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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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第65話 『神出鬼没のラゼン』

「レクス。立とうとするな」


 立ち上がろうとしているレクスを止めます。

 本当にどうしたのでしょうか?


「そのラゼンと同じ力を使う者が現れたようだ。恐らく今回も秘密裏に動くことになるだろう。しかしラゼンを知るものとなると幹部クラスなので、その者との行動に……いや、これは私の予想だな。私はただの従騎士なので、そちらで話を詰めてくれ」


 私は思わず予想を口にするという愚行を起こしてしまいました。

 これはクソジジイならばという条件がつきます。


 今の団長はレクスなので、双方で決めてください。


「秘密裏に動く必要があるのですか? 人員を多く導入するという手は使えないと」


 レクスが私の言葉の真意を聞いてきました。

 あれ? もしかして、どのような手を打つか聞いていないということですか?


「昨日の会議で、その話が上がったものだと思っていましたが?」

「話し合いという雰囲気ではありませんでした。その真偽を問い詰められたという感じです」


 まぁ『神出鬼没のラゼン』と同じ存在が現れたとなると、上層部も疑いをかけたくなるでしょう。


「ファングラン騎士団団長。ゼイエラの水魔法は特殊で、普通では再現不可能なのです」


 グレンバーレルはそう言って、空中に水球を出現させました。

 それも一つではなく、二つです。


「例えば、この中にこのカップを入れたらどうなりますか」


 飲み干したティーカップを持ち上げるグレンバーレル。普通はただ水球の中に漂うか、重力に負けて落ちるかのどちらかですね。


「水の中を移動すると聞いたが?」

「まぁ、そのとおりなのですが、この繋がっていない水球同士でどう物を通すかなのですよ」


 そうなのです。川であれば上流と下流とで繋がっています。

 なので、そこを移動したといい切れるのです。


 ですが、水球は個々に存在しているのです。


「これはですね。まさに道を作るのです」


 そう言って水球の真ん中同士で細長くつなぎ合わせたものを作りました。


「でも、障害物や距離という問題があるのですが、そこに空間魔法を取り入れて、空間を切り取って繋げるという魔法を構築するのです」

「グレンバーレル。説明が長い」

「フェリランは黙りなさい」

「話すと長いから、もっと端的に言えと言っている」

「はぁ、この魔法の素晴らしさがわからないなど、愚かしいにも程があります」

「グレンバーレル魔導師団長。隊長と仲良く話すのをやめていただきたい」

「どこが仲がいいのです」

「文句しか言っていないぞ。レクス」


 何を勘違いしているのですか。

 全く仲がいいなどありえません。


「この複雑な魔法は複数の場所に設置できるのです。その素晴らしさが理解できますか?」

「全く出来ないな。脅威と言い換えろ」


 この魔法馬鹿には困ったものです。

 これを素晴らしいなどという言葉で表現するなどありえません。


「敵が突然王都近くに、大軍として現れるかもという噂が流れて見ろ、人々はパニックを起こすだろう?」

「それはそうなのですが、隊長。複数の隊を組んで複数方面から調べたほうが良いと思います」


 短期間でことを終わらせるのであれば、中隊規模を投入して調査するべきです。

 そんなことはわかりきっているのです。


「水辺に混じった微かな魔力を感知できる者。その魔力を一欠片残らず消滅させる。そして何事もなかったかのように元に戻す。これだけならできる者はいるでしょう」


 グレンバーレルはそう言って、二つの水球を消しました。

 そして水盤のような平らな水を宙に浮かせます。


「『神出鬼没のラゼン』その者の出現に場所は問われません。要は水辺を作り出せばいいのです。そこでドラゴンを伴って現れたラゼンを倒せるものはどれほどいますか?」


 ドラゴン。それは硬質な鱗を持ち、巨体な肉体であるもののそれを思わせない俊敏な動きをするトカゲと言えばいいでしょうか。一番厄介なのが、広範囲に渡るブレスです。

 あと、空を飛ぶものもいますね。


 地べたを這うしかない矮小な人では、大隊規模を投入しなければ、討伐できないでしょう。


 そして、それを伴って現れる『神出鬼没のラゼン』。神出鬼没の異名は伊達ではないのです。


「その遭遇を予想して部隊を投入するのは難しいのが現実です。あと、我々の裏切りを指摘してきた言葉をそっくりそのままお返ししましょう? 騎士団に裏切り者がいるのではないのですか?」


 水盤からヘビのおもちゃを出現させて、テーブルの上に落としたグレンバーレルが聞いてきました。

 それもいい笑顔を浮かべてです。


「ああ、セレグアーゼの部下が数名いたな」

「隊長!」

「あと誰だっけ? 何とか中隊長の部下もだ。上層部は何か気づいていたらしいが」

「そんなことをここでいうべきではありません!」


 レクスは魔導師団長のグレンバーレルに騎士団の内部情報を漏らしている私を叱咤しました。


「どう見る? グレンバーレル」

「はぁ、またですか。洗脳解除は面白くないので好きではありません。他の者にやらせますよ」


 そう、この度の野盗討伐で情報を漏らしていたものが思っていた以上に多かったのです。

 これは裏切り者が複数いたというより、何者かによって洗脳され、情報を渡していたと考えるべきです。


「グレンバーレル魔導師団長。隊長と仲良く話さないでいただきたいと言ったはずだが?」

「フェリラン。貴女が勝手に話していると言い聞かせてほしいものですね」


 グレンバーレル。ジト目で私を見ないで欲しいです。

 あと、レクス。どこが仲良くみえるのですか?

 ただ単に情報の共有でしかありませんよ。


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― 新着の感想 ―
気が合わないけどわかり合えてる感がいい関係性ですね(╹▽╹)傍から見るとバランス良い婚約者だったのかも?
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