47.最後のメンバーはどんなプレイヤー?
時は、パーティ対抗トーナメントまで後一か月といった所だ。
アルカの【マイホーム】では、いつものメンバーを交えての作戦会議のような何かが行われていた。
「よし! 皆集まってくれてありがとう! パーティ対抗トーナメントは、一カ月後だ。最近は皆忙しくて集まれなかったけど、今日こうやって集まれて嬉しく思う!」
最近は、皆で集まると言った事があまり無かった。
魔王戦が終了した後は、各々レベルを上げたり、プレイングスタイルを磨いたりしていたようだ。
「拙者は暇だったから、よくアルカ殿と遊んでいたでござるけどな~」
「むむっ……」
アルカは極をチラリと見る。
「やはり、極のリアルはニートのおっさんでは無いのか?」
そんな疑惑を抱いているのだが、突っ込まなかった。
「パーティ対抗トーナメントの参加人数だけど、5人までOKみたい何だ。で、今ここに居るのは、4人。後1人必要と言う事になる」
別に5人居なくても参加する事は出来る。
だが、他のチームに比べ不利になる事は間違い無いだろう。
「ふむふむ。アルカ君は、新しいメンバーを早めに確保しておきたい……という事を言いたいのだね?」
カノンが腕を組みながら、目を瞑り、ドヤ顔で人差し指を立て、歩きながらそう言う。
アルカは頷く。
「その通り! ギリギリになってから、集まらなくて4人で参加しましたっていうのは避けたいからな。という事でどんなメンバーが良いのか、その案を出せる人手挙げ!」
キメラが手を挙げる。
キメラは大人しい性格なので、椅子に大人しく座っていた。
「【ヒーラー】とか補助が得意な職業を持つプレイヤーを5人目にするというのはどうでしょうか?」
最もな意見である。
現在のメンバーは基本的に攻撃を得意とするメンバーばかりだ。
補助が1人でも居ると、1人が倒される確率はぐっと減るだろう。
「流石、キメラ殿でござるな!」
極がパチパチと拍手をした。
他の皆も同意見のようだ。
「キメラ君の言う通りかもしれない。我々はあまりにも攻撃的すぎる」
【鍛冶師】でありがなら、ロボットに乗り、戦闘を行うカノンがキメラの意見を肯定した。
「となると、やっぱり【ヒーラー】か!」
乗り気なアルカを見て、キメラは表情を少し暗くする。
「……すみません。自分で言っておいて何ですが、強力な【ヒーラー】をメンバーに加えるのは理想論かもしれません」
「そうなのか?」
「大会に出るレベルの【ヒーラー】やその系統の職業の方はおそらく、現段階で強パーティにスカウトされてる可能性が高いでしょう」
【ヒーラー】の人口はGWOにおいては、少ない方である。
皆、仲間を回復させるよりも、自分で戦いたいと考えるプレイヤーが多いのだ。
そんな中、実践レベルの【ヒーラー】が何人居るかは不明だが、人気者になるの可能性は高いだろう。
「そうか……じゃ、新しく誰かを【ヒーラー】させるってのはどうだ?」
アルカの問いに対して、キメラがジト目で答える。
「【無職】のアルカさんとかどうですか?」
「俺が【ヒーラー】になるのか!?」
アルカは冷や汗をかきながら、自身を指差す。
ユニーク職業を目指しているアルカにとって、お断りしたい案件であった。
「冗談ですよ。そもそも、【ヒーラー】になったら、アルカさんのステータスに変化がある可能性もありますしね。プラス的な意味だけで無くて、マイナス的な意味でも。とりあえず、駄目元で新メンバーを探してみませんか?」
冗談の二文字を聴き、アルカは胸をなでおろす。
そもそも職業は一度決めたら、変更するのがかなり面倒だ。
「そうだな。探すか!」
こうして、最後のメンバーを探す為、またしばらく別行動という事になった。
「【ヒーラー】ね……」
アルカは、第四層の拠点の街【ジョボジョタウン】をウロウロとしていた。
1時間くらいウロウロして、分かった事がある。
それは、【テイマー】が非常に人気の高い職業という事である。
女の事もふもふの組み合わせは色々な意味で強力なのか、とにかく肩や頭にモンスターを載せているプレイヤーが多い。
「分かった事は、【テイマー】が人気って事くらいか」
第四層に居るプレイヤーは、決して弱く無いだろう。
だが、全員が大会に出るようなガチ勢という訳では無い。
キメラが部長を務めるゲーム部の廃部がかかっているのだ。慎重に決めたい所である。




