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第7話 全体主義の世界

疲れて部屋で寝ていた俺は、上半身を起こして身体を伸ばした。

窓から外を見てみると、木々が生えているのが見えたため、森の中だということが分かった。


「さっさと着替えて、しないといけないこと終わらせるか…」


部屋着に着替えていた俺は服を着替え、そのまま部屋を出て機関室に向かった。



「二人共、おはようさん」

「「おはようございます」」


機関室に居た二人に挨拶をしながら、俺は顔を出した。


「それで、今の状況は…?」


現状を把握したいため、俺は二人にアースノアの状況を尋ねた。


「現在、パリ郊外にある森林に停車中。機関は冷却が完了、現在作業班が点検中です」

「車両並びに全システム異常なし。機関の点検が終わり次第、超高次元障壁展開可能です」


サンとルナからそれぞれの報告を受けた。


「サンキュー二人とも」

「「お構いなく」」


報告を受けた俺は、二人礼を述べて機関室を後にした。





食堂車にやってくると、食堂車には既にマリナ姐さん、ノア、ランの姿があった。


「あら、おはよう」


俺に気がついたマリナ姐さんは、笑みを浮かべながら声をかけてくれた。


「おはようございます」


返事をしながら、俺は空いている席に座った。

今日の朝食は、どうやサンドイッチのようで、ノアとランは無我夢中に自分の分を食べていた。


「お待たせしました!」


席に座るとヴィーナスが、四等分されあサンドイッチ2個と珈琲を持ってきてくれた。


「備蓄はまだあるか?」


俺は珈琲を味わいながら、ヴィーナスに食料の備蓄量について尋ねた。


「まだ数日分はありますが、出来るならば早めに確保する方がよろしいかと…」


備蓄量についてヴィーナスは、早めの確保を勧めてきた。

やっぱり、買い物ために街に向かった方がいいのかなー…でもなぁ……嫌な予感がするんだよなぁ…買い物をしたいが、どうしても宇宙空間で見た宇宙艦のハーケンクロイツが引っかかる。

サンドイッチを食べながら、買い物に行くかどうか悩んでいると、


「…」


いつの間にか食べ終えていたランが、ジッとこちらを見つめていた。


「…しょうがないな。残り食べていいよ」

「!」


察した俺は、残っているサンドイッチを上げることにした。

サンドイッチを貰えて、ランは羽をパタパタと動かして喜んでくれた。


「そう言えば、小型の偽装偵察機があったな…」


嬉しそうにサンドイッチを食べているランを見ていたら、アースノアに搭載されている偵察機のことを思い出した。


「よし…」


偵察機を使うために、俺はそれが置いてあるだろう収容車に向かった。





「あったあった」


予想通り収容車の内部に小型偵察機があったため、俺は皆に見せるためにも、それを食堂車まで持ってきた。


「虫…?」


俺の掌の上に乗っている小型偵察機を見たノアは、虫だと例えた。


「まぁそう見えても無理は無いな…」


今俺の手のひら上に乗っているドローンは、虫と思えてしまうほど小さく、ノアが虫だと思ってしまっても仕方ないだろう。


「これを飛ばして、街の様子を見る。どうも嫌な予感がするもんでね」


俺は食堂車の窓を開け、コントローラーで操って窓から外に出した。

ドローンからの映像は、コントローラーに着いている画面に映るのだが…


「もう少しこっちによってくれる?」

「ちょっと見えない…!」

「…」


画面が小さいので、皆が見ようと群がり余計画面が見づらくなる。

仕方ないので、俺は食堂車に収納されているテレビを出し、そこにドローンの映像が映るように設定した。


「くっきり見える…」


映像の良さにノアは感激しているようだ。

俺はドローンを操って、パリに向かわせた。

数分で小型ドローンはパリに到着したのだが、


「うっわ…」


思わず声が出た。

ドローンが画面に映し出した映像には、ナチス一色に染まったパリが映し出されていた。


「私が知ってるパリじゃない…」


ナチス一色に染っているパリを見たノアは、そう声を漏らす。


「1945年前か?」


そんなことを呟きながらも、俺はドローンを動かして街中にある新聞を確認した。

新聞にはドイツ語で、


1982年8月15日日曜日

第三次世界大戦終戦並びに世界統一記念日!!


と書かれてあった。

第三次世界大戦終戦に、世界統一か…


「1982…あれ?ナチスドイツって1945年に滅んでいるはずだよね?」


同じく新聞を見たノアは、不思議そうに俺に尋ねてきた。


「これもまた、平行世界の一つだよ…新聞の見出しを見る限り、この世界はナチスが世界統一を果たした世界ということだ」


ドローンを動かしながら、ノアに説明する。


「まぁ、食料を買うことは出来ないな…」

「そうね…この世界のお金を手に入れるために金品を持って行ったら、最悪ゲシュタポや親衛隊に目をつけられかねないわ」


ゲシュタポや親衛隊に目をつけられると厄介と判断し、俺らは食料調達が出来ないと判断した。


「じゃあ、ドローンを回収次第、次元跳躍を行いますか」


俺がドローンを回収しようとしたその時、大通りにある大型モニターの画面が突如切り替わった。


『緊急速報です。昨夜、我が第四帝国内に、宇宙人の物と思われる宇宙船が墜落致しました。これに対し、国防軍最高司令部は、大規模な宇宙船捜索作戦を開始するとのことです。また、宇宙軍は宙域封鎖を発表、そのため各宇宙旅行会社では、全便運休を発表致しました。繰り返します…』


大型モニターに映し出された写真は、ブレブレだがアースノアと思われる物だった。


「面倒なことになったわね…」


写真を見たマリナ姐さんは頭を抱えながらそう呟いた。

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