57.本戦へ進む為に
だが、まだ解散では無い。
パーティ対抗トーナメント本戦へは、とある条件を満たした【16チーム】のみが参加する事が出来る。それについても相談しなくてはならない。
そして条件とは、1週間後にGWO内にバラまかれるチャレンジャーカード……通称【Cカード】を先に80枚集める事である。先着で集めたチームから本戦へ進める。
「という事何ですけど、5層まで進んでおいて良かったですね」
この情報が発表されたのは、割と最近の事である。
GWOは、ゲーム機は高いものの、プレイ人口はそれなりに多い。全員本戦参加とは行かない。
「そうだな。Cカードがどこにバラまかれるか分からないけど、5層にもバラまかれるだろうしな」
どの層、エリアにどのくらいの割合でCカードが行き渡るかは、分からない。
しかし、行ける範囲が広ければ広い程、有利になる可能性は高い。
「これは、私の意見なのだが」
カノンが席から起立し、発言する。
「私達、Cカード、探すのを辞めにしないか?」
「カノンちゃん!? どういう事だ?」
アルカに続き、他のメンバーも驚く。
一体どうしたのだろうか?
「キメラ君、確か予選開始と同時にCカードが10枚、それぞれのチームに配られるんだったよね?」
「は、はい。そうですけど?」
「皆、それは何故だと思う?」
アルカがピンと来たのか、拳を自らの手の平の上にポンとする。
「そういう事か! 面白ぇ! 互いのカードを賭けて、他のチームからCカードを奪えば良い! って事だな?」
カノンが席に座り「うんうん」と頷く。
「そういう事さ。無駄に散策するよりも、ずっと楽だ。最も、こちらのカードが取られる可能性も0では無いけどね」
「た、対策はあるんですか!?」
キメラが心配そうにアワアワしている。
「第1層、【はじまりの街】だ」
カノンがドヤ顔で言うと、キメラ以外のメンバーはピンと来たようだ。
「あー、そういう事でござるかー」
「極、そういう事だ」
キメラが言う。
「もったいぶらないで教えてください!」
アルカが「ああ!」と言うと、続ける。
「このゲームは、その層のフロアボスを倒さなくちゃ次の層には進めない。つまり、第1層の……特にはじまりの街には、初心者が多く居るはずだ。場合によっては、“始めたばかりで本戦には行けそうにも無いけど記念に出ておこうかな?”ってレベルのプレイヤーも居る筈だ」
キメラが軽く引く。
「え、えっと……早い話が【初心者狩り】してCカードを集めるって事ですか……?」
「別に強奪しようとは考えてない。アイテムを賭けるかどうかは、バトルする前に決められるし、それに戦闘だけじゃない。こっちには、【錬金術師】ミーナが居るんだ。レアアイテムを作成し、それと交換って形でも構わない」
「そういう事ですか……まぁ、それなら……」
アルカが割と考えている事に安心したキメラであった。
「でも、戦闘をしなくてはならない場合もある。おそらく俺達と同じ目的ではじまりの街に集まるチームも居るだろう。そういったチームとは戦闘してCカードを頂こうと思う」
「強いチームだったらどうするんですか?」
「これは俺の考えだけど、それなりの腕を持ったチームならば、初心者をターゲットにするって真似はしないと思うんだ。トップ層のプレイヤーだとそれなりにプライドもあるだろうしな」
カノンがドヤ顔で言う。
「アルカ君の言う通り、絶対の自信があるような強チームは、そんな真似しないだろう。そんな相手には、私の【器用値】以外が死んでるステータスを見せて、賭けに応じさせよう。きっと油断して応じてくれるはずだ」
カノンは、【器用値】以外のステータスが終わっている。
ロボットに乗って戦闘するので、大丈夫だが、それを見たプレイヤーはかなりの確率で油断する事だろう。
おまけに、カノンの装備は初心者向けのショップで売っている冒険者装備だ。一見するとかなり戦闘力の低いプレイヤーだ。
「カノン殿は、頭がキレるでござるな」
「ふふ、そう褒めないでくれたまえ」
ミーナが立ち上がり、眉に力を入れ、笑いながらガッツポーズをする。
「よーし! そうと決まれば、レアアイテムに必要な素材を集めなくちゃ! 善は急げ!」
ミーナは、アルカの【マイホーム】から出ると、フィールドへと駆け出した。
「私も【鍛冶師】として、予選突破に役に立つ装備を作っておくよ」
カノンは、自分のマイホームへと向かった。
「拙者達は、どうするでござるか?」
「そうだな。俺と極は、【美少女コンテスト】でかなり目立ってたからな。初心者を演出するのは難しそうだ」
「確かにそうでござるな……」
「あの……とりあえず私達は、ミーナちゃんの素材集め手伝いませんか?」
キメラが意見を言う。
確かに、同時に装備の強化素材も集められるので良いかもしれない。




