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第16話 ヤクザとの交渉

数十分歩いた末、街に辿り着くことができた。

街中は空から見た通り木製の家屋が立ち並んでおり、まるで江戸時代にタイムスリップしてしまったかのように思える。


「人で賑わってるね〜」


大通りが人で埋まっているのを見たノアが、そう呟く。


「まずは金銭の確保ね…質屋みたいなところがあったらいいのだけど」


マリナ姐さんは周りを見渡し、金銭が確保できそうな場所を探し始めた。


「そこの人…この辺りで質屋みたいなところ探しているのだが…良い場所ないか?」

「おっ、なんだ?旅人か?」


街の人に俺は質屋ような場所がないか尋ねた。

俺らを見て旅人と思った街の人は、顎に手を当てて考え始める。


「いやー、旅の資金が尽きかけていてね…売るものはあるのだが……」

「うーむ……それなら、2個先にある十字路を左に曲がって、真っ直ぐ行ったら大城屋というのがある。そこなら金銭用意してくれるんじゃねぇーかなぁー?」


俺らの質問に街の人は、分かりやすいように指を刺しながら説明してくれる。


「色々とありがと、じゃあ!」

「おう気おつけてな!」


質屋の場所を教えてくれた街の人にお礼を述べ、言われた通りの場所に向かうことにした。


「着いたのは良いが…」


言われた場所には歩いて数分で見えてきたのだが、大きな建物に明らかヤクザっぽい風貌をした男達が出入りしているのだ。更に入口には、ごつい身体を着きをした鬼が二匹立っている。


「…俺が一人で行ってくる」

「!?」


一人で行くことを伝えると、ノアが驚いたような顔でこちらを向いてくる。


「あら、私が行こうと思っていたけど…それなら任せるわ」

「!?」


マリナ姐さんの言葉に、ノア再び驚いた顔をしながらマリナ姐さんを見た。


「それじゃあ、ノアとランはそこで待っておいてくれ…マリナ姐さん二人を頼みます」


二人をマリナ姐さんに任せ、俺はブレスレットを外し、1人で大城屋に向かって行った。





「マリナ姐さん…龍介一人で大丈夫なの…?」


一人でヤクザの巣窟のような場所に向かって行った龍介を見て、ノアは不安そうにマリナを見つめながら、龍介を心配した。


「大丈夫よ。もし仮に彼らが全員で龍介に挑んだとしても…彼らには勝ち目はないわ」


笑みを浮かべながら、ノアの不安を和らげようと、頭を撫でながら言葉をかけた。





「何の用だ…?」

「冷やかしなら殺すぞ」


建物の入口前までやってくると、帯刀している巨大な鬼人達に案の定止められた。


「いやー…ここで金銭が借りれると聞いてね…物品はあるのだが、どうだ?」


金銭が借りれると聞いたと伝えながら、俺は布で包んだ3本インゴットを取りだした。

このインゴットは、前に言った金が当たり前のように生えている世界の地球で手に入れた物だ。


「「…」」


二人の鬼人は互いの顔を見た後、一人が建物の中へと入っていった。

暫くその場で待っていると、建物の中に入った鬼人が戻ってきた。


「入れ」

「ありがとさん」


入るように言われたため、俺は一人の鬼人に案内されて建物の中に入っていく。

鬼人に案内され、俺は1つの和室に通された。


「ワシらから金を借りたいちゅうやつは、お前さんか?」


通された部屋に入ると、キセルを片手に持ち顔半分に大きな傷を負っているイカつい大柄な男が座っていた。


「ええ…街の方に金銭面で困っているので、どうすれば良いか尋ねたら、ここが良いと伺ったもので……」


鋭い目つきで睨まれるが、俺は臆することなく金を借りたい理由を答えた。


「せやな…ウチは金貸しもやっとる……だかな、街のもんならまだしも、見ず知らずの旅人にそう簡単に渡せるわけが無いと思わんか?」


キセルを吸い、煙を吹き出しながら大柄な男は金貸しに難色を示した。


「ええ勿論です。なので、こちらをお渡しします」


持ってきたインゴットを包んでいる布を畳の上に置き、広げて中のインゴットを見せた。


「なるほど…その量ならば、千両箱4個分以上にはなるだろうな…おい鑑定士を呼んでこい、本物かどうか調べさせろ」

「へいっ」


大柄な男に言われ、部下の一人が部屋から退出して行った。

暫くそのまま待っていると、手袋をつけた一人の男が退出していた部下と共に入ってきて、俺の前に座ってすぐ、俺がもってきたインゴットの鑑定を始めた。


「………」


ルーペでインゴットの細部を見つめたり、計りで重さを測った鑑定士は、無言のまま立ち上がり、大柄な男に耳打ちをした。


「なるほど、金は本物のようだな…」


大柄の男は鑑定士からインゴットが本物ということを聞きいたようだ。


「この金を利子付きで、千両箱2個と交換というのはどうでしょうか?」

「なるほど、だがそれだとこっちの利益が少ないと思うが?どう考えている小童…」


燃えカスを灰皿に捨てながら、大柄の男は俺を睨みつけてくる。

千両箱2個って、最低でも数千万するで結構な額なんだけどな…


「失礼致しました。では、千両箱1個でどうでしょうか?少なくともそのくらいは欲しいのですが…」


更に半額の金を要求する。

と、言っても元々この額の金を貰うつもりだったんだけどな。


「ふっ、分かってるじゃねぇーか、了解した。それで手を打とう…おい!金をもってこい!」

「はっ!」


千両箱1個で満足してくれたようで、1000枚分の小判が入った千両箱を持ってこさせた。


「ありがとうございます。それでは私はこれで…」


千両箱を包んでいる風呂敷を受け取ったあと、俺は頭を下げて礼を述べたのち、そのまま大城屋を後にした。

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