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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
100/189

踏みしめて

 「つまり、こういうことさ」


 店のドアの前にアーシィを招き、僕は店のドアを開けて見せた


 

 開いた瞬間のアーシィは、今いるところがどこなのか分からなかった


 というよりも、分かりたくなかったのかもしれない


 

 目の前に見える土の国に対し、アーシィは信じられないようだった




 「嘘ですわ!」


 こんな光景があり得るなんて、と金切り声をあげて叫ぶアーシィに皆の目が点になる



 その中でデニーさんだけがアーシィのもとにグラスを持って飛んできた


 「アーシィちゃんが嘘だと思うのは当たり前だよ。けどな、今までこのフネに乗って、水の国から風の国へ、と渡ってきたんだ。そして今、土の国にたどり着こうとしているんだ」


 だから、落ち着いて~と言っているデニーさんにアーシィは宥められていた


  


 この世界の人たちから考えたら、船のような海を泳がずに渡るという移動手段を考えることは思い浮かばないんだろうな




 彼女の驚きようを見て笑っている皆に対し、猛抗議しているアーシィの話しを聞きながら、僕は独りため息をついていた






 ドアを開けたとき土の国が見えていた為、僕たちは上陸する準備を始めた



 抗議をして興奮冷めやらぬ様子だったアーシィは、デニーさんの説得もあってか、平常心を取り戻していた



 「さあ、行きますわよ」


 ビシッと指を突き出して取り繕っているアーシィに、皆は必死に笑いを堪えていた



 「なっ、何を笑っていますの!?」


 アーシィが堪え切れなくなって笑っているタイニーやアリアを指摘している間に、僕はもう一度店のレストランのドアを開けた





 吹き抜ける潮風の香りとともに視界に広がる大地を見据える



 「・・・あれが、土の国か」

 

 船の中から聞こえる笑い声と怒声に耳を傾けながら、僕は未知の大地の光景を目に焼き付けていた






 



 

 


 船の中での話が一段落したところで、僕は皆に声をかける



 「もうそろそろ着くよ!」


 僕の声に反応し、皆は思いおもいの量の荷物を持ってきた



 特にタイニーの荷物の量は大量で、そのことでアーシィから指摘を受けていた



 「どうしてこんなに荷物がたくさんですの?」


 これでは旅がしにくいですわよというアーシィの言葉にタイニーは頷く


 

 さっきのアーシィの取り乱しのおかげなのか、タイニーはアーシィに対して絶望的な表情をしなくなっていた



 「僕、ハーブの研究をしているんだ。だけど、僕の故郷の風の国では、良い土があんまりなかったんだ。だから、僕は土の国に来たんだよ」


 えっへんと伸びない鼻を伸ばしながら、タイニーは胸を張っていた



 そのタイニーにアーシィは感心した様子でタイニーを見ていた



 「そうですわね。土の国ならあなたの国にはない、作物を育てるのに優れた土が入ると思いますわ」


 期待しなさいな、というアーシィの言葉にタイニーは嬉しそうだった



 

 確か今から上陸する土の国は、野菜や果物を作る土壌を耕すことや建物を作ること、動物を飼育することに特化した国だったはず



 アリアに教えてもらったことを思い出していると、船が土の国の大陸へと静かに接触した



 「ハジメ!!」


 アリアの掛け声に僕は頷き、ポケットの中にある積み木に手を伸ばす


 取り出しながら僕は考える



 

 この世界での三つ目の国だ


 どんなことが待っているのだろうか


 そして、僕はどんな人たちに会えるのだろうか



 柄にもなくそんなことを考えながらわくわくしていた



 

 そんな僕自身に対し問いかけてみる

 

 今まで、そんなに見知らぬものと出会うことを楽しみにしていたのか?

 

 その問いかけに僕は微笑みながら、船と大陸の間に橋を架けた




 





 橋を架け終わった後、僕たちは順番に船を降りていった


 揺れていた船の床とは違う、しっかりした大地を僕たちは踏みしめる




 「懐かしいな~」


 デニーさんが嬉しそうに土の感触を踏みしめていた

 

 その嬉しそうなデニーさんを見たアーシィが笑みをたたえていた



 

 僕はその二人に視線を向けながら、架けた橋を戻した








 「さあ、参りますわよ」


 まずはあの教会へと指した方向に僕たちは目を向けた


 

 遠くからでも見えるステンドグラスは日の光を受けて4色に輝いていた 


 そのステンドグラスのある教会へと僕たちは歩き出した





 けれど、すぐ近くにあると思っていたステンドグラスはなかなか近づいてこない


 船から出発して、2時間が経過しようとしていた


 

 途中途中にある畑や田んぼ、牧場により、進むべき道が左右にグネグネと曲がりくねっていたからだ


 

 「ねえ、アーシィ姉、まだ着かないの?」


 タイニーが音を上げると、アーシィが怪訝そうな表情をしていた



 「あら、風の国の方はそんなに軟弱なのかしら?」


 土の国ではこれが当たり前ですわよというアーシィの言葉にタイニーが声をあげる


 「えー、これが当たり前なの!?」


 タイニーの嘆きに、後ろからついてきているデニーさんが頷く



 「そうだなあ。風の国の道は歩きやすかったからな~」


 水の国もだけど、というデニーさんの言葉にタイニーの顔は再び絶望的になっていた




 これが当たり前って、冗談だろ?


 僕は心の中で余裕そうな二人の言葉に全力でツッコんでいた。



       

 かなりお待たせしました。さっき見たら、前回の分、誤字脱字がたくさんで読みながら悲鳴を上げておりました。本当にすみません。


 さて、やっと土の国の大陸に創達は足を踏み入れました。長い道のりになりそうですが、創たちならきっと大丈夫でしょう。根拠ないですけどね。


 お知らせです。


 今日はこの回を含め2話更新予定ですが、予定が17日ぐらいまで立て込んでおりまして、毎日の更新ができそうにないです。本当に申し訳ないです。17日はそれなりに更新できると思いますが、それまでの間更新できるのかというと、正直厳しいと思います。


 その為、今週は、いや今週もですね。更新はほとんどされないと考えてください。私からのお願いです。


 できるだけ更新できるように頑張りますので、時々でもいいので読みに来てくださいね。


 いつも読んでくれている方、いらっしゃると思います。ありがとうございます。少しずつの更新で申し訳ないですが、気長にお待ちくださると大変嬉しいです。


 では、次話も今日のうちに更新します。よろしくお願いします。

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