第23話 灰色の世界
アースノアは新たな世界にやってくる。
「機関出力低下、機関の冷却開始します」
「現在、超高次元障壁出力18.6%」
次元跳躍完了と共に、サンとルナはそれぞれのやるべきことを始めた。
「九時方向、125光年先に特異点反応を確認」
レーダーを見ていたルナが、地球の方向を報告してくれる。
「それじゃあ、そのまま向かってくれ、俺は一度皆の様子を見てくる」
「「了解」」
二人に後を任せ、俺は食堂車に戻って行った。
○
食堂車に着くと、机にうつ伏せているノアと、美味しいに、昨日の残り肉とサラダを具として使われているサンドイッチを食べているランが居た。
「あ゛た゛ま゛い゛た゛い゛ぃぃぃぃ!!!」
頭が余程痛いのか、ノアは嘆いている。
自業自得と思うんだけどなぁ
そんなことを思いつつ、俺も席に座った。
「こちらサンドイッチと珈琲です」
「おう、ありがとう」
ヴィーナスからランが食べているサンドイッチと珈琲を受け取る。
そして、俺がサンドイッチを受け取ると、ヴィーナスはノアの前にしじみの味噌汁を出した。
「お飲みください、しじみ汁です」
「ありがと〜!」
ヴィーナスからしじみ汁を受け取ったノアは、息をかけて冷ましながら、ゆっくりと飲み始める。
「…あれ?マリナ姐さんまだ起きてきてないの…?」
しじみ汁を飲んで少しはマシになったのか、ノアはマリナ姐さんが居ないことに気がついた。
「いつもなら早いのに…」
「…」
不思議そうにしているノアを無視して、俺は珈琲を味わいながらサンドイッチを食べ進める。
「私1回見てくる!」
しじみ汁を飲んでいたノアは、マリナ姐さんの部屋に向かおうと席を立った。
「ノアやめとけ。マリナ姐さんは恐らく二日酔いでダウンしていると思うから」
「…はーい」
席を立ったノアがマリナ姐さんの部屋に行くのを辞めさせた。
ノアが諦めて席に着いてすぐ、車内放送が始まる合図のチャイムが鳴った。
『これより長距離空間跳躍を連続で開始します』
車内放送が終わると同時に、長距離空間跳躍が行われる。
そして3回目の長距離空間跳躍が終わった時、
「おはよう皆」
マリナ姐さんが食堂車に入ってきた。
「あっ、おはよう〜!」
「あらノアちゃん、しじみの味噌汁飲んでいるの?」
「うん、美味しいよ!」
「じゃあ、私も飲もうかしら…ヴィーナス!」
「了解!」
ノアがしじみ汁を飲んでいることに気がついたマリナ姐さんは、ヴィーナスに頼んで自分の分のしじみ汁を持ってきてもらった。
「どうどう?」
しじみ汁を飲んでいるマリナ姐さんに、ノアはしじみ汁の感想を尋ねる。
「うん。ノアが言う通り美味しいわ」
「でしょ!でしょ!」
共感が欲しかったのか、ノアはマリナ姐さんから美味しいと聞くと、笑みを浮かべて喜んだ。
「でもノアちゃん?勝手にお酒を飲むはダメよ?」
しじみ汁を二口程飲んだ後、マリナ姐さんは笑みを浮かべながら、ノアことを叱った。
「……はーい…」
マリナ姐さんに叱られたノアは、しょんぼりとしながら返事を返した。
そうこうしているとアースノアは、連続の長距離空間跳躍を得て、太陽系内にある小惑星帯に出てきた。
「もう小惑星帯か…となると…」
小惑星帯に辿り着いたことに気がついた俺は、食堂車のモニターをリモコンでつけた。
そして、そのリモコンを少し弄り、モニターに地球が写るようにしたのだが…
「えっ、これ地球?」
「灰色に染まってるわね…」
モニターに映った地球は、灰色の雲で覆われており、本当に地球かどうか疑いたくなる。
「これはまた、面倒くさそうな世界に来たな」
光速で移動していたアースノアは、月軌道を通ってぐらいから速度を落とし、地球軌道に辿り着く、地球軌道に辿り着いたアースノアはそのまま降下を始め、灰色の雲の中へと突入、分厚い曇の中を進み続ける。
「わぁ…!」
厚い灰色の曇を抜け、窓の外を見つめていたノアが声を出す。
俺も気になり外を見てみると、アースノアの下にスチームパンクを連想させる街が拡がっていた。
そしてアースノアは、街の上空を通過して、野原の上に着地した。




