第15話 出掛ける準備
短めです
地球の日本列島に降下したアースノアは、光学迷彩を起動する。それと同時に俺らは、空から街をらしきものを探すことにした。
「ないな…」
「ないわね」
俺とマリナ姐さんの二人で街を探していたが、中々見つけられなかった。
「あっ…」
俺らが探していると、机にうつ伏せていたノアが何かを見つけた。
「ほらあそこ、街っぽいのない?」
身体を起こしたノアが指さす方を目を凝らして見つめてみる。すると、ノアが言う通り人工物が見えた。
「サン、三時方向に街だ。そっちに向かってくれ」
『了解』
サンは俺の指示通りに、アースノアの進行方向を右方向に転進させた。
ノアが指さした方向に進んでいると、木製の家が建ち並ぶ街が見えてきた。
アースノアは傾いて、街中を見やすいように速度を落としてくれる。
「…和服だな」
「そうね。それに、獣の耳や角が生えた者がチラホラ居るわ」
町中では、和服を着た人間や、獣人、鬼人のような者の姿を見かけた。
どういう世界だ?イマイチ掴めん。
「見ているだけじゃ、把握出来ないな…何処かに停めて、見に行くか」
このまま見ているだけでは、この世界を理解できないと判断し、アースノアを街の近くで止めることにした。
○
アースノアは街の近くにある雑木林の中にある川辺で停車した。
「さてと、今回行く者は…」
街に行くメンバーを決めようとすると、ノアとランがジッとこちらを見てきた。
「……分かった、今回は皆で行こうか」
「わーい!」
「♪」
皆で行くことが決まり、ノアとランは嬉しそうにはしゃいだ。
「あら私も?」
自分も行くことにマリナ姐さんは笑みを浮かべながら尋ねてくる。
「流石に俺一人で、子供二人を見ろは無理ありますよ……」
「あらそう…なら、いつものお礼を楽しみに待ってるわね」
「…」
共に来る代わりとして、マリナ姐さんからいつものお礼を頼まれた。
最近バタバタとしてて、出来てないから頼むのは分かるんだけど…二人が居るから出来るかな〜…
お礼ができるかどうか考えながら、出発の準備を進める。
「武器よし、財布よし、鞄よし…」
持っていく物を確認し終えた俺は、マリナ姐さんとノアが支度している間にランの準備を始める。
「取り敢えず、これ被って置いてくれ…絶対に外しちゃダメだからね…?」
この世界なら角や尻尾を出しても良い思うが、手があれなので、包帯で誤魔化すことにした。
ジェスチャーも使って包帯を外さないよう釘を刺すと、ランは分かったというように頷いた。
「よし、いい子だ」
頭を撫でて褒めてあげると、ランは嬉しそうに笑みを浮かべた。
何だこの可愛い生き物。
「こっちは準備完了したよ〜」
ランの可愛さにやられていると、支度を終えたノアとマリナ姐さんがこちらを見ていた。
「こっちも丁度終わったよ…んじゃあ、全員これを何処かにつけてくれ…」
そう言って俺は、全員にブレスレットを渡した。
「なにこれ?」
装着しながら受け取ったブレスレットをノアは不思議そうに見つめた。
「認識阻害の機能があるブレスレットだよ。この世界だと、俺らの服は目立ってしまうからな」
俺はノアの疑問に、ランにブレスレットを装着させながら答えた。
ちなみにこのブレスレット。同じ物をつけている者同士なら、認識阻害の対象外になるので、途中ではぐれるということはない。
「これで全ての準備が完了…それじゃあ、街に行こうか」
「おーー!!」
「!」
街に向かう準備が終わったことで、ノアは腕を上につけあげ、見よう見まねでランも同じポーズをとった。
写真撮りたいな……あれ?俺ランに結構過保護になってる?
ランに対して過保護になりつつあることを自覚しつつ、列車から降りることにした。
「すーー、はーー…うーん空気が美味い!」
久々にマトモな地球に降り立ったため、俺は深呼吸をして空気を味わった。
「すーっ、はーー…」
可愛いことにランも俺の真似をして、空気を味わった。
何だこの可愛い生き物
再びランの可愛さにやられながらも、俺はコンパスで街がある方向を探った。
「…こっちだな。行こうか」
街がある方向を確認した俺は、皆を引き連れて街に向かうことにした。




