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54.ステータス

 姉妹は、アルカの方へと駆け寄ると、タミエルがウインクし、言う。


「じゃあ、教えてあげる! SPステータスポイントっていうのはね……」


 タミエルは、アルカに対し、SPについての説明を行った。

 SPとは、ステータスポイントと呼ばれるものだ。

 初期は100のSPを持っており、1レベルアップする毎にも同じく100のSPを貰える。

 つまり、アルカのステータスには、現在振られていないSPが4000も眠っているという計算となる。


「分かった?」

「大体分かった! つまり……そういう事か」


 アルカは腕を組み、「なるほど」と頷く。


「皆……何で教えてくれなかったの……?」


 同じチームメンバーには、ゲーム慣れしているキメラも居た。

 その筈なのに、それを知らされてなかった事に悲しみを覚えそうになったが、タミエルがフォローを入れる。


「う~ん。ぶっちゃけ、お前のステータスが高過ぎて、既に振ってると思ってたんじゃね?」

「へ?」


 アルカがポカーンとすると、カルマが困り眉をしながら、人差し指を立てる。


「いや、ぶっちゃけお前ってそこまで神プレイングとかしてないじゃん? いや、ド下手って訳でも無いけどさ。それなのにあそこまで戦えてるのってステータスのおかげじゃん? そしてそのプレイングの差を埋められるくらいの活躍してたら誰だってSPくらい振ってると思うじゃん? アバターによって差があるとはいえ、素のステータスには限度ってものがあるから」


「なるほど!」


 アルカは、手の平の上で拳をポンとする。


「ようするに、俺のアバターが神アバターって訳だな?」


「まぁ、そういう事かな? でもさ、今のステータスに4000もの値がプラスされるんだぜ? やばいよ?」


 VRゲーム初心者&ゲーム自体も最近出来ていなかったアルカですら、トッププレイヤーと互角に渡り合えるアバターだ。これ以上強くなってしまったら誰が止めるのだろうか?


「ほぅ」


「ほぅ……じゃねーよ! 折角だから初のステ振り見てやるよ」


「分かった」


 アルカは、メニュー画面を開き、慣れた手つきで【ステータス】の項目をタップする。


「VRでのメニュー操作も大分慣れたな。ほら、これが俺のステータスだ」


「【詳細】は、トップシークレットって訳? いやさ、折角SPの存在を教えた訳だし、見せてくれても……」


 タミエルが言い終える前にアルカが口を挟む。


「詳細って、何?」


「は?」


 実はこのゲーム、ステータス画面を開いた際に、周囲のプレイヤーに詳細を見られないように工夫がされている。詳細を確認したい場合は、ステータス画面で「詳細」と言う必要がある。が、アルカはこれを知らなかった。チュートリアルを受けていなかった為だ。

 タミエルとカルマは、アルカに上記の事を説明した。


「自分のステータスも見た事ないのか……」


「スキル一覧なら見た事あるけど、ステータスは無いな。あっでも敵にステータスを0にされた時は、視界に一瞬0になったステータスが現れた事があったな」


 アルカは、魔王幹部の1人である、ヒョヒョマルに攻撃と特殊攻撃値を0にされた事がある。その事を言っているのだろう。このゲームは戦闘中にステータスの変更があった場合、変更後のステータスが視界に現れる。邪魔になるので、表示場所や、表示させない事も出来る。


「もう、突っ込むのも疲れたよ、お姉ちゃん」


 何やら疲れたようで、カルマは溜息ためいきをついた。

 対し、タミエルは歯を見せ、ちょっと困ったような、そして嬉しそうな顔で笑う。


「そう? こんな人初めてで面白過ぎるんだけど。私この人好きかも(笑)」


 アルカは、言われるままに、「詳細」と口にすると、アルカのステータス画面が目の前の半透明空中ディスプレイに表示された。





プレイヤー名:アルカ

レベル:40

武器:神斬剣ゴッドスレイヤー

装備品:無し

職業:無職

スキル:☆【第一の瞳】、☆【第二の瞳】、☆【第三の瞳】、☆【第四の瞳-ダークネスブレイクバースト】、【トルネード】、【爆炎】、【超音波】、☆【召喚】、【装備破壊】

※☆は、ユニークスキルです。

HP:1000

MP:5000

攻撃:3000

防御;1300

特殊攻撃:3000

特殊防御;1300

素早さ:200

器用:2





「これが俺のステータスか」


 タミエルが「おぉ!」と驚く、カルマが「うわ」と軽く引く。


「これ凄いのか?」


 レベル40ならば、2000の数値があれば高い数値と見なされる。

 それになのに、アルカの攻撃面のステータスは、何と【3000】。

 脳筋と言われてもおかしくない数値をしている。

 そして、SP無振りでこれである。おまけに装備もしていない。


「レベル50の相手とも渡り合えるんじゃね?」


 それ程までの恐ろしいステータスをしていたのだ。

 SPの振り方を教えると、アルカが操作を始める。


「お姉ちゃ~ん……マジヤバイよ?」

「えー!? 何か逆に楽しくない? ここまで来たら。まっステ振りは慎重にな」


 ピピピと操作するアルカ。

 タミエルの助言が終える前にステ振りは、完了していた。


「終わったぞ」


「は?」


 本来、ステ振りは、もっと慎重に行うものだったが、アルカは秒で終わらせたのだ。

 振った値は、【素早さに2000】、【HPに2000】である。


「やってしまいましたな~」

「ましたな~」


 二人は、困り笑顔でアルカの背中から、ステータス画面をのぞき込む。


「何かしたか?」


「素早さに振るのは良いけど、そのステータスなら攻撃に振った方が良い気がする。それか防御か特殊防御。HPに振るんだったら、防御か特殊防御に振っといた方が良かったな」


「そ、そうなのか?」


「まっ、そこは自由だけどな」


 防御系のステータスとHPにSPを振り、耐久型にするプレイヤーも居るが、アルカの性格には不一致だ。HPはともかく、素早さに2000振ったのは正解だと言えよう。


「でもこれでまた1つ強くなったな。で、ちょっと良いかな?」


「何?」


「最後に使った腕にオーラみたいなの纏わせて、ドカーン! って壁に激突した技。あれってスキルなのか? 見た事無いけど」


「良くぞ聞いてくれた! あれはスキルでは無い!」


「スキルじゃない……?」


「私とカルマで考えたオリジナル技だ。どうしてもって言うなら、教えてあげても良いけど? ちょっとばかし、システム外のスキルが必要だけどな」

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