表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/87

第79話 会長を怒らせています

 

「アリア。いち侍女長でしかない者が何を言っているのです。分別をわきまえなさい」


 そこに執事のハイヴェーラが諌めてきました。私情を持ち込むなということでしょう。


 ですが、アリアも譲れないことがあるようで、ハイヴェーラではなくレクスに向かって口を開きました。


「旦那様。もし王都の中にフェリラン中隊長殿に死を与えた者が潜伏しているとすればどうされますか?」


 あの? そんな者いませんからね。フェリランの場合は自滅と言っていいです。


 アリアの言葉を聞いたレクスは何故か地図を見ていた私を引き寄せました。

 え? なんですか?


「そんな者がいるのなら、草の根をかき分けてでも見つけ出し、消滅させるに決まっている」


 部屋の雰囲気がとても悪いのですけど?

 ちょっと空気の入れ替えに立っていいですか?


「お兄様。旦那様の賛同を得られましたので、強行可能です」


 そしてアリアは抑揚なく振り返りながら言いました。


「え? 兄妹なのですか?」


 似ているとは思いましたが、兄妹でレクスに仕えているのですか?


「はい。私はカイザール・ハイヴェーラで、妹がアリアエリス・ハイヴェーラです。同じハイヴェーラなので、侍女長は名で呼ぶことで区別しております」


 そういうことだったのですね。そして執事のハイヴェーラが、妹に向かって結婚もせずに何をしているのかと呟いていました。


 その呟きにチラリと斜め上を見てしまいます。

 結婚をしていない主がここにいますよ。


「アリア。私が言いたいのは、侍女長がすることではないということです」

「旦那様の客人の要望に応えるのが、私どもの務め。ガレイア様の素晴らしさの鱗片を理解できないお兄様は黙っていてください」


 兄妹喧嘩をしていると言いたいところですが、声を荒げることなく淡々と言い合いをしているので、聞いているこちらは背筋が凍る思いです。


「それで隊長を殺した奴は何処にいる」


 はぁ、隣も殺気立っていて意味不明です。

 アリアは『例えば』と言ったではないですか。


「レクス。そのような者は居ない。アリアに探してもらっているのは『空言のメアドーラ』の潜伏先だ」

「それは将校セレグアーゼに任せるべきことですよね」


 確かにそうなのですが、セレグアーゼには内部の調査を先にしてもらわなければなりません。

 ですが、それと並行して『空言のメアドーラ』の居場所の特定も行うべきなのです。


 それを怠ると暁天のガレイアの二の舞になりかねませんからね。


「レクス。『空言のメアドーラ』を甘く見るな」

「旦那様。クズは抹殺すべきとおっしゃいましたよね」


 私とアリアの言葉が重なりました。

 そしてハイヴェーラはレクスの意見が正しいと頷いています。


「それとこれとは違う。アリアに兵を動かす権利はない」


 ん? アリアは同士と言いましたよ。ファングラン家の兵とは言っていません。


「いくらなんでも、アリアはそこまで愚かではありません」

「旦那様。勘違いをされております」


 流石に兄であるハイヴェーラも意見が合わない妹の擁護をしました。

 しかしファングラン家の私兵というものも気になるところですが。


「だが、多くの者を動かしていると言っただろう」

「レクス。それはファンクラブの人たちだ」

「は?」


 流石に、そこを勘違いされるのは可哀想なので、私も口を出してしまいました。

 それもレクスからすれば予想外の言葉だったようです。


「旦那様。『ガレイア様を偲ぶ会』の会員を動員しておりますので、兵を使ってはおりません」

「……そのガレイアという者は、かなり前の騎士だろう? 今更……」


 アリアから仄暗い視線を向けられたレクスの言葉が止まってしまいました。

 こういうのは頷いて、そうなのかと肯定するのが一番いいのですよ。

 仕方がありませんね。


「言っておくが、フェリランのファンクラブもまだ存続している」

「それ、入りたいです」


 即答……私に言われても困ります。私がファンクラブを主催しているわけではありませんからね。


「旦那様は『氷姫の会』には入れません。会長の怒りを買ったので、絶対に入ることはできません」

「は? 会長という者に会ったことはないはずだが?」


 たぶん、相当に嫌っていたので、避けていただけだと思います。


「それよりも、ご自分のファンクラブがあるのを何故ご存知なのですか?」

「旦那様。『氷姫の会』は御本人公認のファンクラブです。流石マルトレディル伯爵夫人ということです」


 はい、母はセレグアーゼ伯爵令嬢だった頃に、何かと騎士セレグアーゼを使って会いに来ていたのは、ファンクラブ関係のことでした。


 会員からのプレゼントを渡してくれるとか、取材をさせて欲しいとかですね。

 それは付き添いのセレグアーゼも遠い目になります。


 流石に内部情報は言うことはありませんよ。ただ、当たり障りない個人的なことですね。


 何ですか? レクス。その顔は?


「マルトレディル伯爵夫人に嫌われていると?」


 ものすごく落ち込んでいるようです。


「旦那様は従騎士時代に、フェリラン様のプライベートの邪魔をされていたことがございましたよね?」

「そ……そんなことは……」

「マルトレディル伯爵夫人は、万死に値すると、ファンクラブ会長会議で怒り心頭でございました」


 これは休日まで私の従騎士をすると言っていたレクスのことでしょうね。


「しかし、私はガレイア様への愛が足りなかったと思い知らされました。ガレイア様を産み育てる。その境地に至ってこその愛」

「アリア。その思想は排除しなさい」


 兄のハイヴェーラが、アリアの言葉を否定しました。

 普通は、生まれ変わりということは起こりえませんからね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ファンクラブ会長の産み親のお母様はまだ生まれ変わりと知らないんですか?お父様とのやりとりはどちらか判断つかないので、現ご家族のやりとりが早く読みたいです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ