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68.登山

 【闇病み☆百合娘―ズ】、全員が闇属性で構成されているチームである。

 実力に関しては、予選、1回戦と突破して来ただけに悪くない。

 2回戦の鍵となる、ダークカリバーについては、使う気満々である。


「さて、分かっているんですわね? 姫共」

「はい。我が命、【ジルコ】様に捧げます」


 リーダー格の黒一色で包まれ、顔半分が髪の毛で覆われているジルコと呼ばれるプレイヤーは、ニヤリと笑う。

 ちなみに相手チームの【ボス】も、ジルコである。


「そうと決まれば、山登りしますわよー!」


 百合娘達は、山登りを始めた。





 アルカ達は、山から結構遠い所に居たので、山に向かう。

 山に向かうまでは、飛行が使用出来るので、飛んで向かう。

 飛行が出来ない者は、出来る者の背に乗っていた。


「相手チームが襲って来ない所を見ると山に登っている可能性が高そうだな」

「まっ、ダークカリバーを使いそうなチーム名だしね」


 アルカとカノンが相手チームの行動を予想した。


「病んでるでござるからな。それにしても百合でござるか」

「極ちゃん、百合に興味あるの?」

「拙者、雑食でござるからな」


 キメラにおんぶされながら、極がカミングアウトした。

 極は、食わず嫌いをしないタイプなので、様々な漫画やアニメを視聴していた。

 その中には、百合ものも含まれていた。


「へ、変な所触らないでね?」

「拙者、淑女でござるから。5%の確率でそういう事はしないでござる」

「え?」


 二人の会話を聴き、カノンがニヤリと笑う。


「良かったじゃないか! モテモテで。でも、ケンヤ君にバレたらやばいんじゃないか? ケンヤくんに」

「だ、誰?」

「アルカ君も興味あるかい? ケンヤ君ってのはキメラ君の好きな……」


 言いかけた所で、キメラが顔を赤くして叫ぶ。


「ちょっ、何言ってるんですか!!!! 好きじゃないですから!!」

「そういう事だから、ここでは深く話せないんだ。ごめんね」


 カノンは困り眉をし、片手で「ごめん」のポーズをすると、アルカに謝罪をした。


「ま、まぁ喧嘩は程ほどに……」


 しばらく経つと、山の前に来た。

 ここから先は飛行が出来ないので、各々が歩く。

 カノンだけは引き続き、愛用のロボ、百舌鳥17に乗り込んでいる。


「モンスターも出ないから退屈だな……それにしてもこの雪何とかならないのか?」


 雪山なので、雪が降り続いている。

 対策をしていなければ、HPが徐々に減る。

 相手チームは、天候ダメージを無効化する装備品を付けていたが、こちらはそんなもの無い。


「だったら、天候を上書きするのみです!」


 【錬金術師】ミーナは、天に杖をかかげた。

 すると、荒れていた空から太陽が覗き、やがて晴れる。


「天候操作スキル……いつの間に実装を!?」

「キメラちゃん、奥の手は取っておくものだよ! ……何てね!」


 ミーナがキメラに対し、可愛らしくウインクをした。

 キメラは、少し羨ましそうに困った顔をする。


「いいなぁ~。私も欲しい」

「ごめん、今の所【錬金術師】専用スキルみたいだから」

「え? そうなの?」


 天候操作のスキルは今の所、職業【錬金術師】のみが取得出来る専用スキルとなっていた。

 【錬金術師】自体がレア職業という事もあり、天候操作スキルが使用出来るのは、数える程であった。


「ありがとうな、これで視界が良くなった上にダメージも抑えられる」

「アルさんに褒められた!」


 ミーナは飛び跳ねて喜ぶ。


「雪の中はしゃぐ……犬みたいだね、君は」


 カノンはつぶやいた。




 山を登り始めて20分。

 試合専用のエリアという事もあり、登頂までそこまで時間はかからなく、もうてっぺんが見えてきた。


「山登りも飽きて来たな」


 てっぺん付近へ辿り着く。


「待ち伏せしているかもしれないよ。ここは【ボス】であるアルカ君が行くのではなく、他の人に行かせるべきだよ」


「確かにそうでござるな。ここは拙者が!」


 腰の刀に手を伸ばそうとすると、キメラがドヤ顔で右手で制止する。


「ぬ?」

「ここは私が!!」


 1回戦目は活躍できずに倒されてしまった。

 なので、ここで活躍しておきたいらしい。

 既に変身しているので、戦闘準備は万端である。


「キメラ、行きまーす!!」


 頂上へと辿り着くが、そこには何も刺さっていなかった。


「油断しましたわね?」

「!?」


 辺りをキョロキョロしているキメラの元へ、禍々しい黒いオーラを纏った剣を持つジルコが襲い掛かる。


「ほあちゃーっ!!」

「くっ……!」


 剣……ダークカリバーでの一撃を貰うキメラ。

 だが、まだ倒されてはいない。


「へ、変身が解けてる!?」


 何と、変身状態が解除されているではないか。


「ダークカリバーの能力ですわ。ラスボスが使うものより強化されているみたいですわね」

「そっ、そんな!!」


変身していないキメラは、初心者プレイヤー程のステータス程しか持ち合わせていなかった。


「ばいばいですわ!」


 ジルコは、キメラを十字に切りつけると、そのまま串刺しにした。


「そっ……そんな……」

「既に3人の生命エネルギーを吸収した魔剣ですわ。弱いはずがないですわ」


 頂上より少し遠い所でそれを観察していたアルカ達は。


「キメラちゃんが倒されたぞ!」

「そうか、それにしても魔剣ってのも凄いんだね」


 カノンは、口に手を当てつつも、無邪気に笑った。


「試合限定なのが惜しい武器だよ」

「いや、あんなの実装されたらまずいだろ」


 アルカは冷や汗を軽くかくのであった。


「あの武器は危険だ。既に剣も向こうに渡ってる訳だし、こっそり下山するか」


 そう思っていたが、


「近くにいるのでしょう? すぐに向かいますわ!」

「ひっ……」


 向こうも下山をはじめたようだが、全くの別方向へと向かってくれた。


「ヒヤヒヤさせやがって」


 アルカ達もひっそりと下山を始める。

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