表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/325

92.スキルの仕様変更、そして謎のプレイヤーの登場

「という事で、どうしますか?」

「ミナモトを探すと言ってもどこにいるか分からないしな。人が集まる場所があれば……って、あっそうだ。今って確かコラボイベント中だったよな?」

「はい。“モンスターガールズ”というゲームのコラボ期間中ですね。この前の大会終了時に発表されて大盛り上がりになりましたね。覚えてませんか?」


 【モンスターガールズ】とは、携帯ゲーム機【ノーリミット】で遊べるゲームである。

 略して【モンガル】と呼ばれるそのゲームは、自社他社問わずにモンスターを女体化させたキャラクターを育て、戦わせるゲームである。

【※70話参照】

 つまり、今回のイベントはコラボのコラボという事にもなる。

 アルカも極とたまに対戦を行っており、好きなゲームの1つではある。


「覚えてる……けど、それってどんなコラボイベント何だ? 詳細を知らないけど……」


 今回のモンガルコラボの目玉は何と言ってもテイムモンスターの配布である。

 モンガルに登場する人気ガールズ、【サンドシャーク】が何と無料で配布されるというのだ。ただし、職業【テイマー】限定。

 現在はあまり環境トップには立てていないのだが、14年くらい前からしばらくの間は環境トップに君臨していた強力ガールズである。

 ちなみに、アルカの仲良しのネット友達である極はこのガールズが大好きで、アルカとの対戦ではよく使ってきている。

 そして肝心のコラボイベントの詳細は、こちらである。


・モンガルエリアでガールズをテイム……こちらも、職業【テイマー】限定。

・モンガルエリアでガールズを討伐。

・討伐したモンスターの種類や数に応じて、アイテム、装備、武器等をプレゼント。中にはモンガルのキャラの見た目になりきれる装備のプレゼントも!!


「なるほどな、でも俺達はテイマーじゃないから……」

「モンスターのテイムは無理ですね……。でも、アイテムとか貰えるみたいですよ」

「ま、今回の目的はそれじゃない。ミナモトに会うことだ」


 そうである。今はコラボイベントではない、ミナモトの捜索である。



 アルカとキメラは、今回のコラボイベント専用に作られた、【モンガルエリア】へとやってきた。場所は【はじまりの街】から行けるので、これを目当てにはじめたプレイヤーにも優しい仕様である。

 モンガルエリアには人が大勢いた。


「賑わってるな。で、ここに原作と同じようにエンカウントしてテイムするんだろ?」

「はい、攻撃を与える際、血も出ないのでグロテスクなのが苦手な方でも安心してイベントを楽しめます」


 全て女体化されているという事もあり、全て人間がコスプレをしたかのようなキャラクターである。それもあり、演出には配慮されているようだ。


 そして、しばらくすると、とある人物が話しかけてきた。


「お久しぶりですね。アルカさん」

「ミナモト……!!」

「いやぁ、本戦で会えなくて残念でしたね。どうも、私ですよ。そうです、ミナモトです」


 アルカは龍なので、体が大きいので人混みでも目立つ。

 それもあり、簡単に見つけてくれたようだ。


「あの動画の主……君でしょ?」

「はっ! 今はそんな事どうでもいいじゃないですか。私はこう見えてもプライドが高くてね、あそこまで大口叩いたからにはボコボコにしないと気が済まないのですよ」

「予選落ちしたんだっけ?」

「予選落ち? 違うねっ! 私とチームを組もうとするプレイヤーが居なかっただけさ!」


 参戦する以前の問題であったようだ。

 だが、今はそんな事関係ない。


「で、やってくださるんでしょう?」

「ああ! 受けて立つぜ!!」


 アルカは拳に力を入れた。


「「バトルモード!!」」


 二人はメニュー画面を開き、バトルモードを選択する。


『バトルフィールド展開、これよりpvpを開始します』


アルカ、ミナモト、キメラ以外のプレイヤーが画面から消える。

 他のプレイヤーが消滅したわけではない。正確には、3人が見た目が同じ全く別エリアに転送された事により、消えたように見えたのだ。

 ちなみにキメラは観戦モードでの参加である。


「見ててくださいよ。私の勝利を」

「あ、はい」


 キメラはとりあえず頷いておいた。


(ん……そういえばアルカさん、あれ以来GWOにログインしてなかったって言ってましたね。強制アップデートあったの気付いているんですかね?)


 キメラが心配そうに見守る。

 電子音声のカウントダウンが0になると、戦いが始まった。


「アルカさん! 2週間くらいやってませんでしたが、まさか戦い方は忘れてませんよね!?」

「大丈夫だ、問題無い!」


 アルカはスキル一覧を見る。


「うんうん。まずはボルケーノザウルスを召喚して……って“召喚”のスキルが消えてるぅ!?」


 【召喚】とは、テイマーでないにも関わらずモンスターをその名の通り召喚できるユニークスキルである。

 テイマーの人達からのクレームで消失してしまったらしい。

 【テイマー】のアイデンティティが失われるのだ。無理もない。


「おやおや? 油断かな?」


 ミナモトは槍を持っている。

 そしてそれを持ち、突っ込んでくる。


(よしっ! 突っ込んできた! “第一の瞳“で一気に決める!)


 アルカはスキル【第一の瞳】を発動させると、翼の目玉が1つ開く。続いて腹部から触手が伸び、相手を捕らえようとする。これで捕らえられれば相手を装備する事が可能になるのだが……。


(触手じゃない!? っていうか、短ぇ!)


 腹部から出てきたのは鋼の爪のようなものであった。

 これではリーチが短い。


「駄目ですよ。しっかり分析しないとねっ!」


 ミナモトは槍をバネにして飛び跳ねるとそれを突き刺す。


「ぐっ! だったらもう一度……って発動しない!?」


 アルカの脳内に情報が流れて来る。

 【そのスキルは60分後に再度使用可能となります】


(は!?)


 アルカはダメージを受けてしまったのでバックステップで追撃を回避する。


「アルカさん! 本当に大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ! ちょっと俺の方のスキルも仕様変更があったみたいだ」


 だが、ミナモトは続けて追ってくる。


「“乱れ突き”!!」


 ミナモトは、槍専用のスキル【乱れ突き】を発動させる。

 対して、【第二の瞳】を発動させるアルカ。


「ぶふぅっ!?」


 ミナモトに黄色い斬撃が襲い掛かる。


「あっ、良かった」


 【第二の瞳】にはスキルを無効化し、それをストックしておく効果がある。

 大会の時の【ハイパースラッシュ】を未だにストックしておいたのを思い出したので使用してみたら、普通に出来た。それを受けたミナモトは吹き飛ぶ。


「終わりだ!」


 アルカは空高く飛び上がると、足にスキル【トルネード】を使用し、そのまま飛び蹴りを放つ。


「へあああああああああっ!!」


 ミナモトに見事ヒットし、地面にめり込み、アルカの強力な攻撃力、特殊攻撃力の前に散った。バトルモードが解除される。人混みなので、話をするのに一旦平原へと移動する。


「ふぅ……危機一髪だったな」

「何ですか!! さっきの奇襲は……!!」

「“ハイパースラッシュ”だ。大会の時のをまだストックしておいたんだ」

「そ、そんなの有ですか!?」

「いや、こっちも色々考えたんだぜ? スキルの仕様が変更になっててさ……」

「“超鑑定”!! なるほど……確かに以前とは仕様が変更されてますね」


 ミナモトは腰に手を当てる。


「もう一度勝負です!」

「も、もう一度?」


 アルカが迷惑そうに腕をダラーンとさせると、とある人物が現れた。


「だったら私と勝負しない?」


 見たことのないプレイヤーが3人の元へとやって来る。


「誰ですか?」

「私? そうね、頭上を見れば分かると思うけれど、あえて自己紹介させてもらうわ。私はパスタ……テイマーのパスタ」


 プレイヤーネームはパスタと表示されている。

 ミナモトは鼻で笑う。

 パスタ何てプレイヤー知らない。

 どうせモンガル目当てで始めたエンジョイ勢だろうと……。


「仕方が無いですねぇ……すぐに終わらせますか」


 ミナモトはパスタにそう言い放った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ