人生階段
階段の先に姿が見えた
強い日差しはシルエットを映し出すことは出来ても、その表情は教えてくれない
私の息は荒くなっていた
それは長い階段を登っていたからか、これから飛び込む世界に不安を感じていたからか、それとも君を見つけたからなのか、心臓の音と呼吸音が頭に響く
声は出なかった
出しているつもりでも音にならない感じだ
階段を登り終えて初めて君の表情が見えた
穏やかな目と柔らかな笑みを浮かべていた
背中をポンと押された
「がんばれ」
そう言って次の階段へと促すようだった
不思議とさっきまでの不安や動悸は消えていて、身体から疲れが抜けた気がした
足取りは軽く、私は振り返らずに先を目指した
君は優しくひらひらと手を振ってくれている気がした