7:作物を育てる、そして冒険者ギルドへ行く
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本当にありがとうございます。
作物を育てるには【マイホーム】……要するに承認した人しか入れない、各プレイヤーに設けられたエリアで育てる必要がある。畑は初期から設置されている。
作物の種類はかなり豊富で、現実世界ではお馴染みの野菜は勿論、ゲームオリジナルの作物も育成する事が出来る。
アルカはとりあえず、今の所持している全財産の3000Gを使用し、クワ、如雨露といくつかの種を購入してきた。
「さて、耕すか」
初期の畑は非常に小さく、6畳分程しか無い。それ故に耕すのも訳無い。
アルカは人間用のクワを片手で持ち、耕しはじめた。片手なのは、両手では持ちにくい為である。
「こうなる事を予測して2本買っておいたぜ」
何とクワを2つも購入していたのだ。
アルカは両手にクワを持ち、2刀流で耕したのだった。龍の体だからか、ゲームだからかは不明だが、疲れた様子は見られない。
アルカは耕した後に、種を取り出した。
「買ってきた種は……これだ!」
ジャガイモの種、にんじんの種、農具の種を購入したようだ。
カレーでも作るのかと思われるラインナップだが、ただ1つ農具の種が異彩を放っていた。
「農具の種……ランダムで農具が育つ……らしい。まぁこれはネタだな」
何の農具が育つのかはランダムだが、面白そうなので購入したものらしい。
そして、もう1つ。アルカはとある種を手に入れていた。
「何か無料で貰えたんだよなぁ……ま、植えてみるか」
種の名前は【アイテムの種】。実は種を購入すると低確率で貰える種である。ランダムでアイテムが成長するのだが、とれるアイテムには当然、強いアイテムもあれば弱いアイテムも存在する。
「ん?」
アルカの脳内に声が響く。
『スキル:【植物成長速進】を獲得しました』
【植物成長速進】:種類、植物、作物に対して発動出来る。成長速度を速める。
「成程、このスキルを使って育ててくれという事か」
このスキルは初めて農業をすると獲得できるスキルである。
基本はこのスキルを使用して農業をする。使用しなければリアルと同じ速度で育成出来るが、縛りプレイをする者以外は、皆このスキルを使っている。アルカは当然使用する事にした。
「良いカレーになれよ~」
やはりカレーを作る予定だったらしく機嫌よく、如雨露を使用し、作物に水をあげるのであった。
「さてと、これでOKだな。成長するのが楽しみだぜ」
アルカはホームを出ると1人ではじまりの街を歩く。
丸裸なので装備を購入したかったのだがここでアルカ、痛恨のミス。
「さっきので全財産を使用してしまった……」
クワを2つも買ったせいである。
だが、今のままでもアルカは十分強いので心配無用である。
「装備は……ま、いっか。でもとりあえず金が無いとこれから困るな」
ここでアルカは極の言っていた事を思い出す。
確か極はギルドで依頼を受けられると言っていた。
それを思い出し、酒場のような建物を目指した。
「おっここか! 何とか入れそうだな!」
建物は大きく、アルカでも入る事が可能であった。
冒険者ギルドへ入るとガラの悪そうな女性がやって来た。NPCである。
「おい、嬢ちゃん! 新入りだろ? 表へ出ろ」
「へ?」
これは初心者用のイベントである。臨場感を出すためにこういった演出が入るのもこのゲームが人気の理由だ。ちなみにこのキャラクターはスライム以下の能力値なので、ゲームをやった事が無い人でも楽々倒せる。
とりあえず、アルカはガラの悪そうな女性と共に表へ出た。
スキル名は一見誤字っぽいですが、ご了承ください。