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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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第64話 元婚約者とは馬が合いません

「どういうことです? この雑な魔法はどう見てもフェリランにしか思えませんが」


 私のことを観察するように見てくるグレンバーレル。

 雑とは何ですか。腐敗した部屋の住人に言われたくありません。


「はい。興味が出てきたところで、団長。本題をお願いします」


 このグレンバーレルは、話を聞くように持って行かないと、これっぽっちも頭の中に入らないのです。


「この変な切り返しも覚えがあります。もしかしてフェリランを模造した魔導生物!」


 そう言ってグレンバーレルは、私が止めるタイミングがないほど素早く、私の黒い隊服の上着をめくりあげました。


「下には普通に皮膚しかないわ! この変態が!」


 思いっきり拳を振り上げましたが、結界に阻まれてしまいます。

 この下と言ってもシャツと下着があるので皮膚は見えません。


 しかし目的はわかっています。


「面白い魔法陣が刻まれている可能性がある!」

「無いわ!」


 そう言うと思っていました。

 私はグレンバーレルの腕を掴み、引き剥がそうとしたところで、背筋が凍るほどの殺気に襲われます。


「隊長から手を離せ」


 紅茶が置いてあるローテーブルが割れ、銀色の光が目に飛び込んできました。


 レクス! 何故に剣を抜いているのですか!

 その切先はグレンバーレルに向けられていました。


「ファングラン騎士団団長。これは危険物です。こちらでお預かりして調査しますので、ご安心ください」

「何が危険物だ! お前の部屋のほうが危険物の宝庫じゃないか!」

「何を言う! 宝の宝庫と……何をどう移動させたのです!」


 あ、やっと部屋の床が見えていることに気がついたようです。

 それなりに綺麗になった部屋を見渡して頭を抱えているグレンバーレル。


 それなりです。一度、どう見てもゴミだろうというものを捨てたら、激怒してきて面倒だったので、ゴミらしきものは一箇所にまとめてありますので、それなりという感じです。


「は? それは、こんな腐敗した部屋に入りたくなかったからだ」

「フェリラン! 貴女が手を出すから、どこに何があるかわからなくなったではないですか!」

「それは、部屋を片付けられない者の言い分だ!」


 私とグレンバーレルが言い合いをしていると、私の身体が何故か浮き上がりました。

 そして扉のほうに移動していっています。


 レクス! 私をどこに連れて行こうとしているのですか!


「団長! まだ肝心な本題を話していません」

「隊長。戻りましょう。話し合いなどいいです」

「レクス! 今回のことは、グレンバーレルに協力をしてもらわなければ駄目だ。それからグレンバーレル、こちらの話を聞かなければ、全部凍らせて外の植物も枯らすぞ」


 そう言って、私は部屋全体を一瞬にして凍らせる。

 部屋の中が真っ白になり、吐息が白く吐き出された。


「こういう実力行使は横暴だと、何度言えばいいのですか。わかりました。話は聞きましょう」

「隊長。足が動かないのですが……」


 私は二人の団長を強引に話し合いの席につかせたのでした。



「はぁ、珈琲で良いですか?」


 切られたテーブルを直し、空間からポットを取り出したグレンバーレルがカップに黒い液体を注いでいます。

 漂ってくる匂いが香ばしい香りなので、珈琲で間違いはないでしょうが、あれはどこから取り出したのでしょうか?


「本題ですが、過去に生産された魔道具が、帝国の手に渡っている可能性が出てきたのです。それについて魔導師団で内部調査をお願いしたい」


 レクスが端的に要件を口にしました。

 そして、そのレクスの膝の上で抱えられている私。

 何故にこの状況なのでしょう?


 下ろすように何度もいいましたが、私の要望が通ることはありませんでした。


「戦場から拾って来たものを改造したという可能性を否定して、魔導師団にそのような疑いをかけておいでなのでしょうか?」


 そうですね。これは帝国に繋がるものが、魔導師団内部にいるのではと言っているようなものです。


「それを調査するのが、貴殿の役目ではないのか?」

「はっきり言って、無いと断言できますね。この塔を出入りしている人や物は、どのような形でも記録するようになっています」


 ん? あれ? 扉に色々魔法がかけられていると思っていたら、そういうことだったのですか。


「グレンバーレル。悪い。塔の入口の扉をぶっ壊して入った」

「フェリラン! 貴女と言う人は繊細さというものがないのですか!」

「汚部屋の住人に言われたくない」


 うぐっ。レクス、何故に抱えている力を強めてきたのです。私を絞め殺す気ですか?


「団長。力を緩めるか、私を解放してください」

「はぁ」


 ものすごく大きなため息を吐きながら、レクスは力を緩めてくれました。

 あの? 私を解放する気はないのでしょうか?


「まぁ、調査したという事実があればいいのだ。上が納得すればいいだけのこと」


 私は疑いを晴らすのも魔導師団長の役目だと言った。


「今度は私からだ。『神出鬼没のラゼン』を覚えているか?」

「覚えていますよ。あれほどストレスがかかった仕事はありませんでしたね。貴女と組む仕事は、二度としたくないと心に決めたきっかけですからね」

「ははは……私もだ」

「腹立たしい……隊長。戻りましょうか」


 レクス、突然何を言い出しているのです。まだ話は終わっていませんよ。



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― 新着の感想 ―
流石団長!前々回はまともに見えたのに!ツーカーな元婚約者に常識を凌駕した嫉妬模様!でも傍から見ると分かり合ってる感がモヤモヤしちゃいますね(*´ω`*)
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