表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/33

16話

お久しぶりです


道端にごろごろと転がる男達は、服が破れたり血を流したりしているが、一人として死んだものはいなかった。

それをロクスタは意外に思い、道を塞ぐ邪魔な身体を蹴り転がすレイジーを少しだけ、小指の爪の先程見直した。 


「ちょっと知りたいことがあるんだけど。盗人市がたつのは決まってるのか?僕達をいつ売る気だった?」


「俺は、知らねぇっ!」


踵でぐりぐりと手の甲を踏み躙られた男が、悲鳴混じりに答える。


「誰か知ってる人…?」


転がる男達は、何とか這い進んでレイジーから離れ、壁際まで逃げていく。

誰も答える様子がないのを見て、彼はわざとらしくため息をつき、頭を振った。


「これじゃあ生かしておいた意味がないじゃない。どうしようかなぁ、どうやったら役に立つかなぁ」


レイジーはぼんやりした顔で宙を見つめて考えていたが、ロクスタと目が合うと何か思い付いたように手を打った。


「みじん切りにして畑の肥料にしようか!」


「どこからそんな恐ろしい事思い付くのよ!?」


「えぇ〜じゃあ磨り潰して魚の餌…」


思い付いて即ロクスタに却下され、レイジーは二番目の案を出す。しかし彼女はもう相手にせず、涙目で震え始めた男達を見回して、厳かに言い渡した。


「いいこと、アナタ達。命が惜しかったら、盗人の市とイーチェクという男について調べなさい。解ったらコンラートの宿に報告に来るのよ。…さっきの事だけど、多分この子は本気でやるわよ」

男達はロクスタの真剣な表情を見て、レイジーのふわりと優しげな笑顔をちらりと見て、唾を飲み込んだ。彼らには連れの女性の『多分』という言葉と、それを否定しないレイジーの微笑みとで、差し迫った脅威として感じられたのだった。


「わ、解った、やる。やるよ…」


初めに声を掛けてきた男が鼻血を拭いながら答え、周りの男達も何度も頷いた。


ロクスタは鷹揚に頷き、レイジーの腕をとって袋小路から抜け出した。


「お姉さん口が巧いねぇ。アイツ等言いなりにして」


的外れの賛辞を口にするレイジーに適当な相槌を打ちながら、何も言わずに宿までの道程を進んだ。


宿に戻ると掃除中のコンラートに出迎えられ、後日自分達を客が訪ねて来ることを伝える。


「客?どんな」


「一人は若い騎士で…残りは…柄の良くなさそうな男性ですわ。あ、泊まらないから安心して下さい」


愛想笑いが引きつるのを感じながら、ロクスタは店主に告げた。

彼は疑問に思ったようだが言葉には表さず、今日の夕食の有無について確認すると、掃除に戻った。


「もう寝る。こんな時は寝るに限る」


自分に言い聞かせて部屋に入ると、既に一方のベッドで毛布を被って丸くなっているレイジーがいる。

ロクスタはその固まりを恨みを籠めた目で見てから、自分も丸くなった。


せめて夢だけは幸せでありますようにと。

ほとんど、進んでないですね〜

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ