43.学生二人、魔王幹部をフルボッコにする
「これで二人目もクリアだな」
「それにしても、運営の人と戦える何て、極ちゃんラッキーでしたね」
会話をしながら、3階へと向かう。
残る魔王幹部は、二人。作戦通りであれば、それぞれキメラかカノンが戦う事となる。
「ふふふ……百舌鳥17……お前を暴れさせられると思うとワクワクが止まらないよ」
カノンは不敵な笑みを浮かべていた。
「百舌鳥17……って強いんですか?」
キメラがカノンに対して質問をした、それに対し、カノンは困り眉をしながら笑う。
「機体が強いかどうか……それは些細な問題だ。私は、天才パイロットだぞ?」
「天才何ですか……?」
カノンは、このゲームを始めて日が浅い。故に天才パイロットと決め付けるのは早計であるが、頭はキレる人物である。
アルカパーティが3階へと到着した。
そして到着した途端、黒い球体が飛んできた。
「何だ!?」
「あーあ……外れちゃったかー。ま、いっか!」
大きな黒い帽子を被った魔女がホウキを肩に担ぎながら残念そうに言った。
「ビビビ……オジョウサマ……コイツラ、マオウカンブニメイヲ、トウバツシタヨウデス」
「そうみたいね。ま、でも? 魔女っ娘【ペロリン】の相手には力不足に見えるけど?」
魔女っ娘ペロリンと名乗る少女の隣には灰色のゴツイロボットが居た。どうやらこのロボットも魔王幹部らしい。
「それにしてもいきなり攻撃とは卑怯な連中だな」
「全くです!」
カノンはニヤリと笑いながら、キメラは頬を膨らませながら相手を見る。
「卑怯? ……勝てば良いのよ!! 勝てば!!」
「そういうキャラか……まぁ良いよ、私と百舌鳥17が君達を削除する。まとめてかかって来ても良いぞ?」
「なっ 何よ! 私の手下の【コウテツ】も魔王幹部なのよ? 一人で二人の魔王幹部を相手をする何て出来る筈ないわ!!」
ここで二人を倒してしまえば、後は魔王を倒すのみとなる。
しかし、魔王幹部二人を相手にするのは、初心者であるカノンでは厳しい可能性が高い。
「なら! 私も戦います!」
「キメラ君……ふっ! ならば二人で行こうじゃないか」
こうして戦闘がスタートした。
本来は、1vs1がルールな四天王戦ではあったが、どうやらこのようなイベントも起こるようだ。
キメラとカノン以外のパーティメンバーは檻に閉じ込められた。
「百舌鳥17……起動!」
「変身!」
カノンが百舌鳥17を出現させ乗り込もうとする、キメラが【マジカルチェンジ】で魔法少女形態に変身しようとする。
「ブァーカ!!! 隙ありよ!! 食らいなさい! 【ダークボール】!!」
「ビビビ……【ギガボルト】」
2つのエネルギーの塊が二人を襲う。
「どうよ!!」
数秒後、砂煙が晴れる。するとそこには、百舌鳥17と魔法少女形態に変身したキメラの姿があった。
「何ですって!?」
ペロリンは驚く。完全に「やった!」と思っていたからである。
「指輪が役に立ったようだね? キメラ君」
「はい、ありがとうございます!」
キメラは事前にカノンから、とある装備品を受け取り、装備していた。
その装備品とは、【チェンジ保険リング】。
指輪形の装備品であり、それを装備する事により、変身系の魔法の発動中と変身後の5秒は無敵になれるという効果を持っている。
ちなみに、百舌鳥17を作成する際にも似たような効果を持ったアイテムを合成してある。
「な、何よ!!」
「ハハハ、焦るな焦るな。……行くよ、百舌鳥17!!」
百舌鳥17の右手にはリボルバー式の銃が握られている。
だが、今回はそれだけでは無い。銃の下部を押すと、銃口の下から剣が出てきて銃剣のようになる。
百舌鳥17は、低空飛行をしながらペロリンに向けて突っ込む。
「突っ込んでくる何て馬鹿なの!? コウテツ! 私を守りなさい!」
「リョウカイシマシタ」
コウテツがペロリンの前に出る。
「おやおや? 自分で防ぐ自信が無いのかな?」
百舌鳥17の左拳がコウテツへヒットする。
「ポンコツデスネ」
「どうかな?」
銃を発砲すると、弾がコウテツのボディにヒットする。
しかし、弾かれてしまう。
「ヤハリポンコツデシタネ」
「ポンコツは君だったようだね」
「ナンデスッテ?」
銃から放たれた弾がコウテツへと当たり弾かれる。その後、弾かれた弾は、壁に当たり、また跳ね返る。そして、ペロリンの脚にヒットする。
「きゃっ!!」
「オジョウサマ!?」
キメラの狙いははじめからペロリンであった。
反射される事も計算に入れ、攻撃を放ったのだ。
「視野を広く持つことも大事だね」
「コウテツ!! 何やってるのよ!! 私特殊防御は高いけど防御は低いのよ!!」
「キメラ君と似たような感じだね。よし! キメラ君! 君はコウテツ君を狙うんだ! ペロリン君は私が削除する」
キメラがハッとする。
「分かりました! 一気に行きますよ! スキル発動!【プリズム】」
何と、キメラの技のレパートリーが増えている。
どういう事であろうか?
(職業【魔法少女】になった事で、大きな変化がありました。それは今まで固定だった魔法少女形態をカスタマイズ可能になったと言う点です。故に装備が変えられない、スキルが固定といった今までの弱点は存在しません!)
スキル【プリズム】の効果により、綺麗な大きな水晶玉が目の前に出現する。
「ソンナモノコワシマス」
コウテツがキメラの方へと走る。キメラはそれを見逃さなかった。
「近付いてくれてありがとうございます! スキル発動!【ドームバリア】!!そして同時に【光の波動】!!」
コウテツを囲うようにドーム状のバリアが出現する。
そして、ほぼ同時に発動した【光の波動】が【プリズム】により出現した水晶玉にヒットする。
「ビビビ……ナ、ナンデスカ……アババババ!!!!」
水晶玉に当たった【光の波動】がいくつもの方向に反射する。
更にそれがドームの内側に当たり、また跳ね返る、そして水晶玉にヒットする……これが繰り返され、ドームの内側は光の波動地獄と化していた。
「ノワアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
コウテツはダメージに耐え切れずに、ドーム内で大爆発を起こし、スクラップとなった。
「よしっ! 会長! やりましたよ!」
「コウテツがやられた!?」
「さて、今度は私の番だ」
百舌鳥17が銃を構え、ペロリンに向けて発砲する。
「【ダークバリア】!! それくらいの攻撃ならこれで防げるわ!!」
銃弾が黒いバリアに飲み込まれるように消滅していく。
「なるほど」
【ダークバリア】は、ドーム状のバリアではない。
よって、後ろはがら空きである。
百舌鳥17は、壁に向かって銃を発砲し、その弾が跳ね返り、ペロリンの背中へと襲い掛かる。
「さっきと同じじゃない! 【ダークバリア】!!」
ペロリンは背中側に【ダークバリア】を張る。
だがそのせいで正面のバリアが消えてしまった。
「今だ!」
その隙を見逃さずに、銃口の下に生えている剣でペロリンの胸部を突き刺す。
「しまっ!?」
「もう遅い……フルバースト」
リボルバーの弾が一斉に、ペロリンの胸部へと発射された。
「ぐふっ!? ……まだよ……まだ私のHPは……」
「いいや、残らないね」
「!?」
百舌鳥17が突き刺した剣から電流が流れる。
「正直、この電流は低級スキルと同じくらいの威力しか無い。でもね、君の残りHPを削るには十分だ」
「きゃ……きゃあああああああああああああああああああああ!!」
ペロリンは電流の痛みで叫び声をあげ、1分後にHPが0となると、光の粒子となり、消滅した。
「削除完了……百舌鳥17、良くやった」
カノンは、百舌鳥17から降りると、それを撫で、収納した。
「やりましたね!」
「キメラ君も良くやったよ」
「ありがとうございます!」
パーティメンバーが檻から出て来る。
「二人とも凄いな! 魔王幹部が可哀そうになって来たぞ」
アルカが笑いながら言った。
次は、いよいよ魔王戦である。今居るメンバーから二人が挑む事となる。
「誰にしましょう?」
「拙者!!」
極が手を上げるが、アルカは極の頭を軽くポンポンする。
「気持ちは分かるけど、確か【陰陽師】の札って1回使ったら24時間は再度使用出来ないんだろ? サヤカとの戦いで随分と札を使ってたみたいだし、キツイんじゃないのか?」
「た、確かに……悔しいでござるが今回は譲るでござる!!」
悔しいが、アルカの言っている事は最もだったので、極も納得した。
「って言っておいて何だけど1人目は俺じゃ駄目かな? HPもMPも無傷って訳じゃないけど……」
アルカが言った。
HPとMPが多い二人が魔王と戦う作戦であったが、どうしても戦いたい欲求に勝てなかった。
「分かりました。皆さんも良いですか?」
キメラがパーティメンバーの反応を伺ったが、反対する者は居なかった。
しかし、極は反対こそしないものの、羨ましそうな目でアルカを見ていた。
「皆、ありがとう! 絶対に魔王を倒すからな!」
後1人は、キメラかカノンとなった訳だが……。
「キメラ君、頑張れ!」
「へっ!?」
カノンがキメラの肩をポンと叩く。
「会長は良いんですか?」
「ふふ……実はね、百舌鳥17に無理をさせ過ぎたようで修復が必要になった。最後のあの電流が良くなかったらしい」
「そ、そうですか」
「それに」
「それに?」
「魔法少女vs魔王って光の力vs闇の力みたいな感じで燃えるだろ?」
キメラはパァーッと顔を明るくした。
「そうですね!」
(俺も居るんだけどな)




