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83.愛刀、最期の一撃

「うわっ! こっちに来た! もふもふちゃん!!」


 自分が狙われていると気付いたリルは、デスラビットの背中に乗った。体毛が長い為、背中に乗ってしまえば、どこに居るかが非常に分かりづらい。


「隠れたでござるか! まぁ、良いでござる。だったら、先にそのモンスターを倒すまで!」


 刀を用いて、デスラビットを斬り付ける。

 あのモンスターも素早いが、素早さでの勝負だったら、極も負けていない。むしろ極の方が素早いくらいである。


(あのモンスターは【デスラビット】。闇属性でござる。だったら)


 極はアイテム欄からアイテムを選択し、使用する。


(【ライトフロッピー】!)


 これを使用する事により、1分間の間だけ光属性になる事が出来る。

 闇属性相手には、光属性の攻撃は2倍となる。

 更には闇属性から受けるダメージが半減&光属性攻撃を使用した際の攻撃が属性一致となり、効力がアップする。


 そして、極はスキル【属性エンチャント】を発動させる。

 このスキルは2種類の効果を持っている。以下がその効果である。


・1分間、自分の武器に自分と同じ属性を付与する

・次に使用する攻撃系スキルの属性を自分と同じ属性に上書きする


 どちらかを選んで使用する方式である。

 極は、2つめを選択する。


「とぁっ!! 隙あり! 【流星群りゅうせいぐん】!!」


 極は大きくジャンプすると、お得意&お気に入りのスキル、【流星群】を発動させる。

 いくつもの流星がデスラビットに襲い掛かる。


「ギッ!!」

「もふもふちゃん!?」


 デスラビットはマズイと思い、リルを振り落とした。

 最後にウインクをリルに向け、モンスターは消滅した。


「もふもふちゃああああああああああん!!」


 リルの叫びが響き渡る。


「この勝負が終わったら、人参一杯食べさせてあげるからね……」


 消滅したデスラビットに対し、呟いた。

 1分間も経過し、極も無属性へと戻る。


「終わりでござる!」

「こ、このぉ~! だったら、私のとっておきを見せてあげる!!」


 またしても魔法陣を出現させると、リルの言う、とっておきのテイムモンスターが召喚される。


「いけっ! サンドシャーク!!」

「このガールズは……!!」


 砂漠の鮫をイメージしたモンスターである、【サンドシャーク】……を女の子化したものがモンスターとして召喚された。

 そう、これはアルカと極が対戦しているゲーム、【モンスターガールズ】で登場するキャラクターである。略してモンガルは、他ゲームのキャラを擬人化しているので、コラボのコラボといった所であろうか?


「いつコラボしたでござるか!? えっ!? しかもサンドシャークは現対戦環境トップの大人気ガールズでござるよ!? 拙者も欲しいでござる!! あっ、でもテイマーじゃ無いから無理か……って何で!? 本当にいつコラボしたの!? へ!? 滅茶苦茶可愛い! ドットも可愛いけど、これリアルサンドシャークちゃんだ、やばっ、やばい!!」



 実はコラボイベントはこれから行われるのだ。

 では、なぜリルが先行で入手出来たのか? それには理由があった。


「運営さんから貰ったの! 1名様にのみ先行配布だって! リル、凄いラッキー!」


 そうである。1名にのみ、サイレントで配布されたのだ。それがリルであった。

 運営的には、ランダム1名にのみ配布→その1人が晒してネットで話題になる→今度コラボあるんじゃね? 今の内にモンガルファンの友達誘っておこう! みたいな感じを想定していたのだが、コノミに決勝まで取っておいた方が良いと言われ、今の今まで対人戦では使わなかったのだ。

 おそらく、この試合の映像を見ている視聴者の中には「えっ!?」と驚いている者も多いであろう。


「サンドシャークちゃんを斬る……」


 極に少し迷いが生まれたが、自らの頬をぺちぺちと叩き、首をブンブン振る。


「いや、しかしこれは勝負……いつかコラボした際に誰かに見せてもらうとして今は……拙者の全てをかけ……貴様を倒すっ!!」


 情を持たない為にも、あえて大好きなモンガルを貴様呼ばわりし、極は走る。


(このゲームは、炎、水、風、土、電気、光、闇属性のみ。故に属性まではコラボ元を再現していない可能性が高いでござる! ならばこっちも無属性で行くでござる!!)


 サンドシャークは、モンガルでは怪獣属性と地属性である。

 だが、このゲームに怪獣属性と地属性は存在しない。

 極は、サンドシャークを斬りつけたが……。


「刀がボロボロにっ!?」


 サンドシャークの肌は一見綺麗な白い肌に見えるが、実際は鮫肌であった。

 刀が武器の極みにとってはまさに相性最悪な相手だ。


「サンドシャーク! 【アースクエイク】!!」

「技まで再現してるとは流石でござるな……!!」


 サンドシャークが地面を殴ると、地面から岩の柱が飛び出る。

 極はそれをモロに受け、吹き飛ぶ。


「くっ……環境トップは伊達じゃないでござるな……。仕方が無いでござる。サヤカ殿、貰った刀……ごめんでござる」


 極は【冥王刀ネプチューンブレイド】を悲しそうな表情で見つめた。


(後サヤカ殿……冥王星はプルートでござるよ……)


 極は距離を取り、刀を構える。


「サンドシャーク……貴様を倒す方法が分かったでござる!!」


 一度しか使用できないスキルだ。

 極は、右手で刀を持ちそれを上空にかかげると、それに青白い光が集まる。


「何っ!? 何をするの……!? サンドシャーク!! 【ドラゴンスラッシュ】!!」


 サンドシャークが極を潰そうと接近して来るが、ここは逃げるべきであった。


「【ソードレクイエム】!!」


 極は刀をサンドシャークに向け投げた。

 サンドシャークはそれを弾こうとするが、それに触れた途端、爆破し跡形もなく消滅してしまった。


「サンドシャーク!? リルの最強のとっておきのモンスターが!!」


 更に剣は飛び、その先に居るリルに向かっていく、物凄い速度だったのでかわしきれず触れてしまった。

 そして、冥王刀とリルは消滅した。

 リルはただ単にHPが0になっただけであったが……。


「【ソードレクイエム】……自分の所持する中で一番攻撃力の高い剣を投げる事でのみ使用可能なユニークスキルでござる……。代償は大きく、その刀が完全に破壊され二度と使えなくなり……更には使用者のHPを0にするでござる……!!」


 極のHPが0となり、消滅……。

 まさに、“全てをかけた”一撃であった。


「アルカ殿、カノン殿、ミーナ殿……後は……後は頼んだでござる!!」


 こうして、戦いはクライマックスへ。

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