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81.ネクストチェンジ

「おっ! 敵さん発見!!」


 冒険者ギルド付近で、ピック&イチゴタルトコンビが魔法少女に変身したキメラに向き合っていた。


(相手は二人……確か掲示板で収集した情報によると、ピックさんは職業が剣士でプレイングスキル重視の戦法を得意としている。そして、イチゴタルトさんは職業が魔法使い。サポート系のスキルを多く使い、支援能力が高い。分析済、きっと大丈夫。そして何より、相手チームの【ボス】は、ピックさんだ。ここで私がピックさんを倒せばそれで勝負は決まる。ここはやるしかない)


 キメラは覚悟を決めた。

 ここでピックを倒し、自分がチームを優勝に導くと。


「お1人様か? そのソウル、悪くない。イチゴタルト! 舐めてかかってると負けちゃうぜ! 支援頼んだ」

「はい!」


 ピックがギターの先の部分を持つと、そのまま引き抜く。すると、中から剣が出てきた。

 ギターの本体が鞘の役割を持っているようだ。

 対するキメラはニヤリとする。


(決勝戦まで手の内を明かすまいと発動させなかった、とっておきのスキル。今こそ見せる時!)


 キメラは決勝まで使用しなかった切り札的なスキルがあった。

 そのスキルとは……?


「スキル発動!! 【ネクストチェンジ】!!」


 そのスキルは、その名の通り、現在の魔法少女形態の更に一歩上の形態に変身出来るスキルであった。

 キメラに虹色の光が降り注ぎ、やがてそれらがキメラの身体に吸い寄せられ、キメラをドーム状に虹の光が包み込むと、やがてそれが解放される。


「変身……完了です!!」

 先程のいかにもな魔法少女の姿から一変し、体の至る所に白銀のアーマーが装備されている。

 それだけでは無い、キメラの周囲には虹色の☆が空中を舞っている。


「おいおい、何だそのロックな姿は」


 ピックは未知との遭遇に目をつもり、笑みを見せた。


「気を付けてください。キメラさんのあんな姿、情報がありません。しかし、おそらく基礎ステータスも上昇していると思われます。警戒してください」

「OK! なら、イチゴタルトはバックアップを頼む」

「へっ!? わ、分かりました」


 ピックの無茶ぶりを受けたイチゴタルトは、杖を前に構える。


「お手並み拝見と行こうか?」


 ピックは右手に持った剣でキメラに斬りかかる。


「何だと!?」


 キメラの周囲に舞っていた☆の1つが、キメラの盾代わりとなり、ピックの一撃を弾いたのであった。

 ピックはバックステップをし、キメラの反撃に備える。


「【スターブラスト】!!」


 キメラが右手を銃に見立て、L字型にする。

 人差し指の部分に光が集まると、それが星になり、ピックに向け放たれる。


「くぅっ!!」


 見事ピックにヒットし、彼女の身体が大きく吹き飛び、壁にめり込む。

 ピックのHPは半分程削られてしまう。

 本来であれば、倒されてしまうダメージであったが、イチゴタルトの支援スキルのおかげで半分程削られただけで済んだのだ。


「大丈夫ですか!?」

「お前のおかげでな! サンキュー!」


 イチゴタルトの使用した支援スキルは次に与えられるダメージを半分にするスキルであった。ピックが突っ込む瞬間に使用した。

 キメラは【ネクストチェンジ】を使用した自分の特殊攻撃力の高さを知っていたので、あれしか削れないのはおかしいと感づいたようで。


「支援スキル……厄介ですね……」


 イチゴタルトの支援スキルのせいで倒しきれなかったのだと見破った。


(先にイチゴタルトさんを倒した方が良さそうですね)


 更にイチゴタルトがスキルにより、ピックのHPを完全回復したのを見て、そう思った。

 キメラは空中に浮遊し、イチゴタルトの背後にまわろうと考えた。


「貰った!」


 イチゴタルトに向かい、【スターブラスト】を放つが、彼女はそれをかわす。

 だが、今のキメラにはスキル以外にも攻撃手段がある。


「えいっ!」


 周囲に舞っている☆が虹色の剣に姿を変え、それがイチゴタルトを襲う。


「何ですかそのスキル!?」


 イチゴタルトは驚く。

 だが、これはスキルでは無いのだ。

 【ネクストチェンジ】に備わっている基本能力。

 アルカが翼で空を飛べるのと同じような感じである。


「ひっ!?」


 虹色の剣がイチゴタルトに突き刺さる。

 1本、2本……合計10本程が腹部に刺さり、貫通している。


「おぉい!! 大丈夫か!?」

「す、すみません。無理かもしれません……」

「何だと……!?」


 実はこの剣、1本でも刺さると抜けるまで動けなくなってしまう。

 おまけに剣が刺さっている間はHPがゴリゴリと削られていってしまう。

 それが10本刺さっているとなると、それは物凄い速度でHPを奪い、0にしたのであった。


「イチゴタルトォォォォォォ!!」


 もし、この技を決勝前に使用していたのならば、その凶悪性から修正が入った可能性がある。それを考えると、決勝まで温存していたのは良い考えである。


(勝てる……勝てる……!!)


 このまま行けば勝てる。キメラはそう思った。


「イチゴタルトォ……。くっ、仕方が無い。本気を出してやるぜい!」

「えっ……?」


 今までのは本気では無かったのだろうか?

 だが、特に手加減していたとは感じなかった。


(ハッタリ……?)


 そう思ったキメラであったが、違った。


「我にもあるんだYO! ここまで温存していたスキルがな!」

(スキル……?)


 今までの試合の情報を先程の休憩時間に集めていたが、使用していたスキルは剣士の汎用スキルのみであった。

 一体どんなスキルを温存していたのだろうか?


「正直、プレイングに関してはコノミの方が上だ。だが、総合的な強さ自体は我も負けてないぜ?」

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