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85.レッドワイバーン

 アルカのチームは、アルカ&ミーナ。ピックのチームは、ピック&モノが残っている。

 アルカかピック、どちらか一方が倒されればそのチームの敗北となるが、果たしてどちらの勝利で終わるのだろうか?


「よし! これだけあれば!」


 ミーナは今の所、この決勝戦で戦闘を行っていない。

 今まで何を行っていたかというと、落ちていた素材で回復アイテムを調合していたのだ。

 回復アイテムの持ち込みは不可だが、調合するのはOKなので、その点【錬金術師】は有利である。


「それにしても、いつの間にか私とアルさん以外倒されちゃってるよ。こりゃ荷が重いね」


 ミーナはとりあえず歩く、まぁ、1対1なら何とかなるのかな? そう思っている。

 しばらく歩くと、二人は出会うのであった。


「お前は、【ボス】では無いな。だが先に倒させてもらう。錬金術師何だろ? お前。回復アイテムなんぞ使われては厄介だ」

「!! こ、こんにちは」


 モノにギロリと睨まれ、ちょっとビビッてしまったミーナは挨拶をする。


「悪いが、私は二度と油断などしない。仕留めてやる」


 モノは先程の出来事を思い出し、油断しない事を誓った。

 弓矢を構え、それをミーナに向ける。


「ちょっ! 私のトラウマ抉る気ですか!?」


 ミーナは弓矢に嫌な思い出がある。

 どっちにしろ、あのゴツイ弓矢で身体を撃ち抜かれれば、かなりのHPを持っていかれるであろう。

 とりあえず、ミーナはダイナマイトを投げる。


「牽制のつもりか? だが、そんなアイテムでの攻撃、かわすのは訳ないな」

「だったら!」


 ミーナはアイテム【トラッキングボム】を使用する。

 以前も使用していたが、追尾機能を持つ、ミーナとっておきのダイナマイトである。


「いっけー!!」


 一気に10個のトラッキングボムを投げ付ける。

 だが、モノはそれを軽く睨み付けると、弓矢で全てを撃ち落とす。


「な、何? 今の動き……?」


 小さな的に素早く、そして的確に狙いを定めるプレイングスキルを見たミーナは軽く引いてしまう。まさに神業。


「これくらい簡単だ。何だお前、決勝ここまで来た割にこんな事で驚くのか?」

「……ははっ、強いですね……。ですが、私だって……!!」


 ミーナに向けて放たれた矢をしっかりと目視し、それを手で掴む。


「ほぅ、少しはやるようだな」

「ふふん!!」


 ミーナは軽く涙目で喜ぶと、トラッキングボムを投げまくる。

 連投により、モノは全てを撃ち落とせずにいる。

 そして、遂に1撃がヒットする。


「くっ……!!」


 モノのHPが4分の1程削れる。

 どうやら、耐久は高くないらしい。

 【ガンナー】は本来、遠距離向けの職業だ。それもあり、【ガンナー】を選んだ場合、ステータスに特に補正はかからない。


「舐めるなよ!!」


 モノが深紅の矢を取り出す。

 明らかに色が違うので、ミーナも身構えた。

 そう、この弓矢は【レッドワイバーン】と呼ばれる矢であり、その矢は一度狙った相手をどこまでも追いかけ、撃ち抜き、即死させる。そんな効果を秘めている。一度に一つまでしか所持できず、入手がかなり面倒だ。


「終わりだ、人間」


 その矢が放たれたら最後、後はHPが0になるまで待つしかない。

 レッドワイバーンがモノの弓から放たれる。


「錬金術師の真の力を見せてあげます!」


 ミーナは避けようともせず、その弓矢に右手を伸ばす。


「無駄だ。その矢は取れん」

「取るつもりはありませんよ!!」


 ミーナの右手に弓矢が触れた、その時であった。


「何っ!?」


 レッドワイバーンは崩壊を始め、粒子となり消滅する。

 地面には、数々のレッドワイバーンの素材となったアイテムが転げ落ちる。


「普通の弓矢はお店で買えます。しかし、どう見ても異質なその弓矢はおそらく様々な素材から成り立っているアイテムだと推測できました。まっ、錬金術師のカンですね」


 ミーナは地面に転がっているアイテムを全て収納する。


「そして……錬金術師にできるのは調合だけでは無いんです。その逆もできるんですよ♪」


 ミーナはニコリと笑った。

 錬金術師専用のレアスキル【逆錬金術】。

 触れたアイテムを素材の状態に戻す効果を持っている。


「さらに行きますよ! 【ウェザーオペレーション】!!」


 ユニークスキル【ウェザーオペレーション】。

 天候を操作するスキルである。

 ミーナが選択する天候……それは。


「乱気流!!」

「くっ! これではっ!」


 不規則な風により、思ったように弓矢の狙いが定まらなくなる。


「トラッキングボム!!」


 追尾性能を持ったダイナマイトは、乱気流だろうと関係ない。的確に狙った相手を追尾する。


「ぐぁ!」


 次々にダイナマイトがモノへと吸収されるかのようにぶつかっていく。


「終わりです!」


 ミーナはレッドワイバーンを先程の素材で再調合。

 トラッキングボムに刺し、それを投げ付ける。


「くっ……私は滅びない! 滅びないんだああああああああ!!」


 モノは、レッドワイバーンに貫かれ、HPが0となる。


「そう、あいつは……ピックは強い……! きっと、きっと何とかしてくれる! 私は滅びない!! ハッハッハ!!!!」


 モノは粒子となり消滅する。

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