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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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第36話 三人だけの作戦会議

「おじさま〜」


 私は町の中で、セレグアーゼを見つけたので、御者席から飛び降りて伯父様に向かっていきます。


「シエラメリーナ……いやアルバート」


 今は鎧姿ではなく、外套を羽織った旅人の風貌です。


「メリーナですよ」

「ああ、そうだった。メリーナ。馬車から飛び降りるとは、お転婆が過ぎるな」


 あら? 伯父様。意外と乗ってくれるのですね。

 特殊部隊の方なので、それが日常なのかもしれませんが。


「伯父様。メリーナはお腹が空きました。どこかでご一緒に夕食をとりませんか?」

「いいだろう。で、レクスイヴェールが凄く睨んでいるが?」

「伯父様。レクス兄さんですよ」

「ああ。その兄のところに行こうか」

「はい」


 私は伯父様と手を繋いでレクスの元に向かいます。

 伯父様がいうように、凄く睨んでいるレクスのところにです。


 そして伯父様は幌馬車の荷台に乗り込みました。


「ファングラン団長。このまま進めてください。あと、例の件の裏は取れました」

「ご苦労」


 それだけを言ったレクスは幌馬車を進めました。


 例の件。凶剣のアラドルフと風魔のエライザールが関わっているという情報を得られたということですね。




「アルバートは撤退を進言しましたが、私としましては戦いの場を整えることを進言します」


 恐らく特殊部隊所有の家と思われる場所に案内されました。そこには、すでに食事の用意がされています。

 といっても、パンとスープとお肉という夕食です。


 私は騎士団の隊服に着替えて、テーブルの席につきました。

 そこで今後の話し合いの場が設けられたのです。


 しかし、この場には騎士団団長であるレクスと特殊部隊のセレグアーゼと従騎士の私のみ。


「その戦いの場とは?」


 伯父様は料理が並べられているテーブルの上に地図を広げ、拠点の場所を指しました。


「ここに押し留めることです」


 へー。怖い怖い。セレグアーゼが笑っているということは碌なことではない。

 しかし、結局あの逃げ場のない場所ですか。


 私が私の部隊を引き連れて戦うのであれば、私もその地を選びます。

 ですが、私の部隊はもうありませんからね。


 特に厄介なのが風魔のエライザール。

 能力も厄介ですが、分が悪いとわかると逃げ足も早いのです。


 あともう少しというところで、何度も逃げられましたからね。


「ただ、凶剣のアラドルフと風魔のエライザールの二人の相手となると、今の騎士団で戦える者はファングラン団長のみということが問題です。だからマルトレディル。君は撤退を進言したのだろう?」

「はい」


 私が相手にした隊長クラスの力量をみると、まともに戦える相手がいないということです。


「ということで、マルトレディル。君がそのうちの一人を相手にしなさい」

「伯父上。私はまだ剣も与えられていない従騎士ですよ」

「隊長クラスの三分の一を負かした者がいう言葉ではない」


 それを言われるとぐうの音も出ません。


「私はマルトレディルが戦うことは反対だ」

「ファングラン団長。マルトレディルの力を知って従騎士にしたのであれば、理解しているはず」


 私は食事を終えて、タバコを取り出し火をつけます。


 戦場を整えるのはセレグアーゼ。

 その中で戦えるのはセレグアーゼの罠をかいくぐって敵と戦える者のみ。


「凶剣のアラドルフ。その剣は全てを切り裂く。魔装すら意味がない」

「アルバート?」

「剣に耐えうる魔力を練ると今度は鎧が耐えられない。だから、凶剣を避けつつ相手に攻撃を当てないといけないという針に糸を通す戦いだ」


 白煙を吐きながら、過去の戦いを思い出す。


「広範囲魔法は?」

「レクス。全てを切り裂く剣と言ったはずだ。意味がない」

「ではどうやって戦ったのです」


 私が戦ったような聞き方をしないで欲しい。


「……話によると、最低五人での総攻撃だ。息があった者同士ではないと厳しいな。それで撤退までの時間稼ぎだ」


 だいたい、戦場の死神と言われた者たちは、抑えるだけで精一杯というもの。

 一人いるだけで、戦況をひっくり返す力を持っている。


 そんな者に勝つ作戦を考えるだけ無駄というもの。


「では風魔のエライザールという者は?」

「風魔は相手にするだけ無駄。風の特化型だが、人を惑わすのが得意だ。その場にいると思って攻撃しても幻影だったりする。本体を見つけて遠くに吹っ飛ばすのが一番いい」


 まともに相手をしても、戦場を引っ掻き回して直ぐに逃げるだけだ。


「アルバート。伯爵からそのような話を聞いたのか?」

「まぁ……そうですね」


 ……父からは聞いていません。それにマルトレディルもレクスとあまり変わらないぐらいしか戦場にいませんでしたから、あまり知らないと思います。


 レクスより一年か二年長いぐらいですか。


 どちらかと言えば、ラドベルトのほうが知っているでしょうね。


「マルトレディルは勝てないと思っていると?」


 レクスが勝てないのかと聞いてきました。

 勝てないですか。


 私はタバコを吸い白煙を吐き出す。


「ふぅ〜。クソジジイの策に乗るのは癪ですが、例の物を投下すれば、凶剣は倒せます」


 おそらくそのための例の物なのでしょうから。


「では、私はその準備に取り掛からせてもらう。アルバート。君が剣を取るのは領地の者たちのためだと知っている。だが、今回は国のために剣を振るってくれ」


 私がシエラメリーナだと知っている伯父様は私の頭に手を置きながら言ってきました。

 はい。私が剣を持つきっかけはアルバートでした。


 ですが、私は……


「私は騎士団に入団したので、国のために剣を振るうのはあたりまえです。伯父上」



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― 新着の感想 ―
叔父様も前世という概念がない感じなんですね(╹▽╹)団長といるとバレそうですね。どうなるかワクワクしながら待ってます。
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