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77.チーム【To_Soul】結成の秘密【中編】

 灯火、沙耶、リルの3人は休日の日、とある場所で集合する事となっていた。

 その場所とは、GWO内のはじまりの街である。

 13時に噴水広場に集合という約束となっている。

 灯火は、アバター【ピック】となり、20分程早くに待ち合わせ場所に来ていた。

 アバターと言ってもリアルの姿とあまり変わりがない。

 大きく変化する者も居るが、基本はリアルの姿に似た感じの容姿となる事が多いのだ。


「ギターがあれば良いんだけどな! こんな綺麗な場所で演奏したいぜ! というかこんな現実感溢れるならもっと早くにやっておけば良かった。もっともっと沢山の人に我のソウルを聴いて貰えるじゃないか」


 ピックは決めた。この世界でもギターを買おうと。

 そして、あわよくば沙耶やリルとバンドを組みたいと。

 そんな事を考えていると、1人のプレイヤーに話しかけられる。


「今、暇ですかな?」


 プレイヤーが話しかけてきた。

 二人組であり、どちらとも初心者といった感じの武器を持って居る。

 ちなみにこのゲーム、なぜか初期装備が強かったりするプレイヤーもいるので、強い装備=初心者とも限らない。そういう時は武器を見れば何となく分かるのだ。ゲームに疎いピックには分からない事であるが。


「人を待ってる」

「そうですか。実は私、【ブレイドアロー社】の社員でして」

「ブレイドアロー社だと……!? 何だそれは?」


 ブレイドアロー社とは。

 VRヘッドギアを開発した会社であり、GWOの運営も行っているというかなり大きな会社である。VR技術の発達にも大きく関わっている。

 要するに今、彼女は運営に話しかけられているのだ。

 だが、ピックはそれを知らなかった。


「冗談が上手いですねぇ。気に入りましたよ。よし! 決めました! 貴方、ちょっと試験にご協力いただけないですか?」

「試験……?」

「簡単ですよ。ここにいるロボット……ま、ログインしている間は普通のプレイヤーですが、実は人間じゃなくてロボット何ですよ。これ秘密なんですけど我が社では今人間そっくりのロボットの開発を行っていてですね。将来的には人間のパートナーにもなる。そんなロボットを開発しているんですよ、ええ。そこでですね、この子と一緒に遊んであげて欲しいんです。このゲームで」

「いいぜ、3人でバンドは正直キツイと思ってたんだ」

「驚かないのですか? ロボットですよ? ロボットがゲームをプレイしているんですよ?」


 ピックは驚かない。

 既に超能力者や宇宙人と友達だからである。


「人生色々とあってな! ロックだぜ」

「成る程……では、宜しくお願いしますよ。それと試験期間は、今年の7月のとある大型イベントが終了までです」

「その後は遊べないのか?」

「結果によりますかね……結果によっては……フヒヒ、まぁ楽しんでくださいな」


 そう言うと、社員と思われしプレイヤーはログアウトボタンに手を伸ばし、ログアウトをした。

 ポツンと残されたもう一人のプレイヤーはピックをチラ見する。


「ロボットか……ロボットもゲームするんだな! ま、宜しく頼むぜっ!」


 ニヒヒと笑いながら目の前に立つと、彼女は口を開く。


「くだらん。人間と遊ぶだと? 面白い冗談だな」

「遊んでくれないのか? そいつはショックだぜ、ベイベー」


 だが、遊ばないと言った割には、ログアウトをする気配が無い。


「“遊び”はしないが、生き残る為の努力はする」

「? どういう事だぜ? ベイベー。えーと名前は小太郎だったか?」

「ふざけてるのか? 俺は【モノ】とでも呼んでくれ。それがプレイヤーネームだ」

「我はピックだ。宜しくな」

「人間と慣れ合うつもりは無い」

「おう! 宜しくな!」

「くだらん」


 ピックは手を前に出すと、モノはそれを掴んだ。


「ノリがいいじゃないか! それだよ、それ! ロボットにも熱いソウルはあるじゃないか!」

「勘違いするな。俺は生き残りたいだけだ。人間は信用ならない」

「OK! OK! クールだって事は分かったぜ」


 そんな感じで話していると、沙耶のアバター【イチゴタルト】とリルのアバターである、【リル】がやって来た。

 リルは本名(?)をそのままアバター名にしたようだ。外見の変化も無いに等しい。

 まぁ、宇宙人なので、身バレの心配も無いだろう。


「おお! 来たか! おい、モノ! 紹介するぜぃ! 我のソウルメイト、イチゴタルトとリルだ。ってリルはリルで良いのか?」

「リルはリルが良いかなって!」

「そうかそうか」


 ピックは、うんうんと頷いた。

 そして、両手でモノを指差すと、二人に言う。


「この子、ロボットみt」


 「この子、ロボットみたいだから宜しく」と言いかけた所で口をモノに塞がれる。


「この事は口外禁止だ。いいな? 上からの命令でもある。あの会社はデカイ。あまりペラペラ喋るな」


 モノは、ピックの耳元でボソボソと話したのであった。

 実際、話したら消されるとかは多分無いのだが、モノが個人的に知られたくない事でもあったのだ。


「ふぅ、仕方が無いな」

「ったくこれからだから人間は」


 気を取り直して紹介する。


「この子はモノ。謎多き少女だ」


 リルが目を輝かせると、モノに抱き着く。


「宜しく~!」

「人間が!! 馴れ馴れしくするな!!」


 モノは嫌がるが、お構いなしである。


「4人で頂点目指すか? いや、でもそれより先にバンドか?」


 ピックは顎に手を当て考える。

 だが、バンドを組んでいる場合では無いのかもしれない。

 先程の社員はこう言った。

 結果によっては7月のイベント以降、モノと遊べなくなると。

 そして、生きるための努力はする、とモノは言った。

 ピックの脳内に嫌な考えが浮かんだ。


(7月のイベントとやらで良い成績を納めないと、あいつは消されるのか?)


 だとしたら、バンドは後だ。


「イチゴタルトォ!! 頂点を目指すって我は言ったが、まず何をすれば良いんだ? ベテランプレイヤーのソウルを聞きたい」

「わ、私ですか? えっと……レベルを上げたり、スキルを取ったり……後はプレイングスキルを上げたりとか強い武器、強い装備を身に付けたりとかですかね? ごめんなさい。私そこまでベテランじゃないので……」

「だって、毎日ログインしてるって言ってたじゃないか?」

「戦闘はほとんどやってないのです……」

「そいつはロックだ。だが、ヒントサンキューだぜ! レベルを上げるぜぃ!」


 こうして、モノを守る為、そして己のソウルをこの世界に響き渡らせる為に頂点を目指そうと決心したのであった。

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