6:スローライフに手を出す龍
「それにしても、極とまたはぐれちゃったな」
極は現在リスポーンされ、はじまりの街へと召喚されている。
「また待ってるのも何だし……行ってみるか! はじまりの街へ!」
アルカは一人ではじまりの街へと向かう事にした。
なるべくプレイヤーと出会わないように。
10分くらい歩くと、森を出た。目の前に広がるのは、城下町のような場所である。
「おお! 凄い賑わってるなぁ!」
勇気を出し、はじまりの街へと足を踏み入れたアルカ。周囲を見渡すと女の子だらけであった。男性も居るが、NPCのみのようだ。
そしてはじまりの街へと入り、他のプレイヤーを見ていると、アルカはフィールドとの大きな違いを目にする。
その違いとは、プレイヤーと思われる女の子達の頭上にプレイヤーネームが表示されている事だ。
NPCにも表示はされているが、その場合は赤色で表示されているので見分けがつく。
「名前が表示されている……という事は俺も!?」
アルカ自身では確認出来ないが、青文字でしっかりと「アルカ」と表示されていた。
「心配して損したな。これで堂々としていられる」
アルカは、堂々とはじまりの街を歩く。
周囲のプレイヤーの女の子達は皆、アルカを見る。
「あんなアバターになる事ってあるんだ……」
「グラがバグってるのかな?」
「あの龍って確か、少し前に配信者倒してた龍じゃない? プレイヤーだったの?」
アルカはすっかり人気者のようで、歩く度に周囲からの噂話が絶えなかった。
「美少女達に噂されると何か照れるな」
アルカは少し照れていたのであった。
そして、少し経つと、銀髪ロリの極がアルカの元へと駆け寄って来る。ポニーテールが荒ぶっているのが分かる。
「アルカ殿ー!」
「極! 会いたかったぜ」
「会いたかったとは照れるでござるな。そういえばさっきの勝負は……」
アルカは腕を組んで得意げに言う。
「勝ったぜ!」
極は困り眉をしながらニヤリと笑う。
「流石だな。もうお前に教える事は何も無い」
「何か教わったか?」
そんな冗談を言い合うと、アルカが疑問を口にする。
「そうえいば何で教えてくれなかったんだよ?」
「何がでござる?」
「はじまりの街では、プレイヤーかどうか識別されるって事だよ! 別に堂々としていられるじゃないか」
「す、すまぬ! 拙者! 情報弱者故に……なんつって!」
実は極もこのゲームにあまり詳しい訳では無い。全プレイヤーが女の子で割とフリーダムなゲームという事くらいしか知らない。
「まぁいいけどな。それにしてもこれからどうすれば良いんだ?」
「チュートリアルを受けた感じだと、レベルを上げたり、クランに入ったり、ギルドで依頼を受けたり、作物を育てたり、武器作ったり……と、とにかくい、色々出来るでごじゃる!」
極がテンパリながら必死に説明をした。要するにかなり自由度が高いゲームと言う事だ。
「スローライフって奴も出来るって事か」
「そうでござるな。戦闘をせずにそっちを極める者もいるらしいでござる。アルカ殿は戦闘専門にするでござるか?」
「どうしよう」
「そ、その戦闘力で戦闘しないは無しじゃないけど無しでござるよ!」
「どういう意味だよ」
「拙者としては、アルカ殿には上を目指して欲しいでござる! イベントランキングの上位を取ったりですな」
「ランキング?」
「こ、このゲーム! たまにイベントが行われるらしい。拙者はあまりやらないでござるがソーシャルゲームみたいな感じらしいでござる。全てが戦闘系のイベントという訳ではないでござるが、戦闘系イベントが多らしい……上位になったらかっこいいでござるよ? そ、そして、アルカ殿が有名になれば、戦友である拙者も女の子に囲まれるでござる! デュフフ」
ニヤニヤしながら極は涎を垂らす。
「よし! 戦闘メインで作物も育てていくか!」
「さ、作物育てながらでござるか!? スローライフやるでござるか!?」
「ああ、色々やってみなくちゃな!」
「ま、まさかぁぁぁ!? 戦闘民族だろ貴様はぁ!! だ、だがスローライフゲーと言えば龍! これは良いかもしれん! き、きっとこれはアルカ殿が農作業を通して最強になる布石……!!」
「いや別に面白そうだからって理由でそこまで計算してないからね?」