53.vsタミエル&カルマ
【アルカ】vs【タミエル&カルマ】という内容が電光掲示板に表示された。
レベルも横に表示されており、天使の姉のタミエルは【レベル43】、悪魔の妹のカルマは【レベル42】である。
「よし、始めようか」
アルカは翼を広げ、姉妹を威嚇するが、姉妹は余裕の笑みを浮かべる。
「お姉ちゃんどうする? 属性的にはお姉ちゃん一人でも行けちゃいそうだけど」
「どっしよかねー? むしろカルマ1人でも倒せるんじゃね?」
とか話していると、電光掲示板にカウントダウンが表示され、そのカウントダウンが0となる。
「負ける気がしねぇ! 一気に行くぜ!」
アルカのテンションが高ぶり、クールな装いは弾け飛んだ。
アルカは、メニューからとある武器を装備する。
その武器を装備すると、アルカの腰に剣が装備される。
抜刀し、それを構える。
その剣は、濃い紫色をしており、内部から控えめに、ゆっくりと発光を繰り返している。
禍々(まがまが)しさと美しさの両方を兼ね備え、剣自体は槍と見間違えるほどの細さをしている。
その剣の名は、【神斬剣】。クリスタルブレードを生贄とし、器用値以外は死んでいるが、器用値だけはチート級のカノンに作らせた剣である。
クリスタルブレードの場合、腕自体が剣になる仕様であったが、神斬剣は、普通の剣のように腰から抜刀し、それを持つことで使用出来る。拳による攻撃も好んで使用していたアルカには嬉しい仕様変更である。
「「何それかっけー!」」
姉妹たちが目を輝かせているが、止まらない。
アルカは、二人まとめて斬るつもりだ。
「何!?」
姉妹は、飛行し、剣による攻撃をかわす。
「ふぅ……やっぱりね。素早さは私達の方が上みたいだね」
「噂通り、攻撃に全振りした脳筋スタイルじゃね?」
「どんなに攻撃にSPを振っていても当てられなければ意味無しだよ?」
二人に煽られたアルカであったが、精神的にノーダメージであった。
それ所か頭上に「?」を浮かべる。
「SPって、何?」
「はぁ? 馬鹿にしてるの?」
「お姉ちゃん、あいつ私達を惑わせようとしてるんだよ!」
「確かに、その可能性は有りそう。惑わされずに行くよ!」
別に惑わそうという気はさらさら無いのだが、姉妹達が変に誤解してしまった。
「【エンジェルビーム】!」
「【デビルビーム】!」
それぞれが、光と闇の極細レーザービームをアルカに向けて放つ。
極細だが、威力はかなり高い上に防御力を貫通する。
神斬剣でエンジェルビームを斬り、弾く。
しかし、デビルビームは食らってしまう。防御力を貫通する大ダメージを受けてしまい、HPはあっと言う間に半分となる。
「あー、惜しい!」
「お姉ちゃんの攻撃が当たってれば、属性相性的に今の一撃で殺せたのにね~」
「でもあいつ闇属性とは限らなくない?」
「見た目的に闇属性っしょ」
二人が会話している間に、今度は剣で突き刺そうとするアルカ。
「お喋りは、そこまでだぜ!」
「うわっ!」
「お姉ちゃん!?」
剣を用いた突き攻撃により、タミエルのHPは半分以下となる。
「私のステータスじゃ、あの剣の攻撃を2発食らうとやばいみたい……」
「じゃあ一気にいっちゃう?」
「そうだね……あれをやろう!!」
タミエルは、右手を開くと、手の中に光のエネルギーが集まる。
カルマの場合は、左手を開くと、闇のエネルギーが集まる。
「何だ……あれ? スキルか?」
数秒後、姉妹の手をそれぞれのオーラが包み込む。そして、目で追えないスピードでアルカに襲い掛かる。
「「死ね!!」」
「うわっ!?」
アルカはしゃがむと、姉妹は壁に派手にぶつかる。砂煙が舞い上がる。
「く、くそぉ……」
それぞれの手が壁にめり込んでいる。必死で引き抜こうとするが、引き抜けない。
アルカは、ゆっくりと彼女達に近付く。
「【爆炎】……10連打ァ!!」
「「うわああああああああああああ!!」」
身動きの取れない彼女達に火球が襲い掛かり、爆発を繰り返す。
当然のようにHPは0となり、電光掲示板には、アルカが勝利した事を意味する内容が表示された。
「ぐぬぬ……大人しく、エンジェルビームで攻撃しまくれば良かった」
「お姉ちゃん……仕方無いよ。だってあの技めっちゃかっこいいからね」
あの技とは、手にオーラのようなものを纏わせる技の事を言っているのだろう。
「えーと……何かごめん」
動けない相手に集中砲火をした事をアルカは謝った。
「ふん! 次会った時は絶対勝つからな!」
「脳筋には絶対負けないからな!」
カルマの脳筋発言でアルカは思い出す。
「そういえば教えて欲しいんだけど」
「何ぞ?」
「SPって何?」
「「は?」」
アルカは、レベルアップで成長するステータスが全てだと思っていた。
アルカが以前プレイしていた、神々に仕えるモンスターを育成する非VRゲーム【ゴッドモンスターズ】では、レベルアップすると、自動でステータスが上がる。ステータスの上がり方も、モンスターの種類と倒したモンスターに依存する。このゲームに関しても同じような物だと思っていた。
アルカはこの事を姉妹に説明した。
「チュートリアルは受けたのか?」
「俺にはそんなもの無かった……」
アルカは、始めた時、いきなり森に放り出され、チュートリアル等無かったのである。
姉妹はアルカから離れ、コソコソと話す。
「どーするよ? 今より強くなったら手を付けられなくなるんじゃね?」
「でもいずれ知る事になるっしょ? だったらここで私達が教えた方が良いんじゃね? もし、今後あいつが目立つ事になったら、私達の名前出すかもじゃん? そしたら私達有名になれるかもっしょ! いつかは【エレ☆シス】くらいファンが付くかも!」
「いいね! じゃあ、色々教えちゃおうか!」




