表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/63

第60話 私の噂が恐ろしいことに

「レクス。君は弱くない。二十年だ。その年月の間、努力してきたのだろうと理解している。もう、前を向いてもいいのではないのか?」


 過去に囚われる必要はないのです。

 フェリランの死が間違っていたとは、私は思いません。


 生き残れば、もっと大きな火種になっていたことと思います。


 その死にレクスが付き合う必要がなかったのも私は正しかったと思います。

 これは絶対に後悔しない選択でした。


 そして、その選択が間違っていなかったと、シエラメリーナとなった私は思っています。


「レクスは、レクス自身の未来を歩んで欲しいと、私は思っている。フェリランは過去の英雄だ。だからもう……」

「隊長は! ……隊長は今まで持っていた価値観を変えてくれた方なのです。ファングランという重荷から解放してくれた方なのです」


 え? 私、そんな大層なことを言った覚えはありませんが?

 そもそもレクスは、ファングラン公爵家の跡取りという認識でしたから、誤解を招くようなことは言っていないはずです。


「その隊長の存在をなかったことになど、できません」


 もしかして、前世の私を凄く過大評価していませんか? そんな価値観を変えるようなことはしていませんよ。本当に……。


「はぁ、別にユーフィア・フェリランは存在していたので、いなかったことにはできませんよね? 私は囚われる必要はないと言っているのです。ファングラン団長の従騎士が今の私です。そうではないのですか?」

「はい、そのとおりです」

「だったら、今やるべきことはなんですか?」

「隊長をぎゅっと抱きしめていいですか?」

「違うわ! さっさと昼食をとって、話が噛み合わない変態のところに行けということだ!」


 あまりにも見当違いのことを言うレクスに向かって、思わず手が出てしまいました。

 何が『抱きしめていいですか』ですか。



「ちっ! 激混み」


 思わず舌打ちが出てしまいました。騎士団本部の食堂は、時間帯によって凄く混むのです。

 それはもう席に座れないぐらいにです。


 だから、いつもは早めに食堂に向かうのですが、レクスを起こしてうだうだしている内に、一番混んでいる時間帯になってしまったのです。


「外のベンチで食べようかな」


 そんな独り言がこぼれ出るほどです。


「マルトレディルくーん! 相席で良いならおねーさんと一緒に食べない?」


 そこの私に声をかけてくる人がいました。視線を向けると……肉肉しい(憎々しい)胸が視界に飛び込んできます。


 メリッサさんですか。あと数名の女性騎士たちがテーブルを囲っています。


「団長も一緒でもいいのでしたら」


 はい。私の背後では私に殴られたにも関わらず、ご機嫌のレクスがいるのです。


「団長がよろしければ空いていますわよ」


 私はちらりと斜め後ろを見上げます。

 笑みを浮かべて頷くレクスを確認しましたので、メリッサさんにお願いしますと言い食事を取りにいきました。


 騎士団本部の食堂のメニューは日替わりです。

 前世の頃は決まったメニューしかありませんでした。それを思うと食べる楽しみがありますね。


「ありがとうございます。この時間は人が混み合うので助かりました」


 私は声をかけてくれたメリッサさんに礼を言います。いつもは肉肉しい(憎々しい)胸に視線がいきがちですが、普通にしていれば赤い髪が印象的な美人の女性騎士です。


 男性騎士にさぞやモテるかと思いきや、周りは女性騎士達ばかり、見知った団長直属の女性騎士もいるので、隊の垣根を越えて交流があるようです。


「珍しい時間にきたので、思わず声をかけてしまっただけよ。そこを空けたから座って」


 空けた? わざわざ席を空けたとおっしゃいました?

 メリッサさんの向かい側に席が二つ空いているのが見えます。

 それ以外は女性騎士たちで埋められたテーブル。


 あの? 尋問でもされるのでしょうか?


 私とレクスはその空いている席につき、昼食を食べ始めます。


「ファングラン団長。聞きたいことがあります」


 やはり、何か思惑があって相席に誘ってくれたようですね。

 メリッサさんがレクスに声をかけました。


「なんだ?」

「昨日、ご一緒にお茶をしていたご令嬢というのは、どなたなのですか?」

「ごほっ!」


 え? ラドベルト以外に見られていたのですか?

 その言葉に思わずむせてしまいました。


「見かけた子が騎士ラドベルト様と親しげな感じだったというので、ラドベルト子爵令嬢ではという憶測が飛んでいるのですが」


 え? 私。十歳のラドベルトの娘さんと間違われているのですか?


「でもダラニアール補佐官を殴っていたと言っておりましたのでそれは違うのではと」

「ゴホゴホゴホ」


 凄く見られているではないですか! え? どこから監視されていたのですか?

 あの場はレクスの護衛が周りに潜んでいたので、視線は感じでいました。だから余計にわからなかったというのもあります。


「女性の気配が周りにない団長と親しくしている方って気になります」

「それはマルトレディル伯爵令嬢だ」


 レクス! ありがとう!

 そこにいたのはアルバートではなくて姉の方です!

 女装癖のある団長の従騎士というレッテルは貼られてはいけません!


「あの……婚約者を半殺しにしたというマルトレディル伯爵令嬢ですか?」

「王都の噂が殺人的になっています!」


 何故に私の噂がこんな恐ろしいことになっているのですか!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
腹パン一撃でマジ半殺し状態に…?!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ