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最善の1話

お待ちしてました

 素敵な物語をあなたと

 初めまして案内役は私、ぼるふになります

 白昼歌劇【EDEN】では異世界から転移した男の波乱万丈な日々を見守ってもらいます。

 【楽園】と意味被ってるって?

 【EDEN】の方は少しだけディープな仕上がりになってますので【楽園】とはまた違うテイストでお楽しみいただけるかと思います。

 物語の主人公は『ああああ』

 彼、異世界では勇者として大活躍してたみたいですけど、この世界に来てから少しおかしくなってしまったみたいです。

 物語の舞台は地球、皆様にも馴染み深い星です。

 怪異が蔓延るこの世界で異世界からの異邦人はどう生き抜くのか、全ての結末は液晶の前のあなたと共に。

 さぁ、お待たせしました

 いよいよ始まります

 それでは皆さん

 また後で

 ――――――――――――――――――――――――

 

 ここは、どこだろう。

 風が気持ちいい、誰かの声がする。

 「ねぇ、、、起きて、、起きてよ、、起きてってば」

耳に届いたのは、澄んだ少女の声。おれが顔を上げると、そこには白髪の少女が立っていた。赤く綺麗な瞳瞳が月光を反射し、不思議な輝きを放っている。

 「あんたは…誰だ?」

 おれが戸惑いながらもそう聞くと

「あたしは二美乃。ただの通りがかり。」

 少女は少し首を傾げながら答えた。その仕草に警戒心が解けるどころか、おれの胸にさらなる疑問が生まれる。

「通りがかり…?おれはどこにいるんだ?ここは何だ?」

二美乃はおれの質問に答えず、代わりに花壇の外に広がる景色へ目を向けた。高くそびえる建物、光り輝く街灯、そして遠くで響く車の音――まるで異世界のような光景がそこにはあった。


「ここは静岡。葵区だよ。」二美乃が静かに言った。

「シズオカ…?いや、そんな地名は知らない、どこの大陸だ?」おれは動揺を隠せなかった。

二美乃は一瞬だけ考えるように視線を落とした後、言葉を続けた。

 「日本の…日本だよ。じゃ、あたし急ぐから」

「待て、おれを置いていくのか?状況がまったく分からないんだ!」おれは焦った声を上げた。結構無様な。

 「しつこいと警察呼ぶよ、あたし行くか――――」

 遠くで爆発音が響く、続けて人間では無い動物に近い何かの叫び声が聞こえた

 「マジか、あたしホントに急ぐから」

 二美乃が焦ったような表情でそう言い、急いでその場を後にしようとする。

 「おれも行く、魔王軍との戦闘ならおれもかなりの経験がある。」

 戦闘にはかなりの自信があった、おれは魔王を倒すために旅をしていた勇者だったからだ。

 「…うざ」

 二美乃は冷たくそう言い走り去ってしまった。

 「早いな…馬車くらい、いやそれよりか」

 二美乃のスピードは人間の出せるそれではなかった。

 「やべ、見失う」

 本当に魔王軍だったらと思うとおれも自然と後を追っていた。

 勇者としての任を放棄したのに。

 「はぁ?なんで着いて来れんの」

 嫌そうな顔をされた。それはもう露骨に

 「あんたこそ、足速いな。シーフギルドにでもいたのか?」

 二美乃が首をかしげ、不思議そうな顔をする

 「しーふーどぎるど?なにそれ」

 美味そうな名前になってしまった。

 ウォーリアーギルドの次に有名なシーフギルドが知られていないとは。この辺の冒険者教会の知名度が伺える。

 「あんた、モンスターとの戦闘は?」

 「怪異の事?まぁ、それなりに。」

 モンスターを怪異と呼ぶ地域は知っている。

 東洋人だ。

 「あんた東洋人なのにシーフギルド知らんのか」

 「だからそんなの知らないって」

 目的地に着いたのか二美乃が飛び上がる。

 木から木へジャンプし飛び移っていた。

 猿のように。

 「いや、あの動きでシーフギルド知らんは無理あるだろ。上ね、階段はどこだろ」

 目的地は神社、立派な神社だ。

 長い階段が特徴的だった。

 上まで上りきると二美乃が7本の尾を持った狐のようなモンスターと戦っていた

 「しっぽ7本とか聞いてないし…」

 炎の魔法を使う狐に若干押されていた

 「あんた大丈夫か!おれも加勢する――――」

 「向こう行ってて!」

 ちゃんと怒られた。

狐が炎の玉を飛ばしそれを刀で打ち消す、また玉を飛ばしそれを打ち消す、その繰り返しだった

 このままじゃジリ貧になって負ける。そう思い加勢しようと思った。

 「遊びじゃないの!君死ぬよ!」

 また怒られた。

 でもやっぱりここはおれが出るべきだ。

 狐の標的がおれに移る。

 狐が唸り声を上げ、7つの尾を激しく揺らした。その動きに呼応するように、空気が震え、燃え盛る炎の玉が次々とおれたちに向かって放たれる。巨大な火の塊がここら一帯を照らし出し、迫り来る灼熱が肌にまで感じられた。


「どいて!」二美乃がおれに叫ぶ。


 確かに狐の力は強い。しかし、それを超える力を見せなければならない。


炎の玉が迫る中、静かに呼吸を整えた。そして、心の中で技の名を唱える。

 ──沈みゆく太陽。

足元がゆっくりと赤く輝き始める。それは、まるで西の空に沈む夕日のように穏やかでありながら、すべてを焼き尽くす力を秘めている光だ。

炎の玉がおれに直撃する瞬間、おれその力を腕に集中させた。腕が紅蓮の焔を纏い、狐の魔法をすべて飲み込む。

「これでおしまい。」

狐が動揺するのを見逃さず、一気に間合いを詰める。腕を大きく振りかぶり、頭から振り下ろすように殴りつけた


――刹那。


技の余韻が消えるとともに、狐はその場に崩れ落ち、7本の尾も静かに地面に沈んでいく。


勝負はついた。魔法の痕跡が最後の光を腕に残し、その後おれの腕から紅蓮の輝きが消えた。

「……ふぅ」

 一息ついたところで二美乃が慌てた様子で近づいてきた。

 「今の何!すっごいじゃん!」

 二美乃にはもう始めのような嫌悪感は無く、その瞳は、静かな興味と新たな理解の兆しをたたえていた。



 

 

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