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52.地下闘技場で賭けをする

 1週間かけ、レベルを【40】にまで上げたアルカ。

 本来ならば、もっと時間がかかるものだが、ミーナの作った【経験値倍倍アップポーション】の効果により、社会人であるアルカでも無理なくレベルを上げる事が出来たのである。


「本当に神アイテムだな」


 レベルが40に達した。後は、レベル40以上のプレイヤーを5人倒せば、現在の最終層である、第五層へと進める。

 戦う相手は誰でも良い。しかし、パーティ対抗トーナメントには、強力なライバル達が参戦するので、強い相手と戦い、腕を磨くのが良いのかもしれない。アルカもそう考えていた。

 アルカには、弱点がある。

 その弱点とは、ズバリ“プレイングスキル”である。

 確かに、アルカのアバターは非常に強力な性能を秘めている。だが、肝心のプレイングスキルに関しては、S~Eクラスで例えるならば、精々Cクラスと言った所である。

 アルカは、働き始めてからはゲームをする時間が減り、最近はほとんどやっていない。そもそもVRゲーム自体、一カ月半くらい前に始めたばかりである。バリバリの初心者である。

 プレイングに関して、パーティメンバーに相談を持ち掛けた事もあったのだが、人型とドラゴン型では、操作感覚が全然違う為、あまり参考にならなかった。


 とりあえず、誰かと戦おう。

 そう思ったアルカは、第四層のメイド喫茶へと足を運び入れる。


「a-925」


 謎の英数字をメイドに向けて発信するアルカ。

メイドは、ハッとすると、スタッフオンリーの部屋へと案内する。その部屋にも隠し扉のようなものがあり、そこを開けると地下への階段が伸びていた。


「どうぞ、心ゆくまでお楽しみください」

「そうさせてもらう」


 あの謎の英数字は、暗号である。

 ゲームに詳しいキメラから聞いた。

 “a-925”をメイド喫茶のメイドさんに伝える事により、地下の闘技場へと案内されるのだ。

 この地下闘技場では、今のアルカと同じく、強い相手と戦いたいプレイヤーが集う。

 周囲を見渡すと、地下だけで1層分くらいの広さはありそうだ。テニスコートのように、闘技場がいくつものエリアで仕切られている。他のプレイヤーを観戦する事も出来る……が、設定で観戦を禁止する事も出来る。


「「あっ!」」


 アルカが地下を歩いていると、小学4年生くらいの天使の格好をした女の子と、悪魔の格好をした女の子がアルカを指差した。身長は4年生でも小さい方だ。


「お姉ちゃん、あれって……」

「うん、あれだよね。名前忘れちゃったけど」

「このゲームでのバグ的存在の、龍……」

「でも初心者だよね。良いカモじゃない? 周りキョロキョロしちゃってるし」

「だねー……狩っちゃおうか?」

「そうだね、狩らせて貰おうかな」


 天使の格好をした方が姉で悪魔の格好をした方が妹のようである。見ただけでは、どちらが年上かなど分からない。双子のようである。


「ねぇ」

「ん?」


 アルカが振り向くと、彼女達がフワフワと浮かびながら、ニコニコしていた。


「私達と」

「やらない?」


 アルカが頷く。


「丁度相手を探していたんだ。良いぜ、相手になる」


 アルカがそう言うと、二人は顔を見合わせウインクし合う。


「じゃあさ~、お兄さん?」

「この人……じゃなかったこの龍、お姉さんでしょ? プレイヤーは全員女の子だし」

「どっちでもいいじゃん。それよりさ~……か・け・を・し・な・い?」


 天使がニヤリと笑う。


「賭け?」


「そう、賭け! お姉さんは何を賭けてくれるのかな?」


「まだ、良いとは言ってないけど……まぁ良いや、そっちは何を賭けてくれるんだ?」


「えーっとね~、これ!」


 1つのアイテムを選択し、天使が手に持って、ニヤニヤする。

 彼女達二人が楽しそうに、水着で水遊びをしている姿が表紙になっている本である。

 ぶっちゃけただの自作の写真集である。


 今回は、アウトローな場所での活動という事でクールを装っている。

 なので、アルカは、クールに答える。


「随分と気前の良い選択だな」


 アルカは、強敵を前にしたような笑みを浮かべながらそう言った。


((こいつのリアル、絶対男だな))


 姉妹は、内心アルカの性別を見抜いたのであった。


「じゃあ、俺もレア物を賭けようかな?」


 【経験値倍倍アップポーション】を取り出すと、姉妹は、目を輝かせる。


「それ激レアアイテムじゃん!」

「お姉ちゃん! これがあればカンストすぐだよ!!」

「じゃあ、こっちもサービスしちゃおうかな?」


 天使がもう1つの写真集をドヤ顔で見せる。


「じゃん! これを見よ! 私達の自信作! 中は見せないけど!」

「!?」


 さっきは、水着だったが、今度は二人が風呂で頬を赤らめている姿が表紙となっていた。一部、湯気で隠れている。

 一体、他には、どんな写真が載っているのだろうか?


「【経験値倍倍アップポーション】を10個賭ける」


 アルカは、更なる賭けアイテムを提示したのであった。


「「やったー!!(チョロいな)」」


 姉妹たちは、互いにハイタッチした後に話し合う。


「どっちが先にやる?」

「お姉ちゃん先で良いよ?」


 アルカは、腕を組み、クールに答える。


「二人まとめて掛かってこい」

「「え?」」

「聴こえなかったのか? 二人まとめて掛かって来い」


 強者の余裕がそこには、あった。

 周りに居る他のプレイヤーも、アルカから発せられるオーラに気付き振り向く。


(パーティ対抗トーナメントで優勝する為にも、プレイングスキルをレベルアップさせる為にも……この勝負! 絶対に勝つぜ!!)


 姉妹達は天使の姉も含めて、小悪魔的な笑みを浮かべる。


「分かった……じゃあお言葉に甘えて……」

「やっちゃおうか!!」


 1vs2となった場合。1回のバトルで二人倒した扱いになる。これもキメラから聞いた事だ。

 闘技場の1つへ入ると、電光掲示板に各プレイヤーの情報の一部が表示される。

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