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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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50/63

第50話 姉君にも挨拶をしないと

 ラドベルトは店内でマスターと話をしてからテラス席にやってきました。

 おそらく持って帰る用のケーキを注文したのでしょう。


「そう言えば、ラドベルト子爵令嬢はおいくつになられました?」


 向かい側の席に腰を下ろすラドベルトに尋ねます。

 実際に会うことはありませんが、ラドベルトから奥方に似た娘だと聞いたことがあります。


 その話が出たときに父が『よかったねぇ。僕の子供たちは二人とも僕似だよ』と言ったのです。思わず拳を脇腹にねじ込みましたけどね。


「今年で十歳だな。最近は生意気なことばかり言うんだ。王太子殿下のお茶会の招待状をもらってこいとかな」


 ……王太子殿下? 確か今年で十六歳になると記憶にありますが?


「それは難しいな」

「ファングランの団長ほどなら簡単に手に入るだろうが、俺はただの騎士だからな」


 レクスが難しいというように、高位貴族の令嬢ぐらいしか招待状は送られないでしょう。

 しかし、婚約者が決まったとは聞いていませんので、婚約者探しのお茶会でも開かれているのでしょうか?


「メリーナの嬢ちゃんぐらいなら、ありえるだろうが」


 私を見ながら、そういうことを言わないで欲しいです。ラドベルト。


「姉の噂は色々あるようなので、そもそも送られることはないでしょう」

「まぁ、それはそうだ」


 私の言葉に納得するラドベルト。それもなんだか腹立たしいですわ。

 どうせ私は、婚約者を殴った行き遅れのシエラメリーナですわよ。


「姉君の噂とは?」


 あら? レクスは知らないのですか?

 口が悪いディレニール元中隊長も噂をご存知でしたのに?


「知らないのであれば、知らないほうが良いですよ」

「しかし、いつか姉君にも挨拶をしないといけませんよね?」

「何故に?」

「ぶっ! ファングランの団長。シエラメリーナの嬢ちゃんに挨拶って」


 私が本物のシエラメリーナと知っているラドベルトが、吹き出して笑い出しました。

 しかし、従騎士の兄弟に挨拶とか普通はしませんよ。


「何を笑うことがあるのだ? 必要だろう? 騎士ラドベルト」


 真面目に答えるレクスに、ますます笑い声が大きくなるラドベルト。


「楽しそうですね」


 そこにおかわりの珈琲をマスターが持ってきてくれました。


「うるさくしてしまってすみません。マスター。ラドベルトのツボに嵌ってしまったようです」

「いえいえ、昔はもっと騒がしかったですので、これぐらいは問題ないですよ」


 そう言われるとぐうの音も出ません。

 前世では私が休みの日に、ここでケーキをバカ食いしているのが部下たちにバレていましたので、なにかとちょっかいをかけてくる部下たちがいたのですよ。


「あと、これはサービスです」

「これは! チョコレート!」


 ハートの形をした赤や白、そしてダークブラウン色のチョコレートがお皿に盛られてテーブルの上に鎮座しました。


「ありがとうございます!」


 さっそくパクリと食べます。ほろ苦さと甘さが調和したチョコレート。最高です!


「メリーナの嬢ちゃん。残骸からいくとケーキを食べた後だよな」

「ラドベルト。甘いものは別腹だという言葉を知らないのか?」


 目の前にあった空の皿が引き上げられたので、チョコレートが盛られたお皿を引き寄せます。

 そして隣をチラリと見上げました。


 はぁ、何故に殺気をまといながら、ラドベルトを見ているのですか?

 殺気を向けられているラドベルトは、いつも通りだと言わんばかりに苦笑いを浮かべていました。


 昔からそうやってレクスをからかうから、殺気を向けられるのです。


「レクス。休日ぐらい楽しく過ごせ」


 私はチョコレートを手に取りレクスの口元に持っていきます。

 私のチョコレートを分けてあげますから、隣で殺気を放つのを止めて欲しいです。


 するとレクスから驚いた視線を向けられ、オロオロと視線を漂わせ始めました。

 甘くない方のブラックチョコレートでしたが、嫌いでしたか?


 昔は食べていた記憶があるのですが?


 いらないのであれば、私が食べます。


 手を引っ込めようとすれば、手首を掴まれて、私が持つチョコレートをレクスはそのままパクリと食べました。


 そのとき店内のほうから女性の悲鳴が……視線を向ければ、店内の奥にいるウエイトレスの女性と目が合いました。

 それもトレイで顔を半分隠した姿です。


 どうされたのでしょうか?


 私が首を傾げていると、横から手が伸びてきて顔を反対側に向けられてしまいました。


「メリーナもどうぞ」

「何故に私に食べさせようとする。レクス」


 私に赤いチョコレートを差し出すレクスがいます。


「お返しです。赤いハートをどうぞ」

「いや、それはマスターが私にと持ってきたものだからな」

「ガラス越しだとラブラブな恋人同士に見えるのだろうが、俺から見るとなぁ……」


 自分で食べると言っている私の向かい側で、ラドベルトはよくわからないことを言いながら、珈琲を飲んでいたのでした。



フェリラン子爵家のことは、また出てくると思いますので、一旦削除します。

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― 新着の感想 ―
補足が濃すぎて、本編が飛びました!これは…本当になんで糞爺位で許しているのか解らない位、凄惨ですね…(´;ω;`) しかも母方の祖父母が育ててくださってる…支援もなしですか…?
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