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66.魂に

 激しい戦いを終え、アルカ達は1回戦の対戦相手、エレメンタル☆シスターズに勝利した。


「完敗だ。良い勝負だったよ」


 試合が終わり、各チームがフィールドの中央部に並ぶ。

 フレイムはアルカ達の勝利を称えると、手を差し出す。

 それに対し、アルカは指一本を差し出す。体の大きさが違うので仕方が無い。


「こっちこそ、楽しい勝負をありがとな!」

「そう言って貰えると助かる。それにしてもすまない、あんなスキルを使ってしまって」

「良いって事、こっちもギリギリの試合が出来て楽しかった」


 二人が握手を終えると、ミサキが二人の間に割って入る。


「いや~、今回は不意打ちでやられちゃいましたけど、次はそうは行きませんよ?」


 悪戯っ子のような笑みを浮かべ、それをアルカに向けて来る。


「お、おう。何かすまないな、本気でやってくれたのにあんな結末になっちゃって……」

「謝らないでください。あれは私の修行不足です。いつか私は世界を救う程の最強の力を手に入れますので!!」

「頑張って?」


 よく分からないが、強くなろうと更に頑張るのは確かなようで、適当にあしらうのも失礼だ。とりあえず応援しておいた。







 1回戦の第1試合が終わり、他のチーム同士の戦闘が行われている。

 1回戦は、全8試合だが、同時に2試合が行われるスケジュールとなっている。

 アルカ達が戦闘を終えた時、また別なチームも戦いを終えていた。



「ソオオオオオオオオオオオオオオオオウゥルゥ!! トキメクステージだったぜい! 対戦相手も我がメンバーも応援してくれた観客もサンキュー!!」


 【To_Soul】……略して【TS】と呼ばれているチームが勝利を収めていた。

 リーダーと思われし人物は、ギター型の剣を使用していた。ボディ部分がさやの役割を果たしている。

 髪型は黒髪ショートだが、もみあげ部のみ茶髪で、腰まで伸びている。


「こいつら……化物か……」


 相手チームの【ボス】はグッタリとしており、数秒後に消滅した。




 そして、控え室にて。


「良いステージだったぜ! だが、まだ我のトキメキは収まってないぜ! 次も最高のステージにしようじゃないか!!」


 椅子に登り、リーダーと思われし人物は、チームメンバー皆に言った。


「相変わらずテンション高いですね」


 コノミが言う。コノミはこのチームのエースだ。頼りにされていた事もあり、緊張から疲れも見えていた。


「勇者コノミィィィ!! もっと、もっとテンション上げようぜ!! 大事なのはソウル!! 気持ちだよ!! 気持ち!!」

「い、いえーい」


 無理して愛想笑いをするコノミであった。


「……もしかしてお前……」

「な、何ですか?」


 コノミに顔を近づける。数秒後、離れる。


「骨折しているな?」

「は?」

「お前、陸上で頑張りすぎて骨折してるだろ?」


 意味が分からない。

 そもそもリアルでの接点はまるで無い。

 何を思ってコノミが骨折していると思い込んだのだろう。


「し、してないです」

「そうか、なら良いが……困った事があったら言えよ! 我達はソウルメイトだからな!」


 そんな熱い? やり取りをしている二人をフンと笑うチームメンバーが居た。


「くだらん。これだから人間は」

「モノ! お前にも熱いソウルはある筈だ!!」


 くだらんと発言したのは、【モノ】。チームメンバーであるが、実は人間では無い。ロボットである。試験的にこのゲームを遊ばせているのだが、思った以上にはまってしまったようで、やり込んでいる。

 ちなみに、チームメンバーはこの事を知らないので、中二病だと思い込んでいる者もいる。


「私はお前らと慣れ合う気はさらさら無い」

「でもお前、チームでの練習サボった事無いじゃないか!」

「くだらん」


 何だかんだ協力的である。


「そ、そうですよ。今回だってモノさんが居なければ勝てなかったですし」

「馬鹿野郎!!」

「ひっ……」


 リーダーは、大人しそうなチームメンバーを怒鳴る。



「イチゴタルトォォォォ!! 何言ってるんだぁ!! お前ぇ!! お前だって……お前だっていつもいつもいつもいつもいつも!! 我達を助けてくれているじゃないか!! 自分にもっと自信を持て!!」

「は、はひ……」


 【イチゴタルト】は涙目で頷いた。

 ちなみにイチゴタルトは超能力者であり、人の心が読める。常に人の闇を見続けて嫌気がさし、自由時間はほとんどこのゲームにログインしている。このゲームにログインしている間は相手の思考を読まずに済むからである。


「まっ、我はまだまだトキメキ足りないからな! 次の試合まで演奏だぜぃ!!」


 リーダー……【ピック】は、演奏をはじめた。

 彼女は本当に演奏が好きである。

 現実世界でもバリバリ演奏しており、家にいる間も爆音で練習しているせいで周りの住民からはかなりの有名人であった。


「耳が痛いんだよ、お前の演奏はいつだってな」


 他のチームメンバーが外に出ていく中、モノは腕を組み、演奏を聴いていたのであった。

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