71.3回戦の相手は文芸部部長!?
「ついに明日、第3回戦となった訳だが、ここで耳寄りなお知らせだ。第3回戦の相手は、私の学校の現文芸部長が率いるチームだ!」
アルカの【マイホーム】エリアで、アルカチームは全員集合していた。作戦会議と言う奴である。
カノンの人差し指が、チームメンバーに向けてビシッ! と向けられた。
「ぶ、文芸部!?」
アルカは驚く。
「文芸部なのにここまで来る何て、ゲームも強いんだな!」
「ゲームをエンジョイする人が増えるのは大歓迎です。ですが、文芸部に関してはゲーム部を潰したがっています」
「え? 何で?」
「簡単に言いますと、今から14年前、ゲーム部の部長と文芸部の部長が喧嘩をしました。喧嘩の内容は些細な事だったらしいです。その時私は当然の如く居なかったので、聞いた話ですが……」
キメラが真剣な顔で人差し指を立て、説明を続ける。
「2人共、昼休みは焼きそばパンを食べたかったらしいです」
「うんうん」
「購買には、1つしかありませんでした」
「ほーほー」
「喧嘩に発展しました」
「えっ?」
アルカは顔から軽く汗を流す。
本当に些細な事だったからである。
まぁ、何事も些細な事が原因となる事が多い訳なのだが。
「しかし、リアルファイトにはなりませんでした。暴力はいけないからです」
「だろうな」
「ゲームで対決しました」
「文芸部不利じゃないの?」
「いえ、ゲームと言っても囲碁での対決でしたので」
「囲碁!?」
「結果、ゲーム部部長が勝ちました! やったー!」
「おお!」
「ですが、試合後すぐにゲーム部部長のイカサマがバレ……」
「は?」
「文芸部部長にぶん殴られ、キレたゲーム部部長は殴り返したそうです。その時、文芸部部長のイカサマが失敗に終わった事が明らかになります。本人のカミングアウトです。ぶん殴られた事にキレたゲーム部長は殴り返し、また文芸部長が殴り返しが繰り返され……結果、引き分けに終わったそうですが、それ以来2つの部はとても不仲です……」
「うん……そうだな……まぁ、色々あるよな。生きていると」
コメントをしにくいアルカであった。
こういう時、何と言うのが正解なのであろうか?
「と、とりあえず……勝つぞ!! うん! 勝つぞ!!」
「深く突っ込まないアルさん大人」
ミーナは、パチパチと拍手でアルカを褒めた。
「と言う訳だ。アルカ君、そして他の皆も油断せず立ち向かって欲しい。無論、私も全力で行くがね」
カノンは、可愛らしくウインクをする。
「おまけにリーダーは文芸部長だが、他の4人は、“ボードゲーム部部長”、“スマホゲーム部部長”、“生物部部長”、“アニメ研究部部長”という豪華なメンツだ!」
スマホゲーム部とは……?
ゲーム部じゃ駄目なのだろうか?
色々な考えが頭を過ったが、あえて突っ込まないアルカであった。
「ボードゲーム部部長は頭の回転が速いです。スマホゲーム部部長は、かなりの大金持ちです、課金装備や課金スキルも遠慮なく使って来る事でしょう……。おまけに生物部部長とアニメ研究部部長はその親友です」
「どのくらいお金持ち何だ?」
「“天井に触れる行為は俺にとっての呼吸だ”」
「?」
「スマホゲーム部部長がよく言っている言葉です」
「なるほど」
アルカは手を顎に当て、考え込んでしまう。
(廃課金ユーザーか……)
アルカはスマホゲームにあまり詳しくは無いのだが、言っている事がやばいという事は理解出来た。
「弱気になる必要は無いさ。勝てばいいだけだろう?」
カノンが流し目でアルカを見た。
「ああ! その通りだ!」
「燃えてきたでござるな!」
極は腕を組み、ニヤリと笑う。
「それに、こっちには凄腕の錬金術師が付いていますからねっ!」
「そうだな……皆強いからな!」
ここまで来れたのだ、自信を持とう。
アルカはそう思った。




