろ」

 

 「だな~」


 二人は当然だろろう?と言うような顔をして僕たちに言ってくる




 いやまあ事実はね、そうでしょう


 僕だって目の前でアーシィがトンネルに入っていく様を見たから、わかっているさ



 ・・・けれどさ、いくらなんでも



 「二人とものんびりし過ぎなんじゃないの!?」


 僕はあまりにも焦っていない二人に向かって、声を荒げてしまっていた



 僕の声に反応して、リドとデニーさんがこちらの方を見てくる



 「まあ、大丈夫だってハジメ」


 ぽんと僕の肩に手を置くリドの目は本当に焦った色が見られなかった


 

 大丈夫って・・・


 何が大丈夫なんだよ!



 僕はのんびりしすぎている二人に向かい、噴火した



 「アーシィが、女の子が目の前で消えたんだよ!?」



 それで大丈夫ってどういう神経しているんだ?と僕が二人に思っていると、後ろから軽く指で背中をつつかれた



 「今、大事な話が・・・」


 僕がそのつついてきた人物に対して注意しようと穴の方を振り返る


 けれどその人は、僕が噴火した原因を作った人だった



 「何の、話ですの?」


 キャラメル色の髪を揺らしながら僕の背後に立っていたのは、紛れもなくアーシィだった


 



 


 「アーシィ!!」


 今さっき穴の中に入ったよね?と僕が取り乱しながら聞くと、アーシィは呆れたような目で僕を見てきた


 「あら?ハジメがトンネルの存在を認めたくないようでしたから、実演して見せただけですわ」


 それだけですわよというアーシィの言葉に驚きを隠せないでいると、のんびりとした声が後ろから聞こえてきた



 「ほらな」


 「問題なかっただろ~?」


 どことなくにやにやとしている二人に対し、慌てていた僕は恥ずかしくなった


 

 二人ともアーシィが帰ってくることが予想できたみたいだった


 暗い穴の中、トンネルに飛び込んだはずのアーシィが、驚いている僕たち三人と全く動じていない二人を見回す


 「お二方はすでに理解済みのようですわね」


 アーシィの問いかけにリドとデニーさんは口々に応える



 「ああ、五年以上前に同じように驚いたからな」


 トンネルの仕組みも理解しているつもりだというリドは、腕を組みながらひたすら頷いていた



 その頷いている姿を見て、デニーさんは昔のことを思い出すように笑っていた

 

 「そうだな、見せたときの驚きようはすごかったな~」



 歯を見せながら豪快に笑うデニーさんの姿に僕は若干の殺意が芽生えた


 


 アーシィが戻ってくると知っていたなら、僕たちに教えてくれればいいのに



  

 デニーさんの余裕そうな表情を見て、僕は心の中でイラついていた

  

 そのイラつきが収まらないうちに、アーシィがパンと手を叩いた


 「はい、ではイラついたハジメとそこでオロオロしているタイニー、アリアさんには詳しく説明いたしますわ」 


 トンネルのことを知らない僕たちににっこりと微笑みながら、アーシィは僕たちにトンネルのことを教えていってくれた 




 アーシィが先ほど入って見せたあの暗い穴は、この世界でいう正真正銘のトンネルで、意志のあるものが行きたいところに行くことができる、便利な通路のようなものだという


 先ほど入れたガラス玉は意志のあるものではなかった為、その暗闇の中を今も尚さまよっているということだ


 このトンネルは、土の加護を無条件で受けている動物と土の加護を受けている人間、アーシィのような土の力を持っている人間じゃないと使えないということだ




 「お分かりになりまして?」


 分からない三人組である僕たちがアーシィの言葉を理解し終わると、アーシィから声がかかってきた


 僕達はその問いかけに対し、頷いていた


 そして、理解したことを僕が話す

 

 「つまり、アーシィ以外はここにいる人間は使うことができないってことになるんだね?」


 僕の確認の言葉にアーシィは返事をする


 「その通りですわ。だから、トンネルにはくれぐれも近づかないで下さいな」


 いいですわね?というアーシィの言葉に僕たちは頷くしかなかった。



   

 遅くなりました。とりあえず、今日の用事が一段落しましたが、その後寝てしまい、投稿する時間が少なくなってしまいました。すみません、しか言えないですね。


 アーシィが消えたことで創は怒る=噴火します。最近噴火していなかった火山が、突然、背後で噴火したというような感じで読んでいただくと良いかもしれません。

 今日は後一話しか投稿できそうにありません。ごめんなさい。

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